その3からは、Louis Scott Vargasのカード評価との比較です。
これをやるのは、自分の評価基準の見直しの参考にするためです。

ということは前回も前々回も書いたー。
以下もほぼ同じことを書きますが、今回少し変えたところもありますし、測度に関して整理しておくことは重要なので改めて。

システムの改善にはPDCAサイクルを回すことが重要ですが、何せ複雑系ですので、カード・プールの評価方法、カードの評価測度、個別のカードの評価について、具体的にどこが悪いから実績 (シールド戦の勝率) が上がらないのかを分析するのはけっこうたいへん。
そこで、せめて個別のカード評価くらいは、他人の評価と比較しながら、検討課題をあらかじめピックアップしておいて、それについて途中で見直しながら進めていこうというわけです。

さて、LSVは「ミラディンの傷跡」の各カードについて、構築とリミテッドの両方の視点で評価をしていますが、リミテッドの方の評価測度はこんな感じになっています。

5.0: このカードは必ず使う。
4.5: このカードは、他にどんなカードを取れたかに関わらず、ほぼ常に使う。
4.0: たとえこのカードがその色の唯一のカードであるとしても、このカードを使うことを真剣に検討する。
3.5: このカードの色をやろうと努力する。
3.0: このカードがあることで、その色をやりたくなる。(もしこの色をやるなら、このカードは100%使う。)
2.5: このくらいのカードが何枚かあるなら、その色をやりたくなる。この色をやるなら、原則として常にこれらを使う。(もしこの色をやるなら、その90%のケースで、このカードを使う。)
2.0: この色をやるなら、通常はこれらを使う。(70%)
1.5: この色をやるとき、このカードをメインに入れるのはおよそ半分というところ。(50%)
1.0: このカードがメインに入るようだと残念。(30%)
0.5: サイドボードで使う状況はあるが、メインには入らない。(10%)
0.0: このカードをデッキに入れることは決してない(メインであれサイド後であれ)。 (0%)

いつもとおんなじですなー。

さて、上記をわたしの評価測度と対応させるために、次のようにおおざっぱにまとめ直しました。

4.5+:理屈はどうでもとにかく使うカード。
4.0:その色のカードがこれだけだとしても使う/使いたいカード。
3.5:そのカードの色をやるために、多少のムリをするレベルのカード。
3.0:そのカードの色をやりたいとは思うけど、ムリしてまでとは思わないレベルのカード。
1.5-2.5:その色をやるのなら、半分以上のケースでデッキに入るカード。
0.0-1.5:その色をやるとしても、デッキに入るケースは半分以下のカード。

それで、前回までは、これを、わたしの評価測度と次のように対応させていました。

S: 4.0+: このカードが引けたなら、多少のムリをしてでもこの色をやる。
A: 3.5: このレベル以上のカードが可能な限り多くデッキに入るように工夫してデッキを組む。
B: 3.0: このカードの色をやる動機になる。
C: 1.5-2.5: このカードがあるからといってこの色をやろうとは思わないものの、この色をやるのならメインに入ることが多い。
D: 0.0-1.5: このカードの色をやるとしても、このカードがメインに入る可能性は半分に満たない。

が、どうも、4.0について、わたしとLSVとで評価が分かれることが多く、今回から上の二つを次のように変えました。

S: 4.5+: このカードが引けたなら、多少のムリをしてでもこの色をやる。
A: 3.5-4.0: このレベル以上のカードが可能な限り多くデッキに入るように工夫してデッキを組む。

LSVの評価に合わせるのが目的ではないのであんまり本質的ではないんですが。

さて、それも含めて、上記には注意すべき点があります。
LSVの評価環境は「リミテッド」であって「シールド」ではありません。
「リミテッド」とは「ドラフトだけではないよ」という意味でしょうが、それでも主にドラフトで使われることが想定されているでしょう。
シールドで評価点を気にするヒトはあまりいないと思うので。
一方わたしの評価はシールド戦でどの色でメイン・デッキを組むかを決めるための評価です。
しかし、ドラフトで優先的にピックすべきカードは、必ずしもシールドのメイン・デッキの色を選ぶ上で優先して考慮すべきカードではありません。
このため、以下に挙げるような違いが生じます。

・S/A評価の定義の違い
LSVの4.5点以上をわたしのS評価に、3.5-4.0点をA評価に対応させているのですが、実はこれらの評価基準は対応していません。
LSVの4.5点以上は「デッキの色に関わらず (ということはつまりタッチしてでも) 使う」ですが、わたしのS評価は「ムリしてでもメイン・カラーにする」です。
LSVの3.5-4.0は「そのカードの色をメイン・カラーにするためにムリをする」ですが、わたしのA評価は「メインがムリならタッチして使おうとする」です。
カードを選ぶための評価なのか色を選ぶための評価なのかが違うので、ここが微妙に違ってきてしまうのです。
ドラフトでは、タッチでも使えるシングル・シンボルのカードは優先的にピックしないといけません。
一方シールド戦では、ダブル・シンボルの非常に強いカードが2色とシングル・シンボルの同じくらい強い別の色のカードがあったとき、ダブル・シンボルのカードの2色をメイン・カラーにしてシングル・シンボルのカードをタッチすることを考えます。
なのでわたしのS評価のカードは、その色がメイン・カラーでないと使い難いカードが含まれます。
タッチ可能なカードは、それがすごく強ければS評価になりますけど (だって、メイン・カラーにした方が安定して使えますから)、そうでないなら評価は下がります。
カードが強いから高評価ってことにはなりません。

・C/D評価の精度の違い
わたしの評価測度は、B以上のカテゴリについてはわりと細分化されているのに、それより弱い評価のカテゴリについては大雑把な括りになっています。
これは、どの色でやるかを決めるのが目的の測度であり、どのカードをピックするかを決めるためのものではないからです。
ドラフトでは、例えば7手目のピックでも、そこで出たカードを比べて1枚選ばなきゃなりません。
LSVの測度が下の方も細かいのは、そういうところも影響しているのだと思います。

・対策カードの評価
ドラフトでは対策カードもピックしなければなりません。
例えばサイドボードに墓地対策カードがあればいざというときに安心ですが、ドラフトの場合、それをピックしなければサイドボードに取ることすらできません。
明らかにメインに入らないカードであっても、それが特定のマッチアップで特に有効であるなら、ある程度の評価をつけてピックするように努めないといけないわけです。
一方シールドでは、パックにそれが入ってれば自動的にサイドボードとして使えることになります。
サイドボード後のデッキの色がメイン・デッキと同じである必要はないので、メイン・デッキの色を決めるのに対策カードのことを考える必要はないのです。

・シナジー指向のカード
ドラフトはピックをコントロールできますが、シールドはパックをコントロールできません。
ドラフトの場合、既にピックしたカードを意識しながら次のカードをピックできます。
特定の種類のカードと組み合わせると強いカードが早い段階で取れているのであれば、以後はそのカードを活かすようにピックできるわけです。
一方シールドは、とにかく開けたパックに入ってるカードを使うしかありません。
シナジー指向のカードがあっても、それと相性に良いカードがそれなりの数パックに入ってなかったら使えないこともあります。
よって、ドラフトではその種のカードを高く評価することに意味がありますが、シールドではそのカードが使えるパックを引いたときのみ高く評価することになります。
MBS+SOM環境であれば、感染やアーティファクト関連のカードがこれに該当することになります。

そんな事情も考慮しつつ、以下、各カードの評価を比較してみます。
つづくー。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索