その3からは、Louis Scott Vargasのカード評価との比較です。
これをやるのは、自分の評価基準の見直しの参考にするためです。

こういうものを改善するにはPDCAサイクルを回すことが重要ですが、何せ複雑な系ですので、カード・プールの評価方法、カードの評価測度、個別のカードの評価について、具体的にどこが悪いから実績(シールド戦の勝率)が上がらないのかを分析するのはけっこうたいへん。
そこで、せめて個別のカード評価くらいは、他人の評価と比較しながら、事後検討の課題をあらかじめピックアップしておこう、というわけです。

さて、LSVは、「基本セット2011」の各カードについて、構築とリミテッドの両方の視点で評価をしていますが、リミテッドの方の評価測度はこんな感じになっています。

5.0: このカードは必ず使う。
4.5: このカードは、他にどんなカードを取れたかに関わらず、ほぼ常に使う。
4.0: たとえこのカードがその色の唯一のカードであるとしても、このカードを使うことを真剣に検討する。
3.5: このカードの色を使おうと努力する。
3.0: このカードがあることで、その色を使いたくなる。(もしこの色を使うなら、このカードは100%使う。)
2.5: このくらいのカードが何枚かあるなら、その色を使いたくなる。この色を使うなら、原則として常にこれらを使う。(もしこの色を使うなら、その90%のケースで、このカードを使う。)
2.0: この色を使うなら、通常はこれらを使う。(70%)
1.5: この色を使うとき、このカードをメイン・デッキに入れるのはおよそ半分というところ。(50%)
1.0: このカードがメイン・デッキに入るようだと残念。(30%)
0.5: サイドボードで使う状況はあるが、メイン・デッキに入れることはない。(10%)
0.0: このカードをデッキに入れることは決してない(メイン・デッキであれ、サイドボード後であれ)。 (0%)

これをわたしの評価測度と対応させるために、次のようにおおざっぱにまとめ直しました。

4.0以上:他の色のメイン・デッキに、そのカードだけでもタッチして使う/使いたいレベルのカード。
3.5:そのカードの色をメイン・デッキにするために、多少のムリをする(低評価のカードがデッキに入ることを許容する)レベルのカード。
3.0:そのカードの色をメイン・デッキにしたいとは思うけど、ムリしてまでとは思わないレベルのカード。
1.5-2.5:その色がメイン・デッキになるのなら、半分以上のケースでデッキに入るカード。
1.0-1.5:その色がメイン・デッキになっても、デッキに入るケースは半分以下のカード。
0.0-0.5:メイン・デッキには入らないカード。

これを、わたしの測度と次のように対応させます。

S: 4.0+ (極めて強力:ゲームの状況に極めて大きな影響を与える)
A: 3.5 (相当強力:サイズの大きな回避生物、強力な除去、大きなカード・アドバンテージ)
B: 3.0 (強力:回避生物、除去、安価なファッティ、全体強化、カード・アドバンテージ)
C: 1.5-2.5 (有用:デッキがその色になるなら概ね入る。標準サイズ生物、限定除去、確定カウンター、強力な強化/救助、マナ支援)
D: 1.0-1.5 (限定的:デッキの穴埋めになら使われる。貧弱な生物、限定的なコンバット・トリック、ディスアドバンテージ)
E: 0.0-0.5 (不要:普通はデッキには入らない。単純なライフ・ゲイン、色替え、構築を想定した能力)

ただし、いくつか注意すべき点があります。

・LSVの評価環境は「リミテッド」であって、「シールド」ではありません。
「リミテッド」とは、「ドラフトだけではないよ」という意味を含んでいますが、それでもドラフトでより多く使われることが想定されていることでしょう。
シールドで評価点を気にするヒトはあまりいないと思うので。

こうして評価測度を見ると、わたしの測度は、少し強いくらいの評価のカテゴリについてはLSVと同じくらいに細分化しているものの、それより弱い評価のカテゴリについては大雑把な括りになっていることが分かります。
どの色でやるかが決まれば、何を入れるかは後で考えればいいからです。
一方、LSVの測度が、弱いカードも細かく評価しているのは、ドラフトも視野に入ってるからでしょう。
ドラフトでは、例えば7番目のピックでも、そこで出たカードを比べて一枚を選ばなきゃなりませんからね。

シナジー指向のカードに対する評価も変わってきます。
ドラフトはピックをコントロールできますが、シールドはパックをコントロールできません。
ドラフトの場合、既にピックしたカードを意識しながら、次のカードをピックすることができます。
特定の種類のカードと組み合わせるととても強いカードが早い段階で取れているのであれば、以降、そのカードを活かすようにピックできるわけです。
一方、シールドは、とにかく開けたパックに入ってるカードを使うしかありません。
シナジー指向のカードがあっても、適当な相方がそれなりの数パックに入ってなかったら、使えないこともあります。
よって、ドラフトではその種のカードを高く評価することに意味がありますが、シールドではそのカードが使えるパックを引いたときのみ高く評価することになります。

対策カードについても同様です。
サイドボードにアーティファクト対策カードが2枚かそこらあれば安心ですが、ドラフトの場合、それをピックしなければサイドボードに取ることすらできません。
明らかな対策カードであっても、それが特定のマッチアップで特に有効であるなら、ある程度の評価をつけてピックするように努めないといけません。
一方シールドでは、パックにそれが入ってれば自動的にサイドボードとして使えることになります。
メイン・デッキの色を決めるのに、対策カードのことを考えることに意味はありません。
サイドボード後のデッキの色がメイン・デッキと同じである必要すらないんですし。

・わたしの評価は、シールド戦でどの色でメイン・デッキを組むかを決めるための評価です。
デッキの色を選ぶための評価か、そのカードの強さの評価か、ということで、微妙な違いが生まれます。
ドラフトで優先的にピックすべきカードは、必ずしもシールドのメイン・デッキの色を選ぶ上で優先して考慮すべきカードではないのです。

例えば、LSVの4.0点以上をわたしのS評価に、3.5点をA評価に対応させているのですが、実は、これらは評価基準的には対応していません。
ドラフトでは、タッチでも使えるシングル・シンボルのカードは、評価点を上げて優先的にピックしないといけません。
なので、LSVが4.0以上を付けるのは、そのカードはタッチしてでも使う、というカードです。
一方、シールド戦では、ダブル・シンボルの非常に強いカードと、シングル・シンボルの同じくらい強いカードがあったとき、可能なら、ダブル・シンボルのカードの色をメイン・カラーにして、シングル・シンボルのカードの色がメイン・カラーになりにくいならそのカードだけタッチして、ということを考えますよね。
したがって、わたしのS評価のカードは、その色がメイン・カラーでないと使いにくい、というカードも多く含まれます。
シングル・シンボルのカードは、それがものすごく強ければS評価になりますけど(だって、メイン・カラーにした方が安定して使えますから)、そうでないなら評価は下がります。
どうしても必要ならタッチする選択肢もあるからです。
強いから高評価ってことにはならないのです。
これが顕著に現れるのは、《火の玉》《破滅の刃》《稲妻》などの、シングル・シンボルの除去カードでしょう。
LSVの評価では、これらは軒並み4.0以上の評価になりますが、わたしの評価では、これらは色を選ぶ意味では強力な要因にはならないので、A評価止まりになるわけです。

そんな事情も考慮しつつ、以下、各カードの評価を比較してみます。
つづくー。

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