そろそろリリース・イベントが始まるということで、「ミラディン包囲戦」のカードのシールド戦向けのカード評価をまとめてみました。
詳しいことは以前のエントリー(http://81908.diarynote.jp/201007211152533638/)をご覧頂くことにして、今回もフリは簡単に。

ドラフト用ではなくシールド用なので、「どのカードをピックするか」を決めるための評価ではなく、「どの色でデッキを組むか」を決めるための評価です。
そのカードが存在することが、色の選択に影響を与えるようなカードに高得点を与えるような評価になります。
それは、おおむねカードの強弱に一致してはいるのですが、やっぱり細かいところで少し違ってきます。

今回は、「ミラディンの傷跡」で変更した評価測度をそのまま使います。

S: 極めて強力:ゲームの状況に極めて大きな影響を与える
A: 相当強力:サイズの大きな回避生物、強力な除去、大きなカード・アドバンテージ
B: 強力:回避生物、除去、安価なファッティ、全体強化、カード・アドバンテージ
C: 有用:デッキがその色になるなら使われることが多い。標準サイズ生物、限定除去、確定カウンター、強力な強化/救助、マナ支援
D: 限定的:デッキがその色になってもメインでは使わないことが多い。貧弱な生物、限定的なコンバット・トリック、構築を想定した能力、対策カード

細かい基準は環境毎に少しずつ異なりますが、今回はSOM環境で得た基準を出発点とすることにします。
それは次のようなものです。

S,A,Bは、そのカードがあるならば、その色をメイン・カラーにしたいと思うレベルのカードです。
基本的には、そのようなカードが多くある色をやりたいわけですが、SとAとBとでは、その程度に少し差があります。

・S
運のいいヒトが使える、環境最高のカードです。
相手の有利な盤面で、ここで何か引かないと負けてしまう、という状況でトップ・デッキして形勢を逆転できる (こちらが逆に相手に対処を迫れる) 種類のカードがこのクラスです。
直面しているであろう何らかの脅威に回答できることは必須です。
加えて、次ターン以降の継続的なクロックかまたは大きなアドバンテージが要求されます。
このカードが引けたなら、多少のムリをしてでも (低評価のカードがデッキに入ることを許容してでも) この色をメイン・カラーにすべきレベルのカードです。

・A
大抵のデッキに入る最高水準のカードです。
このレベル (以上) のカードが可能な限り多くデッキに入るように工夫してデッキを組みます。
メイン・カラーにするのがムリなら、タッチして使うことを検討します。
概ね、パワー4以上の回避生物、それを除去できる除去 (ということは除去エンチャントやタッパーなども含みます)、継続的なアドバンテージ、一度に2-3枚のアドバンテージ、程度が要求されます。
加えて、SOM環境では、無条件のアーティファクト除去も最終的にこのクラスに入りました。
MBSの評価もとりあえずそこから出発してみようと思います。

・B
デッキの主力になるカードです。
このカードの色をメイン・カラーにする動機になります。
概ね、2点の回避クロックとか、2~3点除去とか、1枚のアドバンテージとか、そういうものがここに入ります。
3マナ3/3とか4マナ4/4とかの安いファッティ、効果の強い強化装備品、全体強化するパーマネントなどもここです。

一方C,Dは、そのカードがプール中にあるからといってその色を使う動機にはならないカードです。
これらのカードの比較対象は、同じ色の他のカードです。
その色がメイン・カラーになったときに、デッキに入るかどうかという観点で分類します。

・C
このカードがあるからといってこの色を使おうと思うほどではないものの、デッキがこのカードの色になるなら入ることが多いというレベルです。
その色で標準的なサイズの生物はだいたいここです。
それは色によって違うので、例えば4マナ3/3は、青ならCですが、緑ではDです。
1点除去やブロッカー除去 (例えば継続的なブロック禁止効果) などの限定的な除去はここに分類されます。
確定カウンターの類はここに分類しています。
シールド戦ではリアクティブな呪文中心のデッキというのは組み難いので、カウンター呪文は使いづらいんですよね。
ほぼ除去としてカウントできるような強力なコンバット・トリックや、多色化支援/マナ加速などのマナ・サポートもここです。

・D
このカードの色がメイン・カラーになっても、このカードがデッキに入る可能性が半分に満たないようなカードは、ここに分類されます。
普通はこのカードよりもいいカードがプールにあるはずだけど、ないなら仕方なく使うこともある、というレベルです。

このようにして評価した上で、S/A/B/C/D=5/3/2/1/0とポイントを割り振ります。
カード・プールを与えられると、10種類ある2色の組み合わせについて、その2色のデッキに入りそうなカードをピックアップし、その中からポイントの高い順に23枚のカードを取り出して、その合計ポイントを計算し、どの2色の組み合わせでデッキを組むのが良さそうかを判断するというわけです。
それを手で計算してたらたいへんなので、計算用のプログラムがあります。

上記に加えて、次の補助評価指標を使います。

P評価 ... 特定の種類のカードがプールに多い場合に加点/減点すべき種類のカード。
Q評価 ... 対戦相手のデッキによっては加点/減点すべき種類のカード。

P評価は、例えば、種族のロードとか、感染とかです。
《疫病のとげ刺し》の基本評価はDですが、感染デッキの組めるプールだったらBになります。これを、《疫病のとげ刺し》のP評価はBです、と表現します。
Q評価のつくカードは、例えば渡りとかエンチャント破壊とかで、サイドボード候補になります。

MBSのカードを評価した結果、各色の評価はこういう分布になりました。

「ミラディンの包囲戦」
S: 7種類 0.22枚/パック
A:25種類 1.43枚/パック
B:23種類 2.55枚/パック
C:42種類 5.15枚/パック
D:48種類 5.65枚/パック

参考までに、最近のカード・セットではこうでした。

「ミラディンの傷跡」
S:14種類 0.27枚/パック
A:35種類 1.48枚/パック
B:42種類 2.52枚/パック
C:49種類 3.01枚/パック
D:89種類 6.72枚/パック

「基本セット2011」
S:15種類 0.30枚/パック
A:23種類 1.02枚/パック
B:49種類 2.99枚/パック
C:52種類 3.75枚/パック
D:90種類 5.94枚/パック

「エルドラージ覚醒」
S:10種類 0.15枚/パック
A:21種類 0.90枚/パック
B:52種類 3.20枚/パック
C:69種類 5.07枚/パック
D:76種類 4.69枚/パック

比較すると、Sのカードが極端に少ないですね。
でも、もともとSのカードなんてなかなか引けないので、それはあんまり関係ないかもしれません。
S,A,Bを合わせた数の割合を比較すると、

MBS:4.20
SOM:4.27
M11:4.31
ROE:4.25

こうして較べると、それほど変わらないですか。
しかしこれを評価するには次の事情を考慮する必要があります。

MBSでは感染のカードが増えていまして、それらはP評価は高いのですが、基本評価が低いです。
上の数字は基本評価の合計ですので、感染をやれるプールの場合、この数字以上に強い可能性があります。

SOMのシールド戦では有力な感染デッキを組めることは稀でした。
金属術デッキも、組むこと自体はできても、強いデッキにはなかなかなりませんでした。
実戦で組まれるデッキの多くは、感染でもなく (いつもよりだいぶアーティファクトは多いものの) 金属術と呼べるほどでもない、良くも悪くも普通のデッキでした。
このあたり、MBSではどうなんでしょう。

それは、実戦を戦ってみないとちょっと予測しにくいところではありますが。
コモンの感染クリーチャーの割合は、SOM:9/57に対してMBS:7/35で、ものすごく増えているというわけでもありません。
アンコモン以上も勘定に入れて、6パックのシールド戦だと思って計算すると、SOM*6の場合は平均6.53枚、SOM*3+MBS*3の場合は平均8.74枚の感染クリーチャーがカード・プールにあることになります。
プール平均で2枚増えたわけですが、さて、これで感染デッキはどのくらいの頻度で組めるんでしょうか?
(ただし、これは単に「Infect」と印刷されているクリーチャー・カードの数を数えただけでして、例えば感染を与える装備品とかは考慮してません。)


デッキの色毎に集計してみました。
単位はポイント/パックです。

「ミラディン包囲戦」
白単:4.64 青単:5.35 黒単:4.46 赤単:5.18 緑単:4.53
白青:7.82 青黒:7.70 黒赤:7.46 赤緑:7.53 緑白:7.00
白黒:6.93 黒緑:6.92 緑青:7.71 青赤:8.35 赤白:7.64

青と赤が強いですね。
わたしが評価すると概ね青と黒が強くなるのですが。
黒が評価されるのは除去色だからなので、感染が多いせいで基本評価が落ちている黒の代わりに、除去色としては2番手の赤が強いというのは理解できることです。
緑が弱いのもいつものこと。
つまり、この結果はいつものわたしの評価の傾向を素直に反映していそうです。

ちなみに最近のセットではどうだったかというと、こうでした。

「ミラディンの傷跡」
白単:5.58 青単:5.86 黒単:5.59 赤単:5.62 緑単:5.66
白青:7.87 青黒:7.81 黒赤:7.58 赤緑:7.64 緑白:7.61
白黒:7.52 黒緑:7.61 緑青:7.87 青赤:7.83 赤白:7.55

「基本セット2011」
白単:3.89 青単:4.01 黒単:4.14 赤単:3.12 緑単:3.42
白青:6.83 青黒:7.08 黒赤:6.19 赤緑:5.47 緑白:6.24
白黒:6.94 黒緑:6.48 緑青:6.35 青赤:6.05 赤白:5.93

「エルドラージ覚醒」
白単:3.68 青単:3.37 黒単:4.37 赤単:4.13 緑単:3.12
白青:6.08 青黒:6.78 黒赤:7.65 赤緑:6.29 緑白:5.83
白黒:7.09 黒緑:6.53 緑青:5.52 青赤:6.54 赤白:6.84

SOMの数字が以前の記事で出した数字とは異なっていると思いますが、それは実戦の結果を受けて評価を変更しているからです。

SOMでの単色の評価が突出して高いのは、無色の呪文が多く、その評価が各色の評価を均等に底上げするからです。
その事情はMBSでも変わっていませんが、パックあたりのアーティファクトの期待評価値が異なるので、それがそのまま数字に跳ね返っています。

SOM:3.65
MBS:2.28

差分の1.37を足してみればお分かりのように、MBSの有色呪文の評価はSOMのそれよりもむしろ少し高めです。
さてしかし、シールド戦ではMBSのパックだけを使うわけじゃありません。
SOMを3パック、MBSを3パックの合計6パックのシールド戦だと思って、各2色デッキのプール毎の期待ポイントを比較すると、こうなります。

上段:「ミラディンの傷跡」*6
下段:「ミラディン包囲戦」*3+「ミラディンの傷跡」*3

白青:47.19 青黒:46.88 黒赤:45.45 赤緑:45.86 緑白:45.63
白青:47.05 青黒:46.55 黒赤:45.12 赤緑:45.54 緑白:43.82

白黒:45.14 黒緑:45.64 緑青:47.22 青赤:46.95 赤白:45.29
白黒:43.36 黒緑:43.58 緑青:46.73 青赤:48.53 赤白:45.57

少し強くなったところもあったり弱くなったところもあったりですが、全体的にはそう大きく変わってはないようです。

次回は「ミラディン包囲戦」のカードに関する評価をまとめます。
てなわけでつづくー。

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