宴もたけなわではございますが。
「ミラディンの傷跡」のスタンダード・コモン構築向けの評価をまとめました。

何故毎回こんなことをやるかというと、新しいカードをいろんな角度から眺めてみて、いろんなデッキの可能性を探るためです。
だがしかし、これまでは、いろいろ試行錯誤を重ねたものの、あんまりやりたいことができていたとは言い難く。
そこで今回は原点に回帰し、やりたいことにストレートな評価を試みました。

従来は、カードを1枚1枚評価しながら、それが使われるかどうかということを考えていたんですが、それは検討のとっかかりとしてはいいんですけど、結局どんな環境になりそうかということになかなかつながりませんでした。
そこで今回は、

■ローテーション・インパクト
■前環境のデッキ
■強化されそうなアーキタイプ
■弱体化しそうなアーキタイプ
■どちらとも言い難いアーキタイプ
■消滅するアーキタイプ
■新たなアーキタイプ
■その他の注目カード
■新環境予測

という感じで考えていって、環境予想をしてみたいと思います。
その1の今回はその前半ということで。

■ローテーション・インパクト
ローテーションでいろんなカードが落ちたのですが、ここでは、特定のデッキにのみ関わるものでない、一般的な影響について考えます。

・多色アクセス
境界石、全景、《断ち割る尖塔》、《天球儀》と、大量に落ちます。
代わりに得たのが《地平線の呪文爆弾》とマナ・マイアだけということで、従来のように自由に3色4色のビートダウンを組むのは難しいかもしれません。
もっとも、多色ビートダウンを組みたくなる動機であった主な強力な生物(《野生のナカティル》、刃シリーズ、《クァーサルの群れ魔道士》、《マトカの暴動者》など)も一緒に落ちたので、そもそも多色ビートダウンを組みたくなくなるかもしれませんけども。
一方コントロールには《予言のプリズム》があるのでそんなに困らないかもしれません。

・1点除去
《ヴィティアのとげ刺し》が落ちて、環境からティムがいなくなりました。
ティムのいない環境なんて久しぶりですなー。
これはトークンや《戦隊の鷹》デッキにとっては朗報です。
《散弾の射手》と《玉砕》も落ちました。ほとんど使われてはいませんでしたが。
そしてこの分野には新顔がいません。
すべてのコントロール・デッキは《地鳴りの揺るぎ》か《減縮》に頼らざるを得ないことになります。
《戦隊の鷹》全盛の昨今、《地鳴りの揺るぎ》よりは《減縮》が優先でしょうかね。

・打ち消し呪文
《本質の散乱》《魂の操作》が落ちました。
生物を打ち消さないといけないデッキは、今後は汎用カウンター、つまり、《マナ漏出》《剥奪》と、デッキによっては《冷静な反論》を使うことになるのでしょう。
この環境で打ち消す必要のある生物というと、被覆生物とEtBでアドバンテージの取れる生物です。
しかし、被覆生物は大量に落ちまして、残っているのは《方解石のカミツキガメ》と《聖なる狼》のみ。
《器用な決闘者》を打ち消す必要がなくなったのは、青赤コントロールには朗報でしょう。
一方、《死者のインプ》《グレイブディガー》《死体の野犬》は健在で、墓地対策のしにくい色のコントロール・デッキが今後どのように対策するかは課題です。
《戦隊の鷹》はもともとカウンター不可能(先手ターン2に唱えられてしまう)だからどうしようもないと言えばどうしようもなく。
非クリーチャー呪文の打ち消しは、《否認》《呪文貫き》《払拭》が健在です。
《妨げる光》が落ちて代わりに《取り繕い》が入ります。
「あなた」を対象にする呪文を消せませんが、《荒廃稲妻》亡き今、それはあんまり考えなくていいような。
それより一枚引けない方が痛いですか。
引けないのなら《巨森の蔦》の方を入れるというデッキが多そうなので、使われないかもしれません。

・安価なファッティ
《野生のナカティル》《朽ちゆくヒル》《天望の騎士》《燃えさしの織り手》《マトカの暴動者》《茨団のヴィーアシーノ》《野生のレオトー》《ロウクスの粗暴者》《喰らうワーム》が落ちました。
「ミラディンの傷跡」のクリーチャーで、スで3/3以上のものは軒並み5マナ以上。例外は《刃族の狂戦士》だけです。
ただし、金属術クリーチャーの中には、《オーリオックの太陽追い》《甲殻の鍛冶工》《金属の駿馬》《ガルマの保護者》なんてのもいますけど。
何かと重宝だったサイクリングを持つファッティも落ちました。

・アーティファクト/エンチャント除去
パワー・カード《クァーサルの群れ魔道士》が落ちました。
一方、それと人気を二分したカード《コーの奉納者》は健在です。
しかし、《クァーサルの群れ魔道士》がメインにいることが多いのとは異なり、《コーの奉納者》は白ダブル・シンボルで4マナかかるというのが若干使いにくく、サイドボードにいることの方が多いようです。
《コーの奉納者》がメインに入るデッキというと、現状白黒コントロールくらいじゃないでしょうか。
それも最近は《孤独な宣教師》や《リリアナの死霊》の方が優先されている気がします。
上陸デッキのような高速アグロを苦手とするデッキの中には、《コーの奉納者》ではなく《真面目な捧げ物》をサイドに取るケースもあるようですし。
しかし、《真面目な捧げ物》も《自然の要求》も《帰化》も所詮は1対1のカードなので、貴重なサイドボードのスロットを割いて入れるのはやや損した気分。

ところで、「基本セット2011」シーズンで使われた除去の必要なエンチャントというと、《忘却の輪》《未達への旅》《略奪の爆撃》と《聖なる狼》に付くオーラくらいでした。
《破壊者のゼンディコン》や《ゼクター祭殿の探検》はクリーチャー除去で何とかなりますし、対戦相手のパーマネントに付ける種類オーラ(《広がりゆく海》とか)は《コーの空漁師》で外れてしまうので、ここのところほとんど使われていません。
《オーラのナーリッド》の入るデッキにしてからが、オーラを使わず賛美でパワーを上げる方向にシフトしていったくらいです。
《忘却の輪》も落ちますから、今後はエンチャント除去の重要性は落ちそうです。
エンチャント壊せなくてもアーティファクト除去だけできればいいや、ということなら、従来もときどき使われていた《躁の蛮人》はますます出番が増えそうです。

「ミラディンの傷跡」からも新作がいくつか加わりました。
《存在の破棄》は白待望の《解呪》。
これまで、緑を使わない白いデッキは《コーの奉納者》を使わざるを得なかったのですが、《冒険者の装具》相手だと間に合わないこともけっこうありました。
装備品壊すよりも《板金鎧の土百足》に《よろめきショック》を撃つ方を優先しないといけませんし。
しかし、今後は《よろめきショック》と同じターンに《存在の破棄》を撃てるようになるでしょう。
また、今後もし《死体の野犬》が流行するようなことがあれば、活躍の幅は一掃広がると思われます。
《シルヴォクの模造品》は、置き《自然の要求》。
《グレイブディガー》で使いまわせるのは《クァーサルの群れ魔道士》と同じなのでいいカードなのですが、いかんせんパワーが不満です。
1/3は《海門の神官》で十分っていうか。
設置コストも高いので、金属術デッキ以外ではちょっと苦しいかもしれません。
《金屑化》にはちょっと期待するところがあります。
こいつは《板金鎧の土百足》と《冒険者の装具》を同時に壊せるんですね。
メタゲームの推移によっては大いに使われるかも。

・墓地対策
《大祖始の遺産》《マグマのしぶき》《影餌付け》と、多くの墓地対策カードが落ちました。
残ったのは《ボジューカの沼》と《イオナの裁き》くらいですか。
代わりに入ってくるのが《虚無の呪文爆弾》ですが、《大祖始の遺産》と比べると制圧力で些か見劣りします。
《大祖始の遺産》は、先に出しといて相手の墓地にカードを1枚も置かせないようにするのが基本の使い方です。
中盤以降引いちゃった場合でも、《ボジューカの沼》によるリセットと組み合わせることで、2番目の能力を使うことなく相手の墓地を封じられます。
相手は、墓地を使いたければ、プレイングで工夫するか(拾って意味のあるものが墓地にあるときに、すぐに墓地に置けるようなものを別途用意しておく)、《大祖始の遺産》を割(ろうとす)るかして、2番目の能力を使わせるしかありません。
一方《虚無の呪文爆弾》は、相手が墓地を使いに来たら能力を使うしかありません。
墓地を使う側にして見れば、使わせるのはそれほど難しくないのです。
複数の墓地利用手段を持っているデッキの場合、それほど苦にならないでしょう。
墓地対策は難しい局面を迎えそうです。

・異国者
異国者が落ちます。
中でも《ヴィダルケンの異国者》が落ちるを待ち望んでいた赤単ファンは多いことでしょう。

続いて、多くのデッキに使われた汎用カードで退場するものを。

・《荒廃稲妻》
この環境に黒赤デッキが存在する主たる理由がとうとう落ちてしまいます。
まだ《精神腐敗》があるとはいえ、今後は一度に2枚捨てろと言われることはあまり多くなさそうです。

・《器用な決闘者》
長期に渡り赤いプレイヤーを苦しめた《器用な決闘者》が落ちることで喜ぶヒトもいるかもしれません。
が、まだ《方解石のカミツキガメ》は健在ですし、近頃は新たな脅威である《聖なる狼》+《火山の力》というのも出てきているので、悩ましいところ。
《地鳴りの揺るぎ》をサイドボードから抜いてもいい世の中はまだ少し先かもしれません。

・《忘却の輪》
殊更にアーティファクト/エンチャント除去を入れなくてもメインでなんとかしてくれた優れもの除去エンチャントがとうとう落ちます。
白青や緑白は(《未達への旅》4枚で不足なら)クリーチャー除去をどこかから調達しないといけませんね。

・《堕落の触手》
黒単に近い構成のデッキを作ることの最も大きな理由の一つが失われます。
もう一つの理由である《墓所の切り裂き魔》はまだ残っていますが、はてさて。

・《終止》
5シーズンにわたり最も強力なクリーチャー除去として君臨してきた呪文もとうとう落ちます。
これからは、《破滅の刃》や《未達への旅》で我慢しないといけなくなるのでしょう。

■前環境のデッキ
続いて、個別のアーキタイプについて検討するわけですが、それに当たっては、前環境にどんなデッキがあったかを把握しておかないといけません。

このために、スタンダード・コモン構築のPREであるMPDCとSPDCについて、簡単に調べました。
MPDC 10.4-10.9およびMPDC 10 Worldsと、SPDC 10.4-10.8で、ファイナルに残った2デッキのアーキタイプ分布を調べました。
すると、各デッキの出現回数はこうなりました。

・ティア1
7回 赤白青《戦隊の鷹》(Star Spangled Beats)
4回 青赤緑トークン
3回 赤白上陸
3回 緑白青《戦隊の鷹》&トークン(Soul Systers)

・ティア2
1回 白青黒赤コントロール(Team America)
1回 白黒赤上陸(Ugly)
1回 黒単コントロール
1回 赤緑《投げ飛ばし》
1回 赤白ゴブリン
1回 5色《マトカの暴動者》(Prismatic Rioters)

環境には他にもデッキはあります。
上に挙げたのを除いて、昨シーズン見かけたデッキを並べると、それはざっとこんな感じです。

・アグロ・デッキ
白単兵士
白青レベル・アップ
白青《戦隊の鷹》
白青(黒)アーティファクト・ビートダウン
白黒赤《戦隊の鷹》
青黒レベル・アップ
黒単ビートダウン
黒赤ビートダウン
黒赤バーン
黒赤緑ビートダウン
黒赤緑ランプ
黒緑トークン
赤単スライ
赤単バーン
赤緑白上陸
緑単ビートダウン
緑白(青)オーラ
緑白賛美
緑白青被覆賛美
3-4色同盟者ビートダウン

・アグロ・コントロール・デッキ
白青(黒)アーティファクト・アグロ・コントロール
青黒Strixy
青(黒)赤カウンター・バーン(Searing Turtleなど)
緑白青同盟者

・コントロール
白青同盟者ミル
白青黒コントロール(New Face of Esper)
白青黒赤コントロール(Full English Breakfast)
白黒コントロール
黒赤緑白コントロール
赤白青コントロール(AMURRICA)
赤緑壁エルドラージ

・コンボ/アグロ・コンボ
(緑)白青《嵐呼びの加護》
青赤Scroll Fiend
赤緑《投げ飛ばし》
赤緑《聖なる狼》

多過ぎますなー。
多過ぎます。
現環境は実はかなり健全で、いろんなデッキが鎬を削ってるんですね。
だもんで、トーナメントで見かけるアーキタイプを並べるだけでこんなことになっちゃいます。
でもこれをやっとかないと先に進みませんし・・・。
ま、ともあれ、やりますか。

■強化されそうなアーキタイプ
・白青レベル・アップ
白と青の軽量レベル・アップ・クリーチャーを並べて《敬慕される教師》でまとめてレベル・アップさせて《勇者のドレイク》と一緒に殴るビートダウン。
《広がりゆく海》を6/6島渡りが渡る展開もあり。
レベル・アップするところを除去に狙われるとテンポ・ロスが激しくて、実は強くないです。
今後は増殖がどのくらいマッチするかにかかっていますが、今のところ《着実な進歩》だけですので、どのくらい強まるかは分かりません。
ローテーションで落ちたカードが特にないので、今より悪くなることはないと思いますが。

・白青黒赤コントロール(Full English Breakfast)
《孤独な宣教師》と《予言のプリズム》と《海門の神官》と《グレイブディガー》と《記憶の壁》を《コーの空漁師》で使いまわすデッキ。
「ワールドウェイク」環境で猛威を振るった黒赤緑白コントロールの流れを汲む「いつの間にか勝つ系」多色コントロールです。
でも最近は《ウラモグの破壊者》を一枚挿しするパターンも出てきました。
構成パーツでローテーション落ちしたのは《終止》のみ。
これはたぶん《破滅の刃》で代替可能でしょう。
唯一の例外は《墓所の切り裂き魔》ですが、《堕落の触手》が落ちたので遭遇機会は激減するはず。
多色化も、6-7枚の《広漠なる変幻地》《進化する未開地》と《予言のプリズム》で実現できており、ローテーションで不自由はしなさそうです。
《大祖始の遺産》が落ちるのも追い風。
かなり完成されたデッキなので、「ミラディンの傷跡」から入るカードがあるか否かは分かりません。
が、赤いアグロ・デッキが強い環境になりそうなので、相対的にこのデッキの強さも増すと思います。

・青黒レベル・アップ
青と黒の軽量レベル・アップ・クリーチャーを並べて《敬慕される教師》でまとめてレベル・アップさせて《勇者のドレイク》と一緒に殴るビートダウン。
白青との違いは、黒いクリーチャー除去呪文を使えること。
それと、黒のレベル・アップ・クリーチャーは白のそれに比べてレベル・アップ・コストが気持ち高めの上にレベル3でMAXになるので、《敬慕される教師》の効果がよりデカいということがあります。
しかし白青と同じ問題点はあり、このデッキもほとんど見かけなくなりました。
構成パーツで落ちたのは《苦悶のねじれ》くらいでしょうか。
今後は増殖次第なのですが。
レベル・アップ・コストが高めな分、《敬慕される教師》がなくて《着実な進歩》しかないときにもたつきそうで、白青ほどの強化は期待できないと思います。(白青も強化されるのか否か甚だ疑問ではありますが。)

・青赤Scroll Fiend
《巻物泥棒》や《窯の悪鬼》に《ひずみの一撃》を撃って悪さするデッキ。
ローテーションで失ったカードがない上に、《突撃のストロボ》と《ニューロックの透術士》が加わります。
一気にブレイクしそうなヨカン.

・黒単ビートダウン
《鼓動の追跡者》《吸血鬼の裂断者》《腐敗したゼンディコン》などのダメージ効率の良いクリーチャーの攻撃を《見栄え損ない》《血の復讐》《吸血鬼の一噛み》などでサポートする土地19枚前後の超前のめりなビートダウン。
《魂の階段の探検》がフツーに入る唯一のデッキではないかと思います。
《堕落の触手》はもともと重過ぎて入らないので、特に構成パーツで落ちたものはありません。
「ミラディンの傷跡」からは《煙霧吐き》《ドロスバッタ》《闇の掌握》《危険なマイア》《モリオックの模造品》あたりが新たな候補になろうかと思います。が。
確実に入りそうなのは《煙霧吐き》くらいですかねぇ。
《破滅の刃》が重過ぎて入らないデッキなので、《闇の掌握》すらちょっと怪しい気が。

・赤単スライ
今あなたが想像したそのデッキです。
落ちたのは《ジャッカルの使い魔》《怒り狂うゴブリン》《ドラゴンの餌》。
しかし、デッキの核である《ゴブリンの奇襲隊》が健在なので、そのあたりは代わりがありそうに思います。
それより《器用な決闘者》《ヴィダルケンの異国者》が落ちた影響の方が大きいでしょう。
「ミラディンの傷跡」から入りそうなのは《危険なマイア》《ヴァルショクの心臓焚き》《ヴァルショクの模造品》《屍気の香炉》くらいですか?
《危険なマイア》と《屍気の香炉》が4枚ずつ入るのなら、《カルドーサの再誕》も入りそうですね。

・赤白上陸
《ステップのオオヤマネコ》《板金鎧の土百足》《コーの空漁師》《探検者の望遠鏡》を《冒険者の装具》《帆凧の弟子》で強化して火力でトドメなデッキ。
《ヴィティアのとげ刺し》が落ちたのはやはり追い風だと思います。
ローテーションで抜けたカードは《ナヤの全景》くらい。
このままでも強いですが、今後金属術上陸デッキに発展するかもしれません。

・赤白青コントロール(AMURRICA)
《海門の神官》や《記憶の壁》を《コーの空漁師》で使いまわしながらアドバンテージを取り、《コーの空漁師》の攻撃と火力で勝つデッキ。
パーツの中に落ちたものはありません。
今後も生き残っていくものと思われます。

・赤白青《戦隊の鷹》(Star Spangled Beats)
《コーの空漁師》《海門の神官》でカードを引いて、《器用な決闘者》と《戦隊の鷹》の進路を火力でこじ開けて殴るアグロ・コントロール。
《聖域のガーゴイル》と《急使の薬包》を入れてTeam Americaっぽくしたり、同型メタのために《ハリマーの波見張り》を入れたりするバリエーションもあります。
《器用な決闘者》は落ちましたが、代替は効くでしょう。
その他に失ったパーツはありませんから、《ヴィティアのとげ刺し》が落ちた分だけプラスだと思います。

トリコロール・ベースのデッキが多くて紛らわしいかもしれませんが。
AMURRICAが基本形で、それに《戦隊の鷹》を入れてアグロ・コントロールに仕立てるとStar Spangled Beats、《グレイブディガー》を入れるとFull English Breakfast、《記憶の壁》を抜いて《グレイブディガー》《聖域のガーゴイル》と《急使の薬包》が入るとTeam Americaという感じです。
アグロ度はStar Spangled Beats > Team America > AMURRICA > Full English Breakfastです。

・緑白(青)オーラ
《オーラのナーリッド》《聖なる狼》を《ハイエナの陰影》《蛇の陰影》(たまに《アーシャの好意》)で強化して殴るデッキ。
オーラ的には、《結晶化》《豊穣の痕跡》《アーシャの好意》が落ちて《拘引》が入ったというくらいですか。
構成パーツのほとんどが残りました。
とはいえ、このアーキタイプはシーズン中盤で既に廃れていて、《オーラのナーリッド》は緑白賛美に移籍してしまいました。
《コーの空漁師》が蔓延する中、除去をオーラに頼るのはアドバンテージを失い過ぎるんですね。
何もオーラを使わなくても、《オーラのナーリッド》は賛美されればアンブロッカブルです。
しかし、賛美デッキは構成パーツの大半を失って消滅でしょうから、再びこのアーキタイプが注目される可能性はあります。
《忘却の輪》が落ちるのは少しだけ追い風です。微風ですけど。
それと、このデッキを使ってると、《巨森の蔦》が4枚じゃ足らないなぁと思うことがしばしばあって、《死への抵抗》はもしかするといいのかも。
ま、強化されると言ってもその程度のことなのですが。

■弱体化しそうなアーキタイプ
・白黒コントロール
《コーの空漁師》と《グレイブディガー》で墓地と手札をぐるぐるしながら相手の除去をいなし、《孤独な宣教師》《堕落の触手》《カビーラの交差路》で時間を稼ぎ、《墓所の切り裂き魔》につなぐデッキ。
《大祖始の遺産》が落ちたのは追い風なのですが、肝心の《堕落の触手》が落ち、アグロ耐性が著しく低まりました。
もともと構造的にStar Spangled Beatsに弱いということがあって、それは今後とも変わりそうにありません。
何か新たな発見が必要そうです。

・白黒赤上陸(Ugly)
赤白上陸に《荒廃稲妻》(とサイドボードに《グレイブディガー》)がタッチされたデッキ。
黒をタッチする最大の理由である《荒廃稲妻》が落ちたので、デッキの存在理由が問われます。
《減縮》を入れたいからっていうのはたぶん理由になんない。

・白黒赤《戦隊の鷹》(Hawkeye)
《荒廃稲妻》《リリアナの死霊》で手札を攻め、《戦隊の鷹》や《コーの空漁師》で殴るハンデス・ビートダウン。
でしたが、《荒廃稲妻》が落ちちゃったので弱体化は避けられません。
《リリアナの死霊》だけではこのデッキのコンセプトを維持するには辛そうです。
《精神の瘴気》でも入れるんでしょうか。

・青(黒)赤カウンター・バーン(Searing Turtleなど)
生物は《方解石のカミツキガメ》4枚のみ、かまたはそれに《記憶の壁》《海門の神官》あたりのアドバンテージの取れるクリーチャーがいくつか加わったくらいの構成のカウンター・バーン・デッキ。
特に、生物を《方解石のカミツキガメ》だけに絞り、《天球儀》からマナを揃えて《圧倒する雷》を撃つビルドはSearing Turtleと呼ばれ、実績豊富でした。
バーン・デッキの天敵である《孤独な宣教師》も、このデッキに対しては、戦場に出ることが許されないために、もひとつ有効性に欠けます。
しかし、フィニッシャーである《圧倒する雷》が落ちた打撃は大きく、その穴を埋める方法はちょっと思いつきません。
《本質の散乱》が落ちたのも地味に痛いです。

・黒赤ビートダウン(Blightning)
「アラーラの断片」で華々しく登場し、何度も優勝した実績のある強デッキ。
息の長いアーキタイプなので、時期により構成パーツはいろいろ変わってきました。
変わらないのは《荒廃稲妻》が4積みだということくらい?
「ワールドウェイク」の登場まではわりと使われていた、《グリクシスの邪刃》《ジャンドの斬刃》《脈火の境界石》の入った高速ビートダウンは、環境に《よろめきショック》が現れてからほとんど見られなくなってしまいました。
その後《カターリの爆撃兵》《臓物を引きずる者》《縫い目のドレイク》などを主力とする形態にシフトしていきましたが、これらも今回軒並み落ちました。
現在良く見られるのは《窯の悪鬼》《板金鎧の土百足》《破壊者のゼンディコン》《ゼクター祭殿の探検》などのゼンディカー・ブロックのビート・スティックの入ったタイプで、これはあまりローテーションの影響を受けません。
とはいえ、そもそもデッキの存在理由であった《荒廃稲妻》が落ちたとなると、黒を使いつづける理由もあまりないような。
現在の形の黒赤ビートダウン・デッキは今後見られなくなりそうです。

・黒赤バーン
・赤単バーン
対プレイヤー火力カードが4種類(《荒廃稲妻》《圧倒する雷》《消しえる火》《溶岩の斧》)落ちました。
代わりに入ってきたのが《感電破》と《屍気の香炉》。
《危険なマイア》《ヴァルショクの模造品》を勘定に入れるとしても、ダメージ効率はだいぶ落ちそうです。
一方《孤独な宣教師》は残ったままですので、バーンを取り巻く状況は悪化の一途を辿りそうです。

・黒赤緑ランプ
《カビのシャンブラー》《心臓刺しの蚊》と、わりとどうでもいいところは残りますが、《朽ちゆくヒル》《国境地帯のレインジャー》《圧倒する雷》《腐肉団》と、デッキの心臓部が落ちました。
せっかく《地平線の呪文爆弾》が加わるのですが。
アーキタイプとして残るとしても、《ウラモグの破壊者》を入れるとか、別の道を探ることになると思います。

・青赤緑トークン
青のドロー・カードで引いてきた緑のトークンをバラまくクリーチャーを並べ、主に赤のフィニッシュ・カードにつなげるデッキです。
《ヴィティアのとげ刺し》が落ちたのは朗報ですが。
《ラッパの一吹き》《暴力的な突発》《風切るイグアナール》《茨団のヴィーアシーノ》が落ちたので、フィニッシュ・ブローの選択肢がかなり限定されました。
というか、《略奪の爆撃》《ウラモグの破壊者》《大群の力》ですね。
特に《ラッパの一吹き》が落ちたのが痛く、存続の危機かと思われます。

・赤緑《投げ飛ばし》
《窯の悪鬼》《板金鎧の土百足》《聖なる狼》などに《途方もない力》を撃って大ダメージを与えた後に《投げ飛ばし》て勝つデッキ。
落ちたのは《途方もない力》くらいなのですが、そのいい代替がなかなか見つかりません。
これがないと《板金鎧の土百足》《窯の悪鬼》は威力半減ですし、《聖なる狼》はそもそも殴れません。

・赤緑《聖なる狼》
《聖なる狼》に《火山の力》を付けて山を渡るデッキ。
上位に行けば山の入ってないデッキなんてほとんどないので、渡れないことはあまりありません。
赤いアグロ・デッキが軒並み強くなりそうなヨカンなので、その対抗勢力として残る可能性はあります。
ただし、《野生のナカティル》《ヴィティアのとげ刺し》《燃えさしの織り手》《ロウクスの粗暴者》には代わりが必要です。
といってもそう簡単には見つからないので、どうしたものか。
ファッティではなく、別の角度のカードを加える方向で生き残る可能性はありますが、そうなると最早別のデッキですね。

・緑白青《戦隊の鷹》&トークン(Soul Systers)
落し子の出る緑の生物と《戦隊の鷹》でクリーチャーをいっぱい出して《魂の管理人》《魂の従者》でメチャクチャ回復しおもむろに《印章の祝福》か《鼓舞する突撃》でフィニッシュするデッキ。
《ヴィティアのとげ刺し》が落ちたのは朗報ですが、《魂の管理人》も落ちました。
もともとこれら姉妹は8枚入っていたわけではなく、ビルドによって5枚か6枚だったのですが、4枚だけはさすがにツライような気がします。
《突撃の鈍化》あたりのお世話になるんでしょうか。4マナはちょっと重過ぎますか。
《印章の祝福》も落ちたので、全体強化は3マナ以上(《勇敢な防御》《鼓舞する突撃》)しか残ってません。
《減縮》《地鳴りの揺るぎ》に対する耐性はだいぶ落ちたと思います。
そういえば《ナヤの神の印章》も落ちましたね。もっともこれはこのデッキの本線ではありませんが。

・緑白青同盟者
《マキンディの盾の仲間》で地上を固め、《オンドゥの僧侶》で時間を稼ぎつつ、《ウマーラの猛禽》《灰色革の狩人》で殴るか、それがうまくいかないなら、《ハリマーの採掘者》で削るという両睨みのアグロ・コントロール。
「ワールドウェイク」シーズンにはそれなりに活躍したのですが、ここんとこ芳しい成績を挙げていません。
増殖を使うほどにはカウンターの乗るクリーチャーは多くはなく、今後の伸び代は少なさそうです。

■どちらとも言い難いアーキタイプ
・白青同盟者ミル
《オンドゥの僧侶》と《マキンディの盾の仲間》で守りつつ、《ハリマーの採掘者》《ジェイスの消去》でライブラリーを攻めるデッキ。
《定業》で2枚3枚と削られたり《深遠の謎》で12枚削られたりするとびっくりします。
ローテーションで落ちたパーツは特にありません。
《原霧の境界石》くらい?
ミル・カードとしては、《金切り声のシルカウ》が加わったような加わってないような。
現状そんなに見る機会が多いデッキではないので、強くなるやら弱くなるやら良く分からず。

・白青《戦隊の鷹》
《コーの空漁師》《戦隊の鷹》《嵐前線のペガサス》《占いフクロウ》などを並べて全体強化して瞬殺するデッキ。
《栄光の突撃》が落ちたマイナスと《ヴィティアのとげ刺し》が落ちたプラスのどちらが大きいかということになりそうです。
今後は《減縮》対策は打消し呪文に頼ることになりそうですね。

・白青黒コントロール(New Face of Esper)
《孤独な宣教師》で時間を稼ぎ、《聖域のガーゴイル》《急使の薬包》でカードを引いて、《コーの空漁師》《海門の神官》《グレイブディガー》でアドバンテージを取り、いつの間にか勝つデッキ。
構成パーツで落ちたのは、《聖域のガーゴイル》《処刑人の薬包》《急使の薬包》《本質の散乱》《魂の操作》《苦悶のねじれ》などです。
《聖域のガーゴイル》はアドバンテージ・エンジンの一部であると同時にアタッカーでもブロッカーでもあって、このデッキの重要な部品の一つではありますが、代替不可能かというとそうでもないんじゃないかしら。
《記憶の壁》とか《不気味な発見》とか、新たなパーツを入れた新しいビルドが出てきそうな気がします。
《大祖始の遺産》が落ちたのも追い風です。
それで強くなるかどうかは良く分からないところですが。

・緑単ビートダウン
《野生のレオトー》も《暴走するサイ》も落ちました。
残るファッティは《大木口の幼生》《領地のベイロス》あたりですか。
地味に《散弾の射手》が落ちたのが痛いような。
しかし、《地平線の呪文爆弾》が入ったので、緑単ランプが組めるかもしれません。
《オンドゥの巨人》《オラン=リーフの出家蜘蛛》《カビのシャンブラー》あたりを経由して《ウラモグの破壊者》を高速召喚したり《野心の発動者》を起動したりするようなビルドが出てくればまた違った展開もあるやも。
ないか。

・3-4色同盟者ビートダウン
黒赤緑のビートダウン同盟者を中心に、《ウマーラの猛禽》または《兵員への参加》を散らす形態のビートダウン・デッキ。
同盟者は今後おそらく一切増えませんなー。
それはいいとしても、各種境界石などの多色サポートが落ちたのが、3色アグロにはツラいところです。
プラス要素は増殖だけですが、それでいったいどうなるのやら。

・赤緑壁エルドラージ
《草茂る胸壁》でマナ加速して、《孔の歩哨》あたりを囮にしつつ《ウラモグの破壊者》につなぐデッキ。
《戦闘塁壁》で速攻がついて殴ってくることも。
「基本セット2011」シーズンに入ってからあまり見なくなったアーキタイプです。
たぶん、《戦隊の鷹》が全然止まらないのと、《ウラモグの破壊者》に対処されると攻め手がなくなっちゃうあたりが不安定なんだろうと思います。
「ミラディンの傷跡」から何が入ったのか良く分かりませんが、《地平線の呪文爆弾》は入りそうですね。

というわけで今日はこの辺にしといてやらあ。

つづくー。

コメント

maa
maa
2010年10月25日22:56

さっぱりわからんが、赤白上陸が強そうな気が勝手にしてるw

いく
2010年10月25日23:00

そうですなー。
天敵の白黒コンの弱体化が著しいので、赤白上陸ビートは強まると思われます。

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