SOMシールド戦向け評価/その3
2010年10月14日 ゲームその3からは、Louis Scott Vargasのカード評価との比較です。
これをやるのは、自分の評価基準の見直しの参考にするためです。
ということは前回も書いたー。
以下もほぼ前回と同じことを書きますが、微妙に変えたところもありますし、測度に関して整理しておくことは重要なので改めて。
システムの改善にはPDCAサイクルを回すことが重要ですが、何せ複雑系ですので、カード・プールの評価方法、カードの評価測度、個別のカードの評価について、具体的にどこが悪いから実績(シールド戦の勝率)が上がらないのかを分析するのはけっこうたいへん。
そこで、せめて個別のカード評価くらいは、他人の評価と比較しながら、事後検討の課題をあらかじめピックアップしておこう、というわけです。
さて、LSVは「ミラディンの傷跡」の各カードについて、構築とリミテッドの両方の視点で評価をしていますが、リミテッドの方の評価測度はこんな感じになっています。
5.0: このカードは必ず使う。
4.5: このカードは、他にどんなカードを取れたかに関わらず、ほぼ常に使う。
4.0: たとえこのカードがその色の唯一のカードであるとしても、このカードを使うことを真剣に検討する。
3.5: このカードの色をやろうと努力する。
3.0: このカードがあることで、その色をやりたくなる。(もしこの色をやるなら、このカードは100%使う。)
2.5: このくらいのカードが何枚かあるなら、その色をやりたくなる。この色をやるなら、原則として常にこれらを使う。(もしこの色をやるなら、その90%のケースで、このカードを使う。)
2.0: この色をやるなら、通常はこれらを使う。(70%)
1.5: この色をやるとき、このカードをメインに入れるのはおよそ半分というところ。(50%)
1.0: このカードがメインに入るようだと残念。(30%)
0.5: サイドボードで使う状況はあるが、メインには入らない。(10%)
0.0: このカードをデッキに入れることは決してない(メインであれサイド後であれ)。 (0%)
いつもとおんなじですなー。
この、評価測度が安定して変わらないというのはさすがにプロですね。
さて、上記をわたしの評価測度と対応させるために、次のようにおおざっぱにまとめ直しました。
4.0+:他の色のデッキにそのカードだけタッチして使う/使いたいレベルのカード。
3.5:そのカードの色をやるために、多少のムリをするレベルのカード。
3.0:そのカードの色をやりたいとは思うけど、ムリしてまでとは思わないレベルのカード。
1.5-2.5:その色をやるのなら、半分以上のケースでデッキに入るカード。
0.0-1.5:その色をやるとしても、デッキに入るケースは半分以下のカード。
上のような意味だとすると、それはわたしの測度と概ね次のように対応します。
S: 4.0+: このカードが引けたなら、多少のムリをしてでもこの色をやる。
A: 3.5: このレベル以上のカードが可能な限り多くデッキに入るように工夫してデッキを組む。
B: 3.0: このカードの色をやる動機になる。
C: 1.5-2.5: このカードがあるからといってこの色をやろうとは思わないものの、この色をやるのならメインに入ることが多い。
D: 0.0-1.5: このカードの色をやるとしても、このカードがメインに入る可能性は半分に満たない。
ただし、ひとつ注意すべき点があります。
LSVの評価環境は「リミテッド」であって、「シールド」ではありません。
「リミテッド」とは、「ドラフトだけではないよ」という意味を含んでいるでしょうが、それでもドラフトでより多く使われることが想定されていることでしょう。
シールドで評価点を気にするヒトはあまりいないと思うので。
一方わたしの評価はシールド戦でどの色でメイン・デッキを組むかを決めるための評価です。
しかし、ドラフトで優先的にピックすべきカードは、必ずしもシールドのメイン・デッキの色を選ぶ上で優先して考慮すべきカードではありません。
このため、デッキの色を選ぶための評価か、どのカードをピックするかを決めるための評価かによって、以下に挙げるような微妙な違いが生じます。
・S/A評価の定義の違い
LSVの4.0点以上をわたしのS評価に、3.5点をA評価に対応させているのですが、実はこれらの評価基準は対応していません。
LSVの4.0+は「タッチしてでも使う」ですが、わたしのS評価は「ムリしてでもメイン・カラーにする」です。
LSVの3.5は「メイン・デッキの色にするためにムリをする」ですが、わたしのA評価は「メインがムリならタッチして使おうとする」です。
逆転しちゃってますなー。
カードを選ぶための評価なのか色を選ぶための評価なのかが違うので、ここが変わってしまうのです。
ドラフトでは、タッチでも使えるシングル・シンボルのカードは優先的にピックしないといけません。
一方シールド戦では、ダブル・シンボルの非常に強いカードが2色とシングル・シンボルの同じくらい強い別の色のカードがあったとき、ダブル・シンボルのカードの2色をメイン・カラーにしてシングル・シンボルのカードをタッチすることを考えます。
なのでわたしのS評価のカードは、その色がメイン・カラーでないと使い難いカードが含まれます。
タッチ可能なカードは、それがすごく強ければS評価になりますけど(だって、メイン・カラーにした方が安定して使えますから)、そうでないなら評価は下がります。
カードが強いから高評価ってことにはなりません。
これが顕著に現れるのは《拘引》などのシングル・シンボルの除去カードでしょう。
LSVの評価ではこれらは軒並み4.0以上の評価になりますが、わたしの評価では、これらは色を選ぶ意味では強力な要因にはならないので、A評価止まりになります。
・C/D評価の精度の違い
わたしの評価測度は、B以上のカテゴリについてはLSVと同じくらいに細分化しているのに、それより弱い評価のカテゴリについては大雑把な括りになっていることが分かります。
これは、どの色でやるかを決めるのが目的の測度であり、何を入れるかを決めるためのものではないからです。
一方ドラフトでは、例えば7手目のピックでも、そこで出たカードを比べて1枚選ばなきゃなりません。
LSVの測度が下の方も細かいのは、そういうところも影響しているのだと思います。
・対策カードの評価
ドラフトでは対策カードもピックしなければなりません。
例えばサイドボードに墓地対策カードがあればいざというときに安心ですが、ドラフトの場合、それをピックしなければサイドボードに取ることすらできません。
明らかにメインに入らないカードであっても、それが特定のマッチアップで特に有効であるなら、ある程度の評価をつけてピックするように努めないといけないわけです。
一方シールドでは、パックにそれが入ってれば自動的にサイドボードとして使えることになります。
メイン・デッキの色を決めるのに対策カードのことを考えることに意味はありません。
サイドボード後のデッキの色がメイン・デッキと同じである必要すらないんですし。
・シナジー指向のカード
ドラフトはピックをコントロールできますが、シールドはパックをコントロールできません。
ドラフトの場合、既にピックしたカードを意識しながら次のカードをピックすることができます。
特定の種類のカードと組み合わせるととても強いカードが早い段階で取れているのであれば、以降、そのカードを活かすようにピックできるわけです。
一方シールドは、とにかく開けたパックに入ってるカードを使うしかありません。
シナジー指向のカードがあっても、適当な相方がそれなりの数パックに入ってなかったら使えないこともあります。
よって、ドラフトではその種のカードを高く評価することに意味がありますが、シールドではそのカードが使えるパックを引いたときのみ高く評価することになります。
しかし、今回は少し例外を作らざるを得ないことになっています。
それは金属術です。
上述の通り、わたしはこの種のシナジー指向のカードについては、シナジーがないときの評価を基本とします。
例えば「ローウィン」ブロックでは、先触れや旗騎士に部族効果を加味した評価はしませんでした。
運良くそのカードに適したプールを引けた場合は加点評価することになりますが、そのとき、「その1」で述べた補助指標であるP評価というのを使います。
ですがしかし、金属術はそれとはだいぶ様相が異なります。
SOMにアーティファクト・カードは88種類。
これに対して有色カードは各色に27種類(《滞留者ヴェンセール》の分、白は1枚多いですけども)。
この比から、2色デッキを組んだ場合の構成比率を単純計算すれば、40枚デッキにはアーティファクト・カードが16枚くらい入っている計算になります。
本当にそうであれば、ターン5に3枚のアーティファクトをコントロールしているのは、わりと普通に見られる光景でしょう。
このため、金属術に関しては、当面、ゲーム中盤以降は金属術が達成されている前提の評価をすることにしました。
この見積もりが正しいかどうかは、実戦を通じて見直していこうと思っています。
そんな事情も考慮しつつ、以下、各カードの評価を比較してみます。
つづくー。
これをやるのは、自分の評価基準の見直しの参考にするためです。
ということは前回も書いたー。
以下もほぼ前回と同じことを書きますが、微妙に変えたところもありますし、測度に関して整理しておくことは重要なので改めて。
システムの改善にはPDCAサイクルを回すことが重要ですが、何せ複雑系ですので、カード・プールの評価方法、カードの評価測度、個別のカードの評価について、具体的にどこが悪いから実績(シールド戦の勝率)が上がらないのかを分析するのはけっこうたいへん。
そこで、せめて個別のカード評価くらいは、他人の評価と比較しながら、事後検討の課題をあらかじめピックアップしておこう、というわけです。
さて、LSVは「ミラディンの傷跡」の各カードについて、構築とリミテッドの両方の視点で評価をしていますが、リミテッドの方の評価測度はこんな感じになっています。
5.0: このカードは必ず使う。
4.5: このカードは、他にどんなカードを取れたかに関わらず、ほぼ常に使う。
4.0: たとえこのカードがその色の唯一のカードであるとしても、このカードを使うことを真剣に検討する。
3.5: このカードの色をやろうと努力する。
3.0: このカードがあることで、その色をやりたくなる。(もしこの色をやるなら、このカードは100%使う。)
2.5: このくらいのカードが何枚かあるなら、その色をやりたくなる。この色をやるなら、原則として常にこれらを使う。(もしこの色をやるなら、その90%のケースで、このカードを使う。)
2.0: この色をやるなら、通常はこれらを使う。(70%)
1.5: この色をやるとき、このカードをメインに入れるのはおよそ半分というところ。(50%)
1.0: このカードがメインに入るようだと残念。(30%)
0.5: サイドボードで使う状況はあるが、メインには入らない。(10%)
0.0: このカードをデッキに入れることは決してない(メインであれサイド後であれ)。 (0%)
いつもとおんなじですなー。
この、評価測度が安定して変わらないというのはさすがにプロですね。
さて、上記をわたしの評価測度と対応させるために、次のようにおおざっぱにまとめ直しました。
4.0+:他の色のデッキにそのカードだけタッチして使う/使いたいレベルのカード。
3.5:そのカードの色をやるために、多少のムリをするレベルのカード。
3.0:そのカードの色をやりたいとは思うけど、ムリしてまでとは思わないレベルのカード。
1.5-2.5:その色をやるのなら、半分以上のケースでデッキに入るカード。
0.0-1.5:その色をやるとしても、デッキに入るケースは半分以下のカード。
上のような意味だとすると、それはわたしの測度と概ね次のように対応します。
S: 4.0+: このカードが引けたなら、多少のムリをしてでもこの色をやる。
A: 3.5: このレベル以上のカードが可能な限り多くデッキに入るように工夫してデッキを組む。
B: 3.0: このカードの色をやる動機になる。
C: 1.5-2.5: このカードがあるからといってこの色をやろうとは思わないものの、この色をやるのならメインに入ることが多い。
D: 0.0-1.5: このカードの色をやるとしても、このカードがメインに入る可能性は半分に満たない。
ただし、ひとつ注意すべき点があります。
LSVの評価環境は「リミテッド」であって、「シールド」ではありません。
「リミテッド」とは、「ドラフトだけではないよ」という意味を含んでいるでしょうが、それでもドラフトでより多く使われることが想定されていることでしょう。
シールドで評価点を気にするヒトはあまりいないと思うので。
一方わたしの評価はシールド戦でどの色でメイン・デッキを組むかを決めるための評価です。
しかし、ドラフトで優先的にピックすべきカードは、必ずしもシールドのメイン・デッキの色を選ぶ上で優先して考慮すべきカードではありません。
このため、デッキの色を選ぶための評価か、どのカードをピックするかを決めるための評価かによって、以下に挙げるような微妙な違いが生じます。
・S/A評価の定義の違い
LSVの4.0点以上をわたしのS評価に、3.5点をA評価に対応させているのですが、実はこれらの評価基準は対応していません。
LSVの4.0+は「タッチしてでも使う」ですが、わたしのS評価は「ムリしてでもメイン・カラーにする」です。
LSVの3.5は「メイン・デッキの色にするためにムリをする」ですが、わたしのA評価は「メインがムリならタッチして使おうとする」です。
逆転しちゃってますなー。
カードを選ぶための評価なのか色を選ぶための評価なのかが違うので、ここが変わってしまうのです。
ドラフトでは、タッチでも使えるシングル・シンボルのカードは優先的にピックしないといけません。
一方シールド戦では、ダブル・シンボルの非常に強いカードが2色とシングル・シンボルの同じくらい強い別の色のカードがあったとき、ダブル・シンボルのカードの2色をメイン・カラーにしてシングル・シンボルのカードをタッチすることを考えます。
なのでわたしのS評価のカードは、その色がメイン・カラーでないと使い難いカードが含まれます。
タッチ可能なカードは、それがすごく強ければS評価になりますけど(だって、メイン・カラーにした方が安定して使えますから)、そうでないなら評価は下がります。
カードが強いから高評価ってことにはなりません。
これが顕著に現れるのは《拘引》などのシングル・シンボルの除去カードでしょう。
LSVの評価ではこれらは軒並み4.0以上の評価になりますが、わたしの評価では、これらは色を選ぶ意味では強力な要因にはならないので、A評価止まりになります。
・C/D評価の精度の違い
わたしの評価測度は、B以上のカテゴリについてはLSVと同じくらいに細分化しているのに、それより弱い評価のカテゴリについては大雑把な括りになっていることが分かります。
これは、どの色でやるかを決めるのが目的の測度であり、何を入れるかを決めるためのものではないからです。
一方ドラフトでは、例えば7手目のピックでも、そこで出たカードを比べて1枚選ばなきゃなりません。
LSVの測度が下の方も細かいのは、そういうところも影響しているのだと思います。
・対策カードの評価
ドラフトでは対策カードもピックしなければなりません。
例えばサイドボードに墓地対策カードがあればいざというときに安心ですが、ドラフトの場合、それをピックしなければサイドボードに取ることすらできません。
明らかにメインに入らないカードであっても、それが特定のマッチアップで特に有効であるなら、ある程度の評価をつけてピックするように努めないといけないわけです。
一方シールドでは、パックにそれが入ってれば自動的にサイドボードとして使えることになります。
メイン・デッキの色を決めるのに対策カードのことを考えることに意味はありません。
サイドボード後のデッキの色がメイン・デッキと同じである必要すらないんですし。
・シナジー指向のカード
ドラフトはピックをコントロールできますが、シールドはパックをコントロールできません。
ドラフトの場合、既にピックしたカードを意識しながら次のカードをピックすることができます。
特定の種類のカードと組み合わせるととても強いカードが早い段階で取れているのであれば、以降、そのカードを活かすようにピックできるわけです。
一方シールドは、とにかく開けたパックに入ってるカードを使うしかありません。
シナジー指向のカードがあっても、適当な相方がそれなりの数パックに入ってなかったら使えないこともあります。
よって、ドラフトではその種のカードを高く評価することに意味がありますが、シールドではそのカードが使えるパックを引いたときのみ高く評価することになります。
しかし、今回は少し例外を作らざるを得ないことになっています。
それは金属術です。
上述の通り、わたしはこの種のシナジー指向のカードについては、シナジーがないときの評価を基本とします。
例えば「ローウィン」ブロックでは、先触れや旗騎士に部族効果を加味した評価はしませんでした。
運良くそのカードに適したプールを引けた場合は加点評価することになりますが、そのとき、「その1」で述べた補助指標であるP評価というのを使います。
ですがしかし、金属術はそれとはだいぶ様相が異なります。
SOMにアーティファクト・カードは88種類。
これに対して有色カードは各色に27種類(《滞留者ヴェンセール》の分、白は1枚多いですけども)。
この比から、2色デッキを組んだ場合の構成比率を単純計算すれば、40枚デッキにはアーティファクト・カードが16枚くらい入っている計算になります。
本当にそうであれば、ターン5に3枚のアーティファクトをコントロールしているのは、わりと普通に見られる光景でしょう。
このため、金属術に関しては、当面、ゲーム中盤以降は金属術が達成されている前提の評価をすることにしました。
この見積もりが正しいかどうかは、実戦を通じて見直していこうと思っています。
そんな事情も考慮しつつ、以下、各カードの評価を比較してみます。
つづくー。
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