結論から言うと、「まだ出てないだけ」だったようです。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/298b

■「マジック・ザ・ギャザリング カード検索データベース」:カード・データの更新
2014年5月9日発表のオラクル更新を反映しました。

■「マジック・ザ・ギャザリング 総合ルール・ビューワ」:新規ルールの登録
2014年5月1日発効の総合ルールを登録しました。
http://www4.atpages.jp/kakoiku/crv.php?lang=ja

短いので、一気に行きましょう。

=======================
通常、新セットの発売と共にもたらされる総合ルールとオラクルの変更は、Update Bulletin で皆さんに先行配信しています。ただ残念ながら、今あなたが読んでいるこの記事は遅れてしまいました。ごめんね! なので、これからわたしが語る変更のすべては、既に起きたことです。時空間連続体に悪い影響が無いといいんですけど。

いい方に解釈すれば、もしセットの Update Bulletin が遅れたなら、まあ、わたしは正しいセットを選んだということです(*1)。「ニクスへの旅」は2つの新しいメカニズムを持っています。いずれもうまく動きますし、よさげな相互作用もいっぱいなのですが・・・、なにぶん能力語なので、いわゆる「実ルール」を伴いません。オラクルの方にも見なくちゃいけないカードはそれほど多くはありませんでした。後で述べる1件の特筆すべき例外を除けば、実施した作業のほとんどは「お片づけ」的なものでした。今回、ほとんど変更が無かったので、この記事のフォーマットも1ページにまとめました。時空間連続体に悪い影響が無いといいんですけど(*2)。

ルール・チームが注目すべきだと考えるカードがあるならば、この記事の下の方から返信してお知らせください。今回貢献していただいた皆様に感謝を申し上げます。それじゃ始めましょう!

=======================
オラクル更新

■《偵察/Reconnaissance》(機能変更あり)
とすれば、その特筆すべき例外から始めないわけにはいきません。この「エクソダス」のカード、創られた当初は、やってることは単純でした。もしもあなたの攻撃クリーチャーが想定外の苦境に立たされた場合(たぶんあなたの予想外のサプライズ・ブロッカーとか《巨大化/Giant Growth》とかを対戦相手が唱えてきたんでしょう)、そいつをおうちに連れて帰れるということです。当時のルールでは、そうしたクリーチャーが戦闘ダメージを割り振ったり割り振られたりすることはありませんでした。能力を起動するウィンドウがなかったので。

しかし「第6版」ルールの登場で何もかもが変わりました。つまり、戦闘ダメージを割り振った後でアンタップする機会があって、なおかつ攻撃クリーチャーであり続けられたのです。確かにそのクリーチャーは戦闘からは取り除かれましたが、そのことが影響するようなことは滅多に生じませんでした。《偵察》は、あなたの任意のクリーチャーに効果的に「擬似警戒」を与えるのに使えました。

時は流れました。

長い時でした。

チと長過ぎたやも。

かくして、このカードはわたしの注意を引きました。
そこにあったのは、新しいルール・セット(生け贄能力で戦闘ダメージがスタックに載らないとかそういうやつ)のもとで機能が変化したカードというよりも、事実上別のカードでした。これがどのくらい使われたのか良く知りませんが、現在ただいま誰かが使ってたとしたら、それは元々意図していたデザインの故ではないことはほぼ明らかです。オラクルのテキストの重要な目標の一つは、デザインの意図に忠実であることです。《偵察》は(概ね)同じテキストでやってきたわけですが、全く以って別のカードでした。これは間違っていると思います。元の機能を取り戻すテキストを考え出しました。

以前のテキスト:
{o0}: Remove target attacking creature you control from combat and untap it.
{o0}: あなたがコントロールする攻撃クリーチャー1体を対象とする。それを戦闘から取り除き、アンタップする。

新しいテキスト:
{o0}: Remove target attacking creature you control from combat and untap it. Activate this ability only before the combat damage step.
{o0}: あなたがコントロールする攻撃クリーチャー1体を対象とする。それを戦闘から取り除き、アンタップする。この能力は、戦闘ダメージ・ステップより前にのみ起動できる。

お話はこれでおしまいかっていうと、実はそうでもありません。この変更は、わたしから誰かにお伝えするより前にGathererで公開されたため、皆さんの議論の的になりました。何故我々は何年も経ってからこのカードを変更したのか? もしこのカードが変更されたなら、何故《Maze of Ith》やその他の似たようなカードは変更されなかったのか? どう見ても機能的には同じです。そして何故ヴァンガードのカード《Oracle》は変更されなかったのか? (まあ、それは簡単で、Oracle検索でOracleが見つからなかったっていう。)どれもいい質問で、真面目に検討しています。

てなわけで、この話はまだ見直し中だと考えてください。変更は有効で、Gathererのテキストは正しいのですが、このカードについてお話しするのはこれが最後というわけにはいかなさそうです。

■「被覆」の注釈文(機能変更なし)(*3)
被覆はかつて「常盤木」キーワード能力でしたので、被覆を持つカードのいくつかには注釈文がありません。加えて、注釈文を持っているカードのいくつかには矛盾が見受けられました。ここ暫く被覆にお目にかかっていないので、Gathererで被覆持ちのカードを見た人が被覆が何をするか知らないことはあり得るでしょう。そこでわたしはそれらのカードに一通り目を通し、注釈文を整備しました。被覆が列挙されたキーワードに含まれているケースでは、新しい注釈文との対応を取るため、別の行に分けた例がいくつかあります。

■《Arctic Foxes》(機能変更なし)
このカードは、ブロックされないことを述べる場合の標準的な方法に従っていませんでした。

以前のテキスト:
Creatures with power 2 or greater can’t block Arctic Foxes as long as defending player controls a snow land.
パワーが2以上のクリーチャーは、防御プレイヤーが氷雪土地をコントロールしているかぎり、《Arctic Foxes》をブロックできない。

新しいテキスト:
Arctic Foxes can’t be blocked by creatures with power 2 or greater as long as defending player controls a snow land.
《Arctic Foxes》は、防御プレイヤーが氷雪土地をコントロールしているかぎり、パワーが2以上のクリーチャーによってはブロックされない。

■《スレイマンの壺/Bottle of Suleiman》(機能変更なし)
奇妙なことに、このコイン投げカードは悪い結果の方を先に書いています。コイン投げは起動型能力の結果ですから、あなたが何故それを起動するのかを知る前にずいぶん長いこと読む必要があるというわけです! 結果の部分を入れ替えて、より一般的な「すごいこと優先」方式にしたがうようにしました。

以前のテキスト:
{o1}, Sacrifice Bottle of Suleiman: Flip a coin. If you lose the flip, Bottle of Suleiman deals 5 damage to you. If you win the flip, put a 5/5 colorless Djinn artifact creature token with flying onto the battlefield.
{o1}, スレイマンの壷を生け贄に捧げる(*4): コイン投げをする。あなたがコイン投げに負けた場合、スレイマンの壺はあなたに5点のダメージを与える。あなたがコイン投げに勝った場合、飛行を持つ無色の5/5のジン・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。

新しいテキスト:
{o1}, Sacrifice Bottle of Suleiman: Flip a coin. If you win the flip, put a 5/5 colorless Djinn artifact creature token with flying onto the battlefield. If you lose the flip, Bottle of Suleiman deals 5 damage to you.
{o1}, スレイマンの壷を生け贄に捧げる: コイン投げをする。あなたがコイン投げに勝った場合、飛行を持つ無色の5/5のジン・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。あなたがコイン投げに負けた場合、スレイマンの壺はあなたに5点のダメージを与える。

■《Fastbond》と《Naya》(機能変更なし)
今や、あなたがあなたの各ターンにプレイする土地1枚と、プレイを許された追加の土地との間に何ら差異は無いのですから、土地を何枚でもプレイしていいカードに「追加の」という語は不要です。

《Fastbond》の以前のテキスト:
You may play any number of additional lands on each of your turns.
Whenever you play a land, if it wasn’t the first land you played this turn, Fastbond deals 1 damage to you.
あなたの毎ターン(*5)、あなたは追加の土地を望む枚数プレイしてもよい。
あなたが土地をプレイするたび、それがこのターンにあなたがプレイした最初の土地でない場合、Fastbondはあなたに1点のダメージを与える。

《Fastbond》の新しいテキスト:
You may play any number of lands on each of your turns.
Whenever you play a land, if it wasn’t the first land you played this turn, Fastbond deals 1 damage to you.
あなたの毎ターン(*5)、あなたは土地を望む枚数プレイしてもよい。
あなたが土地をプレイするたび、それがこのターンにあなたがプレイした最初の土地でない場合、Fastbondはあなたに1点のダメージを与える。

《Naya》の以前のテキスト:
You may play any number of additional lands on each of your turns.
Whenever you roll {C}, target red, green, or white creature you control gets +1/+1 until end of turn for each land you control.
あなたの各ターンに、あなたは追加の土地を望む枚数プレイしてもよい。
あなたが{C}を出すたび、あなたがコントロールする赤か緑か白のクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで、あなたがコントロールする土地1つにつき+1/+1の修整を受ける。

《Naya》の新しいテキスト:
You may play any number of lands on each of your turns.
Whenever you roll {C}, target red, green, or white creature you control gets +1/+1 until end of turn for each land you control.
あなたの毎ターン(*5)、あなたは土地を望む枚数プレイしてもよい。
あなたが{C}を出すたび、あなたがコントロールする赤か緑か白のクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで、あなたがコントロールする土地1つにつき+1/+1の修整を受ける。

■《風景の変容/Scapeshift》(機能変更なし)
ルールによれば、あなたがライブラリーからカードを1枚探すとき、それを見つけなくてはならないということはありません。たとえそれがそこにあっても、です。というルールを知らないかもしれない人たちにも分かりやすいように、複数枚のカードを探すカードには、「まで」という表現を入れることにしています。

以前のテキスト:
Sacrifice any number of lands. Search your library for that many land cards, put them onto the battlefield tapped, then shuffle your library.
望む数の土地を生け贄に捧げる。あなたのライブラリーからその枚数に等しい枚数の土地カードを探してタップ状態で場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。

新しいテキスト:
Sacrifice any number of lands. Search your library for up to that many land cards, put them onto the battlefield tapped, then shuffle your library.
望む数の土地を生け贄に捧げる。あなたのライブラリーからその枚数に等しい枚数までの土地カードを探してタップ状態で場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。

■《スカイシュラウドの祝福/Skyshroud Blessing》(機能変更なし)
ある能力が特定のタイプやサブタイプに何の限定もなく影響を与えるとき、標準テンプレートでは「すべての」を書くことになっています。

以前のテキスト:
Lands gain shroud until end of turn. (They can’t be the targets of spells or abilities.)
Draw a card.
土地はターン終了時まで被覆を得る。(それらは呪文や能力の対象にならない。)
カードを1枚引く。

新しいテキスト:
All lands gain shroud until end of turn. (They can’t be the targets of spells or abilities.)
Draw a card.
すべての土地はターン終了時まで被覆を得る。(それらは呪文や能力の対象にならない。)
カードを1枚引く。

■《汚れた一撃/Tainted Strike》(機能変更なし)
このカードはその注釈文に些細な問題がありました。何とインスタントでした。クリーチャーか何かかと思ったよ。

以前のテキスト:
Target creature gets +1/+0 and gains infect until end of turn. (This creature deals damage to creatures in the form of -1/-1 counters and to players in the form of poison counters.)
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+0の修整を受けるとともに感染を得る。(このクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒カウンターの形でダメージを与える。)

新しいテキスト:
Target creature gets +1/+0 and gains infect until end of turn. (It deals damage to creatures in the form of -1/-1 counters and to players in the form of poison counters.)
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+0の修整を受けるとともに感染を得る。(それは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒カウンターの形でダメージを与える。)

=======================
総合ルールの更新

■118.1a
このルールは、双頭巨人戦の初期ライフ総量を定めるものですが、些細な書き間違い(*6)がありました。

■205.3m
ラミアよ、ようこそクリーチャー・タイプ一覧(*7)へ。

■207.2c
「星座」と「奮励」が能力語の一覧に加わりました。

■603.10 と 607.2g
これらのルールは、誘発型能力が同一のパラグラフ中の常在型能力に関連しているケースについて述べています。このタイプの関連している能力(*8)は、《二度目の収穫/Rowen》や《原始的刻印/Primitive Etchings》のようなカードで見られます。《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》は、2つの誘発型能力が1つの常在型能力に関連している初めてのカードでして、ルールも書き換えました。

■712.1
このルールは、他のプレイヤーのターンをコントロールすることについて述べています。それをする3番目のカードとして、今や《最悪の恐怖/Worst Fears》が《精神隷属器/Mindslaver》と《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》に加わりました。思うに3枚というのは個別の例を列挙するのをやめるポイントでしょうね。


(*1) 「わたしは正しいセットを選んだということです」
冗談です。
念の為。

(*2) 「時空間連続体に悪い影響が無いといいんですけど」
どうやらあったようです。

(*3) 『「被覆」の注釈文』
実際に変更されたのは次のカードです。

《藻のガリアル/Algae Gharial》
《Autumn Willow》
《浄火の大天使/Empyrial Archangel》
《霜の猛禽/Frost Raptor》
《偉大なるオーラ術/Greater Auramancy》
《ハーダの巡回スパイ/Hada Spy Patrol》
《らせんの円錐/Helix Pinnacle》
《不退転の大天使/Indomitable Archangel》
《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
《島背の落とし子/Isleback Spawn》
《ニューロックの猛士/Neurok Commando》
《ウーナの末裔/Scion of Oona》
《甲羅のスカルキン/Shell Skulkin》
《隠された知識/Shrouded Lore》
《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》
《頑丈な雛/Sturdy Hatchling》
《秘密の帷/Veil of Secrecy》
《囁き絹の外套/Whispersilk Cloak》

このオラクル改訂で、被覆を持ちながら被覆の注釈文を持たないカードは《石塚の放浪者/Cairn Wanderer》のみになったようです。

(*4) 「生け贄に捧げる」
前にも書いたような気もしますが・・・。
総合ルールの用語集などでは「生贄に捧げる」と表記されています。
しかし、総合ルール全体では「生け贄に捧げる」と表記されているケースが多く、実際のカードでは「生贄に捧げる」と書かれている例はありません(Gathererに載ってるもの限定ですけども)。
正しくは「生け贄」で、「け」が無いのは古い(Gatherer以前の)表記なのか、もしくは誤りなのでしょう。

(*5) 「あなたの毎ターン」
「each of your turns」の訳語は一定していないようです。

(あなたは)「自分の各ターンに」
《迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seeking(CHK)》
《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya(ZEN)》

「あなたの各ターンに」
《ナヤ/Naya(HOP)》

「あなたのターン」
《幽霊の酋長、カラドール/Karador, Ghost Chieftain(CMD)》

「あなたの毎ターン」
《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms(JOU)》

とりあえずいちばん新しいのに従っておきました。

(*6) 「些細な書き間違い」
旧:118.1a In a Two-Headed Giant game, each team’s starting life total of 30. See rule 810, "Two-Headed Giant Variant."
---
新:118.1a In a Two-Headed Giant game, each team’s starting life total is 30. See rule 810, "Two-Headed Giant Variant."

もはや間違い探しレベル。

(*7) 「205.3m」
「ラミア/Lamia」であるべきところが「「ラミア/Lamia」になっています。
これだけ多いとゲシュタルト崩壊を起こすのも無理のないところ。

(*8) 「関連している能力」
「linked ability」の訳語は、総合ルールの中でも一定していません。

「関連している能力」
607
607.2
702.71b
706.7

「関連した能力」
607.2j
607.3
607.4
607.5
614.14
706.7a
用語集

用語集で「関連した能力」と書いてるのに、それを説明している607節のタイトルは「関連している能力」なんですね。どちらが正しいのかはよく分かりません。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索