「ミラディン包囲戦」シーズンのスタンダード・コモン構築向けの評価のまとめの続きです。
2回目の今回は後半を。

■注目カード
以上 (以下?) を踏まえた上で、MBSのカードを個別に眺め、印象に残ったものをピックアップしてみました。
本当は「インパクトのありそうなものを」と言いたいトコロなのですが、それは余りにも少なかったので…。

○アーティファクト/金属術関係
・《回転エンジン》
アーティファクトであることに加えて、赤マナが濃ければブロックされません。
赤白金属術は難しいかもしれませんが、赤単では普通に使われそうです。

・《献身的な補充兵》
《野生のナカティル》以来の1マナ3/3カードではありますが、金属術が達成されていることが必須です。
ところが、SoMシーズン唯一の金属術デッキである赤白金属術でも、アーティファクトの数は14-18枚といったところです。
このデッキ、金属術を達成して《感電破》が4点飛ばすことはあんまり多くありません。
このカードを使うなら、デッキのアーティファクトの枚数を少なくともあと8枚くらいは増やしたいでしょう。
しかし、ホントにそれができるなら、先に《オーリオックの太陽追い》の方が入りそうですね。
こいつまで使われることがあるかどうかはやや不明ですが、まあ、一応。

・《主の呼び声》
《鼓舞する突撃》と相性がいいです。
じゃあトークンで使われるかというと、今のトークン・デッキにはこいつの代わりに抜くカードが見当たりません。
しかし、赤白金属術では使われるかもしれません。
《ゴブリンの奇襲隊》とも相性いいですし。
ただし本当にこのカードが強いのは、金属術を達成することがうれしい種類のカード (上の《献身的な補充兵》とか《オーリオックの太陽追い》とか) をデッキに入れる場合でしょう。
そうやって作ったデッキが強いのかどうかはちょっと分かりませんが。

・《胆液の水源》
環境には既に《予言のプリズム》がありますから、アーティファクトを生け贄に捧げて何かいいことのあるカードと一緒でないと使えないでしょう。
しかしコモンにはそういうカードはあんまりないんですよね。
《カルドーサの再誕》は別格として、後は《オキシダの向こう見ず》《鉄を食うもの》《錆びた斬鬼》。
これで何かデッキができると考える天才が現れたら、使われるかもしれません。

・《大あわての回収》
アーティファクトを使うデッキはいくつかありますが、墓地に落ちるような種類のアーティファクトを使うデッキとなると、けっこう限られます。
中でも最も良く使われるのは《危険なマイア》でしょう。
しかし、《危険なマイア》を使うデッキでは、他に墓地に落ちるようなアーティファクトは使いません。
実は《胆液爪のマイア》と《死体の野犬》を使う感染デッキが、最も墓地に落ちるアーティファクトを多用します。
が、感染デッキはそれでなくても《死体の野犬》で拾いまくるので、このカードで3枚も4枚も拾える展開にはなりそうにないです。
使われるとすると、こんなケースでしょうか。
 o 《危険なマイア》《回転エンジン》などの入った、よりアーティファクトに寄せた赤白金属術が成立するか、
 o (上でも触れた) アーティファクトをどんどん生け贄にするようなデッキが成立するか、または、
 o 《虚無の呪文爆弾》や《モリオックの模造品》を使いまわすようなデッキが成立するか
あんまり可能性が高いとは思わないのですが。

・《ミラディン人のスパイ》
1/3飛行は《コーの空漁師》が止まるので、一応存在価値はあります。
が、そのためだけにカード1枚使って3マナも払いたくないですね。
同じことは《稲妻》でもできるわけでして。
というわけで、使うならばそのアンタップ能力を悪用できると期待できなくてはなりません。
それも、擬似警戒くらいではあんまりご利益はないので、コストにタップを含む起動型能力が欲しいところです。
が、この環境で使われている生物には、そういうのはほとんどいないんですよね…。
タッパーを起こすということも考えられますが、5ターンに2回くらい自分のターンに1回タップできてもあんまりうれしくはないので、もっと別のものの方がいいでしょうね。
そうなるとまず考えられるのはマナ・マイアです。
マナ・マイアをタップしてマナ出してマナ・マイアを唱えてマナ・マイアをアンタップしてタップしてマナ出してマナ・マイアを唱えて、とやるとものすごいマナとマナ・マイアが出ます。
それで何かワルイコトができるかできないか。
もう一つは、《草茂る胸壁》《孔の歩哨》の壁コンビですか。
壁デッキは壁を入れなくちゃならないわけで、アーティファクトが入る余地があるのかっていうと、3色になりますから《予言のプリズム》はどうせ入るでしょうし、《絡み線の壁》も入るでしょう。
《補強された防壁》も一応あるけどさすがに入らないかな。
それを入れるくらいなら《シルヴォクの生命杖》ですか。
ともあれ、《ミラディン人のスパイ》2枚と《草茂る胸壁》《孔の歩哨》と森1島1山3出てる状態で《絡み線の壁》を出したら、《孔の歩哨》で (本来なら3点のところを) 9点入ることになり、そうバカにしたもんでもありません。
《ウラモグの破壊者》と組み合わせると、勝ち筋が二つのデッキになるかも。

まあ、夢を見られるのは今のうちということで。

○感染関係
・《腐敗狼》
こいつは採用でしょう。
《戦隊の鷹》や植物トークンに対する良い回答になります。
エルドラージ・落し子に効かないのは、まあしょうがないか。
環境に2/1とか2/2とかのサイズの生物は実は少ないので (《巣の侵略者》《グレイブディガー》《孤独な宣教師》《躁の蛮人》(あんまり見ない) と、新顔の《ファイレクシアの憤怒鬼》くらい?)、相討ちになるケースはたぶんあんまり多くないと思います。
しかし、2/3はいっぱいいるので、殴れないケースは多そう。
逆に、+1/+1する何か (《闊歩するものの装具》でもいいですけど、《野蛮な影法師》がベストかな) をつけて突撃させれば、それこそバリバリとカードを引いてくれそうです。

・《荒廃後家蜘蛛》
感染持ちの場合、2/3の《嚢胞抱え》ですらかなり強いので、2/4到達はもはやファッティです。
ただし、アグロ・デッキにとって4マナというのはかなり重い呪文です。
《死体の野犬》がある程度入ることを考えると、そう枚数を入れられない可能性が高いのですが、是非試してみたいスペックではあります。

・《ノーンの僧侶》
感染生物に警戒を持たせたら強いだろうな、とは思ってましたが、パワー1か…。
パワー1だと、相手の《海門の神官》を突破するのに3ターンかかるんですよね。
加えて、《ひずみの一撃》と《巨森の蔦》を1枚ずつ持っているときに、パワー2だと合わせて10点のダメージを期待できるんですが、パワー1だと足らないんです。
つまり、感染デッキでパワー1と2の差はすごく大きいんですよ。
一方、タフネス4は確かに頼りになります。
対アグロということもそうなんですが、対アグロという課題は最新の感染ビルドはかなりクリアできているので、更にこれを入れてどうこうしなくてはならないということはないかと。
それよりも、こいつをターゲットに《ひずみの一撃》を撃ったときに、火力で対応される可能性が非常に低いというのが頼もしいです。
まあ、それでも、除去を火力に頼らないデッキには必ず《破滅の刃》がメインから入ってますので、対コントロールという点ではそれほど大きなアドバンテージでもないですか。
強化装備品を付ければ活躍するだろうとは思いますが、装備品ばかりで生物の少ない感染デッキは弱いので、「装備品を付ければ」な生物をデッキに入れる余地がどのくらいあるかはちょっとどうかしら。
わたしは《荒廃後家蜘蛛》の方により大きな可能性を感じます。

・《枝モズ》
4マナもかかるのに《戦隊の鷹》《コーの空漁師》で止まってしまうのがややイタダケません。
《疫病のとげ刺し》ももひとつ活躍できないこの環境では、4マナでこれだとちょっと厳しいかも。
とはいえやっぱりパワー2は大きいからなぁ…。うーん。

○その他
・《軍団の結集》
トークン・デッキで使うことを考えると、《鼓舞する突撃》にとって代われるかどうかが問題です。
白ダブル・シンボルが実はちょっと負担だったりもしてたので、シングル・シンボルでしかも3マナというのは魅力的です。
しかし、+1/+0先制攻撃よりも+2/+1の方がはるかに良いのは確かです。
《戦隊の鷹》と《コーの空漁師》と《鼓舞する突撃》を抜いて、《軍団の結集》と《略奪の爆撃》と《ゴブリンの奇襲隊》と火力に替えるのを正当化するほどまでは強くないかも。
その一方で、《カルドーサの再誕》を使うような赤単デッキでは可能性があるかもしれません。
《ゴブリンの奇襲隊》が8枚になるようなもんですし。

・《病的な略取》
これはたぶん流行るでしょう。
黒の入るいろんなデッキで普通に使われると思います。
今はロクな墓地対策カードの無い時代。
墓地を封じてくる相手はあんまり多くありませんから。

・《ファイレクシアの憤怒鬼》
「基本セット2010」でスタンダード・リーガルだった頃にも良く使われたしお世話にもなったカード。
今後も良く使われるでしょう。

■新セットのインパクト
注目カードの傾向から見て、こんな感じじゃないでしょうか。

・金属術はイマイチ。
注目カードは頑張っていろいろ挙げては見たものの。
SOMシーズンで見られた金属術デッキは実は金属術はあんまり関係なかったので、上で挙げたようなカードはちょっと軸がズレている感じがします。
じゃあ、本来の金属術デッキが成立するかというと、難しいような。
デッキに入るレベルのアーティファクトの絶対数が不足しているのと、金属術を達成したところで大したことない (例えば《戦隊の鷹》あたりと較べて「これは強い」と思える金属術カードがない) のが致命的な気がします。

・感染は大幅に強化
《腐敗狼》は、今まで《予感》とか《蛇の陰影》とかを使って実現していたことを、感染生物でやってくれるいいカードのように思います。
白い感染生物も、もしかしたらワンチャンスあるかも。
白が入ると《戦隊の鷹》が使えるようになるので、《戦隊の鷹》を使ってくる相手に対して楽になります。
もう《胆液爪のマイア》がいるのに《減縮》を撃たなくちゃいけなかったりしなくて済むかも。
今は似たようなデッキばかりの感染ですが、いくつかのバリエーションがトップ8に現れるようになるかもしれません。

・黒は豊作
《病的な略取》と《ファイレクシアの憤怒鬼》が強いでしょう。
黒の入るデッキは今後益々栄えそうです。

現時点で環境最強のDigger=Fisherも黒を使ってますが、しかしこれはあまり強化されないかも。
憤怒鬼も強いですが、コントロール・デッキとしてはやっぱり《海門の神官》の方が強いでしょうし、《病的な略取》も、一時的なアドバンテージは取れますが、《グレイブディガー》のような無限のアドバンテージを提供してはくれません。
むしろこれらのカードを得てうれしいのは、青の入らないコントロール・デッキ (白黒コンや、黒単コン、黒緑ロック) や、《グレイブディガー》が重くて使えなかったクリーチャー・ビートダウン (黒単とか黒タッチ赤とか) だろうと思います。

・赤単も強化の予感
《回転エンジン》と《軍団の結集》を得て、強まりそうな気がします。

・赤白上陸、トークンはゼロ回答
もともと完成度の高いデッキだったこともあり、今回は上積みは無さそうです。

■新環境予測
まとめると、こんな感じではないかと予想しています。

○ティア1
・白青黒コントロール

○ティア1.5
・白青黒赤コントロール
・緑白青トークン
・3-4色の感染アグロ・コンボかアグロ・コントロール
・赤単アグロ
・赤白金属術

○ティア2
・赤白上陸
・黒単かまたは黒タッチ赤アグロ
・赤緑白青同盟者アグロ

上位の勢力図は、前環境後期とあまり変わりそうにありません。
新しいカードを使った新しいアーキタイプが突然現れて上位に入る、なんていうことは多分ないのではないかと。

■どのデッキを使いますか?
うーん。
昨シーズンは感染だったので、《腐敗狼》の入った新しいビルドを試してみたい気持ちはあるのですが。
赤単や黒単も面白そうな気も。
まずはちょっと新しいアイディアを試してみて、それから考えましょう。

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