「マジック・サポート」更新
2016年3月13日 Magic: The Gathering■「マジック・ザ・ギャザリング カード検索データベース」:カード・データの更新
遅くなりましたが、2016年1月28日発表のオラクル更新を反映しました。
マジック・サポート http://www4.atpages.jp/kakoiku/index.php?lang=Japanese
オラクルのどこが変わったかという情報は、 WotC の Matt が「Update Bulletin」で報告してくれています。
その書きぶりが面白いので、「オラクルの変更点」と「総合ルールの変更点」のページの翻訳をご紹介することが多いのですが。
その他に、「はじめに」的なページもあって、実はここがいちばん面白いんですけど、いつもは訳していません。
それは単に面白いだけで情報が無いし、なおかつ日本語にするとあんまり面白くないからなんですが、今回はちょっと気になることが書いてあったので訳すことにしました。
過去にもそういうことをしたことはありましたが、だいたいあんまりいいハナシじゃありません。
今回も・・・。
原文はこちらです。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/oath-gatewatch-oracle-2016-01-29
=============
■■■■■■■■■■■■
「ゲートウォッチの誓い」更新報告(*1)
■■■■■■■■■■■■
プレイヤー諸氏にオラクルと総合ルールの変更を適時にお届けできるよう、小職は監視を怠りません。
なんだこりゃ? 数週間遅れ? くそっ、何てこった!
「更新報告」は、理論上は、新しいカード セットが出るたびに、それまでの「マジック」のカードと総合ルールに加えられた変更についてプレイヤーに注意を促すものとされていました。これにより皆さんは、変更を理解したり、質問したりといった機会を得られます。そして、あんまり多いケースではないことを望みますが、我々が何かやらかしてしまった場合には、変更が有効になる前にお教えいただき、必要な軌道修正を行うこともあるでしょう。
昨年わたしが罹ったインフルエンザは、理論上は、正月の10日間、死に至る病(*1)からわたしを遠ざけ、予定していた旅行(*2)もキャンセルせざるを得なくなり、その他わたしの存在からあらゆる楽しみを吸い出してしまうものとされていました。
理論っちゅうのはアテにならんねぇ。
というわけで、この記事が遅れたお詫びでした。たいていの方は、おそらく、15,000枚以上の「マジック」のカードを精読してどこが変わったか見つけ出すようなことはしたくないでしょうから、この情報が依然としてあなたの役に立つことを願います。なお、「統率者(2015年版)」のリリースの際の総合ルールの変更点も含めておきました。
=============
なんだこりゃ? 『「統率者(2015年版)」のリリースの際の総合ルールの変更点』? くそっ、何てこった!
「統率者(2015年版)」のリリースは2015年11月13日。
マジック・サポートの総合ルール・ビューワの前回の更新は2015年9月26日版。
残念ながら「過去の総合ルール」を入手する方法は無いので、1回穴を空けてしまったことになります。
いやー、気が付かなかったっていうか、更新があると思って無かったっす・・・。
ちょっと悔しい。
気を取り直して、オラクル更新の記事を。
=============
■■■■■■■■■■■■
「ゲートウォッチの誓い」更新報告 - オラクル・テキスト
■■■■■■■■■■■■
■無色マナ・シンボル
「ゲートウォッチの誓い」では、無色マナ・シンボルが導入されました。ルール文書では {C} と書かれます(*3)。これまであなたのマナ・プールに {1} を加えていた(*4)ものはすべからく {C} を加えるようになりました。この件に関しては「ゲートウォッチの誓い」のリリースノート(*5)で更に詳しく述べます。都合、316枚(*6)のカードが更新されました。
■1体以上のクリーチャーをブロックする(機能変更なし)
あるクリーチャーが追加のクリーチャーをブロックできるということを述べるのに使ってきたテンプレートを少々変更しました。具体的には、有限の数の追加のクリーチャーをブロックする能力について述べているカードには「各戦闘で」を追加しました。これがないと、一度しか使えない能力であるように読めてしまうので。「追加のクリーチャー ゲットだぜ。記録しとかないと!」みたいな。
以前のルール文章(*7)(*8):
Creatures you control have vigilance.
あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。
Each creature you control can block an additional creature.
あなたがコントロールする各クリーチャーは、さらに1体のクリーチャーをブロックできる。
新しいルール文章:
Creatures you control have vigilance.
あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。
Each creature you control can block an additional creature each combat.
あなたがコントロールする各クリーチャーは、各戦闘でさらに1体のクリーチャーをブロックできる。
他に影響を受けるカード:《主の戦術家/Cenn’s Tactician》《こだまの飾り輪/Echo Circlet》《Foriysian Brigade》《フォライアスの介入者/Foriysian Interceptor》《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》《高所/High Ground》《ケンバの軍勢/Kemba’s Legion》《住処見張りの巨人/Lairwatch Giant》《セレズニアの鋭射手/Selesnya Sagittars》《双頭のドラゴン/Two-Headed Dragon》《Two-Headed Giant of Foriys》《先兵の盾/Vanguard’s Shield》
■《エラヨウの本質/Erayo’s Essence》(機能変更なし)
《エラヨウの本質》は各ターンに1つの呪文にしか適用されないように思われがちでした。印刷されていた言い回しは、我々が知っている能力の記述形式には則っていなかったため、誘発型能力に改められました。しかし、「各対戦相手が各ターンに/each opponent, each turn」なのかどうかがなんとも曖昧だったため、より明確にするためにテンプレートを調整しました。
以前のルール文章:
Whenever an opponent casts a spell for the first time in a turn, counter that spell.
いずれかの対戦相手がいずれかのターンに最初に呪文を唱えるたび、その呪文を打ち消す。
新しいルール文章:
Whenever an opponent casts his or her first spell each turn, counter that spell.
各ターン、いずれかの対戦相手が自分の最初の呪文を唱えるたび、その呪文を打ち消す。
■《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》(機能変更なし)
「スケルトン」と他のクリーチャー・タイプを持つクリーチャーの中で、「スケルトン」が最初に来るのは《ゴルガリの墓トロール》だけです。このネタは編集チームの大半を釣り上げる(トローリング漁で)ことになりました。何故なら、異なる先例が混在しているせいで、新しいのが出てくるたびに、どの順序で並べるべきか激論を交わすからです。 も う ご め ん だ ぜ。
従来のタイプ行:
Creature—Skeleton Troll
クリーチャー ― スケルトン・トロール
新しいタイプ行:
Creature—Troll Skeleton
クリーチャー ― トロール・スケルトン
■《Homarid》(機能変更たぶんなし)
このカード界の正弦波の最後の能力は、どうにかして5個以上の tide カウンターを乗せたけど4個を飛ばした場合(*9)に誘発するのかどうかが不明確でした。このカードに書いてある他の能力のように「ちょうど/exactly」とは書いてないので、どれだけ堆く積み上げたかに関わらず tide はリセットされることに決めました。
従来のルール文章:
Homarid enters the battlefield with a tide counter on it.
Homarid は tide カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
At the beginning of your upkeep, put a tide counter on Homarid.
あなたのアップキープの開始時に、 Homarid の上に tide カウンターを1個置く。
As long as there is exactly one tide counter on Homarid, it gets -1/-1.
Homarid の上にちょうど1個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは -1/-1 の修整を受ける。
As long as there are exactly three tide counters on Homarid, it gets +1/+1.
Homarid の上にちょうど3個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは +1/+1 の修整を受ける。
Whenever there are four tide counters on Homarid, remove all tide counters from it.
Homarid の上に4個の tide カウンターが置かれているとき、その上からすべての tide カウンターを取り除く。
新しいルール文章:
Homarid enters the battlefield with a tide counter on it.
Homarid は tide カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
At the beginning of your upkeep, put a tide counter on Homarid.
あなたのアップキープの開始時に、 Homarid の上に tide カウンターを1個置く。
As long as there is exactly one tide counter on Homarid, it gets -1/-1.
Homarid の上にちょうど1個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは -1/-1 の修整を受ける。
As long as there are exactly three tide counters on Homarid, it gets +1/+1.
Homarid の上にちょうど3個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは +1/+1 の修整を受ける。
Whenever there are four or more tide counters on Homarid, remove all tide counters from it.
Homarid の上に4個以上の tide カウンターが置かれているとき、その上からすべての tide カウンターを取り除く。
他に影響を受けるカード:《Tidal Influence》
■《Marjhan》(機能変更あり)
我々が海のキテレツな生き物たちについて調べまわしていたと思ってください。ある深遠なる事情により《Marjhan》が網に掛かったんですが、そのタイプ行が正しいとは言えないことに気付きました。印刷されたときは海蛇(Serpent)でしたが、その後ある時点でリバイアサン(Leviathan)になりました。このカードは明らかに《リバイアサン/Leviathan》に触発されたものですから、理解はできます。しかし、海蛇も完全に有効なクリーチャー・タイプですし、現在でも意味を持ち、このカードにとっても適正です。なので、元に戻すことにしました。
従来のタイプ行:
Creature—Leviathan
クリーチャー ― リバイアサン
新しいタイプ行:
Creature—Serpent
クリーチャー ― 海蛇
■《Pygmy Hippo》(機能変更なし)
{C}の変更に加えて、遅延誘発型能力の誘発条件を調整しました。これにより、もしかしたら紛らわしいかもしれない単語「戦闘後」(*10)がカードから取り除かれ、ちょっと読みやすくなりました。
従来のテキスト(*11):
Whenever Pygmy Hippo attacks and isn’t blocked, you may have defending player activate a mana ability of each land he or she controls and empty his or her mana pool. If you do, Pygmy Hippo assigns no combat damage this turn and at the beginning of your postcombat main phase, you add {X} to your mana pool, where X is the amount of mana emptied from defending player’s mana pool this way.
Pygmy Hippoが攻撃してブロックされないたび、あなたは「防御プレイヤーは自分がコントロールする各土地のいずれかのマナ能力を起動し、自分のマナ・プールを空にする。」を選んでもよい。そうした場合、このターン、Pygmy Hippoは戦闘ダメージを割り振らず、あなたの戦闘後メイン・フェイズの開始時に、あなたはあなたのマナ・プールに{X}を加える。Xはこれにより防御プレイヤーのマナ・プールから無くなったマナの点数に等しい。
新しいテキスト(*11):
Whenever Pygmy Hippo attacks and isn’t blocked, you may have defending player activate a mana ability of each land he or she controls and empty his or her mana pool. If you do, Pygmy Hippo assigns no combat damage this turn and at the beginning of your next main phase this turn, you add an amount of {C} to your mana pool equal to the amount of mana emptied from that player’s mana pool this way.
Pygmy Hippoが攻撃してブロックされないたび、あなたは「防御プレイヤーは自分がコントロールする各土地のいずれかのマナ能力を起動し、自分のマナ・プールを空にする。」を選んでもよい。そうした場合、このターン、Pygmy Hippoは戦闘ダメージを割り振らず、あなたの次のメイン・フェイズの開始時に、あなたはあなたのマナ・プールに、これにより防御プレイヤーのマナ・プールから無くなったマナの点数に等しい点数の{C}を加える。
■《Shadow Rider》(機能変更なし)
シャドウ・ライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦まく現代に蘇る正義の騎士(*12)。じゃなくてカード。そう、騎士として印刷されながら、後にゾンビに迎えられる。ここで問題が1つ。こいつゾンビじゃないんだよね。クリエイティブ・チームからは、実はこれホントはダウスィーらしいっていう話を聞いたんですが、カードにはそんなこと一言も書かれてません。なので、ただの騎士に戻します。法の目を逃れる犯罪者たちを追う若きヒーロー(*13)。3点殴ったりもする。どうでもいいぜ。
従来のタイプ行:
Creature—Zombie Knight
クリーチャー ― ゾンビ・騎士
新しいタイプ行:
Creature—Knight
クリーチャー ― 騎士
訳註
*1 死に至る病/deathly ill
(たぶん)マジックのこと。
*2 予定していた旅行/planned trip
(たぶん)グランプリとかそんなやつ。
*3 {C}
完全に余談なんですが。
以前、 {C} はカオス・シンボルでした。それが昨年7月の総合ルールの更新の際に {CHAOS} に変更なりました。なんでこんな意味の無い変更をするのかと、そのときは思ったんですが、伏線だったんですなー。
*4 {1} を加えていた
じゃあ、 {2} を加えていたものは? もちろん、 {C}{C} を加えるようになりました。ということは《曲がりくねりのロシーン/Rosheen Meanderer》は {C}{C}{C}{C} を加えますよ! (懐かしの《Su-Chi》も!)
じゃあ《Mox Lotus》は、っていうと、Un系のカードはオラクル更新の影響を受けないのでした。残念。
*5 リリースノート
原文では次の URL へのリンクになっています。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/oath-gatewatch-release-notes-2016-01-13
日本語版はこちらです。
http://media.wizards.com/2016/downloads/OGW_Release_Notes/JP_MTGOGW_FAQ_20151106.docx
*6 316枚
いつもならここでその 316枚をご紹介するところなんですが・・・、さすがに多過ぎるんですなー。
Gatherer で調べてみると、「{C}」を含むカードは 359枚。このうち「ゲートウォッチの誓い」のカードが 45枚あるので、315枚が影響を受けたはずです。これも数が合わないなー、とか思ってたら、その45枚のうちの1枚は、再録の《未知の岸/Unknown Shores》でした。これも影響を受けたと考えると、316枚ですね。
実は他にも無色マナを加えるカードが4枚あるんですが、それらはUn系の《Mana Screw》《Mox Lotus》《R&D’s Secret Lair》と、エルドラージ・落し子・トークンで、オラクル更新の影響は受けないのです。
*7 従来のルール文章
原文では、この上に、《砂への挑戦/Brave the Sands》の画像が貼ってあります。つまり、このルール文章は《砂への挑戦》のものなんですね。そんなことどこにも書いてないけど。
*8 従来のルール文章/Old rules text
従来は「Old wording」と書いてましたが、変わったようです。何故かしら、と思っていたら、別の項目では「Old type line」となっています。なるほど、カードのどの部分が変わったかを示すためってことですか。
・・・その情報要るのかな・・・。
*9 どうにかして5個以上の tide カウンターを乗せたけど4個を飛ばした場合
《倍増の季節/Doubling Season》ですなー。
*10 もしかしたら紛らわしいかもしれない単語「戦闘後」
「戦闘後メイン・フェイズ」は用語集にも載ってるレッキとしたマジック用語なので紛らわしくも何ともありません。たぶん、戦闘後メイン・フェイズがいくつもあったときに紛らわしいっていう話だと思います。そうじゃなかったら廃語フラグですなー。
*11 従来のテキスト、新しいテキスト
そしてここだけ従来通り「Old wording」「New wording」。アナーキーです。
*12 シャドウ・ライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦まく現代に蘇る正義の騎士
原文は「Shadow Rider. A knightly flight into the dangerous world of a card that does not exist.」。
元ネタは懐かしのナイト2000ですなー。「Knight Rider. A shadowy flight into the dangerous world of a man who does not exist.」。日本語版のナレーションでは、これを「ナイトライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦巻く現代に蘇る正義の騎士。」って言ってたんですね。昭和だねぇ。
元ネタの原文と日本語版ナレーションはこちらから拝借しました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ナイトライダー
*13 法の目を逃れる犯罪者たちを追う若きヒーロー
原文は「It can now continue being a young loner on a crusade to champion the cause of the innocent.」。この原文と、やはり昭和臭漂う日本語版も、上記の Wikipedia のページから拝借しました。
遅くなりましたが、2016年1月28日発表のオラクル更新を反映しました。
マジック・サポート http://www4.atpages.jp/kakoiku/index.php?lang=Japanese
オラクルのどこが変わったかという情報は、 WotC の Matt が「Update Bulletin」で報告してくれています。
その書きぶりが面白いので、「オラクルの変更点」と「総合ルールの変更点」のページの翻訳をご紹介することが多いのですが。
その他に、「はじめに」的なページもあって、実はここがいちばん面白いんですけど、いつもは訳していません。
それは単に面白いだけで情報が無いし、なおかつ日本語にするとあんまり面白くないからなんですが、今回はちょっと気になることが書いてあったので訳すことにしました。
過去にもそういうことをしたことはありましたが、だいたいあんまりいいハナシじゃありません。
今回も・・・。
原文はこちらです。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/oath-gatewatch-oracle-2016-01-29
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「ゲートウォッチの誓い」更新報告(*1)
■■■■■■■■■■■■
プレイヤー諸氏にオラクルと総合ルールの変更を適時にお届けできるよう、小職は監視を怠りません。
なんだこりゃ? 数週間遅れ? くそっ、何てこった!
「更新報告」は、理論上は、新しいカード セットが出るたびに、それまでの「マジック」のカードと総合ルールに加えられた変更についてプレイヤーに注意を促すものとされていました。これにより皆さんは、変更を理解したり、質問したりといった機会を得られます。そして、あんまり多いケースではないことを望みますが、我々が何かやらかしてしまった場合には、変更が有効になる前にお教えいただき、必要な軌道修正を行うこともあるでしょう。
昨年わたしが罹ったインフルエンザは、理論上は、正月の10日間、死に至る病(*1)からわたしを遠ざけ、予定していた旅行(*2)もキャンセルせざるを得なくなり、その他わたしの存在からあらゆる楽しみを吸い出してしまうものとされていました。
理論っちゅうのはアテにならんねぇ。
というわけで、この記事が遅れたお詫びでした。たいていの方は、おそらく、15,000枚以上の「マジック」のカードを精読してどこが変わったか見つけ出すようなことはしたくないでしょうから、この情報が依然としてあなたの役に立つことを願います。なお、「統率者(2015年版)」のリリースの際の総合ルールの変更点も含めておきました。
=============
なんだこりゃ? 『「統率者(2015年版)」のリリースの際の総合ルールの変更点』? くそっ、何てこった!
「統率者(2015年版)」のリリースは2015年11月13日。
マジック・サポートの総合ルール・ビューワの前回の更新は2015年9月26日版。
残念ながら「過去の総合ルール」を入手する方法は無いので、1回穴を空けてしまったことになります。
いやー、気が付かなかったっていうか、更新があると思って無かったっす・・・。
ちょっと悔しい。
気を取り直して、オラクル更新の記事を。
=============
■■■■■■■■■■■■
「ゲートウォッチの誓い」更新報告 - オラクル・テキスト
■■■■■■■■■■■■
■無色マナ・シンボル
「ゲートウォッチの誓い」では、無色マナ・シンボルが導入されました。ルール文書では {C} と書かれます(*3)。これまであなたのマナ・プールに {1} を加えていた(*4)ものはすべからく {C} を加えるようになりました。この件に関しては「ゲートウォッチの誓い」のリリースノート(*5)で更に詳しく述べます。都合、316枚(*6)のカードが更新されました。
■1体以上のクリーチャーをブロックする(機能変更なし)
あるクリーチャーが追加のクリーチャーをブロックできるということを述べるのに使ってきたテンプレートを少々変更しました。具体的には、有限の数の追加のクリーチャーをブロックする能力について述べているカードには「各戦闘で」を追加しました。これがないと、一度しか使えない能力であるように読めてしまうので。「追加のクリーチャー ゲットだぜ。記録しとかないと!」みたいな。
以前のルール文章(*7)(*8):
Creatures you control have vigilance.
あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。
Each creature you control can block an additional creature.
あなたがコントロールする各クリーチャーは、さらに1体のクリーチャーをブロックできる。
新しいルール文章:
Creatures you control have vigilance.
あなたがコントロールするクリーチャーは警戒を持つ。
Each creature you control can block an additional creature each combat.
あなたがコントロールする各クリーチャーは、各戦闘でさらに1体のクリーチャーをブロックできる。
他に影響を受けるカード:《主の戦術家/Cenn’s Tactician》《こだまの飾り輪/Echo Circlet》《Foriysian Brigade》《フォライアスの介入者/Foriysian Interceptor》《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》《高所/High Ground》《ケンバの軍勢/Kemba’s Legion》《住処見張りの巨人/Lairwatch Giant》《セレズニアの鋭射手/Selesnya Sagittars》《双頭のドラゴン/Two-Headed Dragon》《Two-Headed Giant of Foriys》《先兵の盾/Vanguard’s Shield》
■《エラヨウの本質/Erayo’s Essence》(機能変更なし)
《エラヨウの本質》は各ターンに1つの呪文にしか適用されないように思われがちでした。印刷されていた言い回しは、我々が知っている能力の記述形式には則っていなかったため、誘発型能力に改められました。しかし、「各対戦相手が各ターンに/each opponent, each turn」なのかどうかがなんとも曖昧だったため、より明確にするためにテンプレートを調整しました。
以前のルール文章:
Whenever an opponent casts a spell for the first time in a turn, counter that spell.
いずれかの対戦相手がいずれかのターンに最初に呪文を唱えるたび、その呪文を打ち消す。
新しいルール文章:
Whenever an opponent casts his or her first spell each turn, counter that spell.
各ターン、いずれかの対戦相手が自分の最初の呪文を唱えるたび、その呪文を打ち消す。
■《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》(機能変更なし)
「スケルトン」と他のクリーチャー・タイプを持つクリーチャーの中で、「スケルトン」が最初に来るのは《ゴルガリの墓トロール》だけです。このネタは編集チームの大半を釣り上げる(トローリング漁で)ことになりました。何故なら、異なる先例が混在しているせいで、新しいのが出てくるたびに、どの順序で並べるべきか激論を交わすからです。 も う ご め ん だ ぜ。
従来のタイプ行:
Creature—Skeleton Troll
クリーチャー ― スケルトン・トロール
新しいタイプ行:
Creature—Troll Skeleton
クリーチャー ― トロール・スケルトン
■《Homarid》(機能変更たぶんなし)
このカード界の正弦波の最後の能力は、どうにかして5個以上の tide カウンターを乗せたけど4個を飛ばした場合(*9)に誘発するのかどうかが不明確でした。このカードに書いてある他の能力のように「ちょうど/exactly」とは書いてないので、どれだけ堆く積み上げたかに関わらず tide はリセットされることに決めました。
従来のルール文章:
Homarid enters the battlefield with a tide counter on it.
Homarid は tide カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
At the beginning of your upkeep, put a tide counter on Homarid.
あなたのアップキープの開始時に、 Homarid の上に tide カウンターを1個置く。
As long as there is exactly one tide counter on Homarid, it gets -1/-1.
Homarid の上にちょうど1個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは -1/-1 の修整を受ける。
As long as there are exactly three tide counters on Homarid, it gets +1/+1.
Homarid の上にちょうど3個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは +1/+1 の修整を受ける。
Whenever there are four tide counters on Homarid, remove all tide counters from it.
Homarid の上に4個の tide カウンターが置かれているとき、その上からすべての tide カウンターを取り除く。
新しいルール文章:
Homarid enters the battlefield with a tide counter on it.
Homarid は tide カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
At the beginning of your upkeep, put a tide counter on Homarid.
あなたのアップキープの開始時に、 Homarid の上に tide カウンターを1個置く。
As long as there is exactly one tide counter on Homarid, it gets -1/-1.
Homarid の上にちょうど1個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは -1/-1 の修整を受ける。
As long as there are exactly three tide counters on Homarid, it gets +1/+1.
Homarid の上にちょうど3個の tide カウンターが置かれているかぎり、それは +1/+1 の修整を受ける。
Whenever there are four or more tide counters on Homarid, remove all tide counters from it.
Homarid の上に4個以上の tide カウンターが置かれているとき、その上からすべての tide カウンターを取り除く。
他に影響を受けるカード:《Tidal Influence》
■《Marjhan》(機能変更あり)
我々が海のキテレツな生き物たちについて調べまわしていたと思ってください。ある深遠なる事情により《Marjhan》が網に掛かったんですが、そのタイプ行が正しいとは言えないことに気付きました。印刷されたときは海蛇(Serpent)でしたが、その後ある時点でリバイアサン(Leviathan)になりました。このカードは明らかに《リバイアサン/Leviathan》に触発されたものですから、理解はできます。しかし、海蛇も完全に有効なクリーチャー・タイプですし、現在でも意味を持ち、このカードにとっても適正です。なので、元に戻すことにしました。
従来のタイプ行:
Creature—Leviathan
クリーチャー ― リバイアサン
新しいタイプ行:
Creature—Serpent
クリーチャー ― 海蛇
■《Pygmy Hippo》(機能変更なし)
{C}の変更に加えて、遅延誘発型能力の誘発条件を調整しました。これにより、もしかしたら紛らわしいかもしれない単語「戦闘後」(*10)がカードから取り除かれ、ちょっと読みやすくなりました。
従来のテキスト(*11):
Whenever Pygmy Hippo attacks and isn’t blocked, you may have defending player activate a mana ability of each land he or she controls and empty his or her mana pool. If you do, Pygmy Hippo assigns no combat damage this turn and at the beginning of your postcombat main phase, you add {X} to your mana pool, where X is the amount of mana emptied from defending player’s mana pool this way.
Pygmy Hippoが攻撃してブロックされないたび、あなたは「防御プレイヤーは自分がコントロールする各土地のいずれかのマナ能力を起動し、自分のマナ・プールを空にする。」を選んでもよい。そうした場合、このターン、Pygmy Hippoは戦闘ダメージを割り振らず、あなたの戦闘後メイン・フェイズの開始時に、あなたはあなたのマナ・プールに{X}を加える。Xはこれにより防御プレイヤーのマナ・プールから無くなったマナの点数に等しい。
新しいテキスト(*11):
Whenever Pygmy Hippo attacks and isn’t blocked, you may have defending player activate a mana ability of each land he or she controls and empty his or her mana pool. If you do, Pygmy Hippo assigns no combat damage this turn and at the beginning of your next main phase this turn, you add an amount of {C} to your mana pool equal to the amount of mana emptied from that player’s mana pool this way.
Pygmy Hippoが攻撃してブロックされないたび、あなたは「防御プレイヤーは自分がコントロールする各土地のいずれかのマナ能力を起動し、自分のマナ・プールを空にする。」を選んでもよい。そうした場合、このターン、Pygmy Hippoは戦闘ダメージを割り振らず、あなたの次のメイン・フェイズの開始時に、あなたはあなたのマナ・プールに、これにより防御プレイヤーのマナ・プールから無くなったマナの点数に等しい点数の{C}を加える。
■《Shadow Rider》(機能変更なし)
シャドウ・ライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦まく現代に蘇る正義の騎士(*12)。じゃなくてカード。そう、騎士として印刷されながら、後にゾンビに迎えられる。ここで問題が1つ。こいつゾンビじゃないんだよね。クリエイティブ・チームからは、実はこれホントはダウスィーらしいっていう話を聞いたんですが、カードにはそんなこと一言も書かれてません。なので、ただの騎士に戻します。法の目を逃れる犯罪者たちを追う若きヒーロー(*13)。3点殴ったりもする。どうでもいいぜ。
従来のタイプ行:
Creature—Zombie Knight
クリーチャー ― ゾンビ・騎士
新しいタイプ行:
Creature—Knight
クリーチャー ― 騎士
訳註
*1 死に至る病/deathly ill
(たぶん)マジックのこと。
*2 予定していた旅行/planned trip
(たぶん)グランプリとかそんなやつ。
*3 {C}
完全に余談なんですが。
以前、 {C} はカオス・シンボルでした。それが昨年7月の総合ルールの更新の際に {CHAOS} に変更なりました。なんでこんな意味の無い変更をするのかと、そのときは思ったんですが、伏線だったんですなー。
*4 {1} を加えていた
じゃあ、 {2} を加えていたものは? もちろん、 {C}{C} を加えるようになりました。ということは《曲がりくねりのロシーン/Rosheen Meanderer》は {C}{C}{C}{C} を加えますよ! (懐かしの《Su-Chi》も!)
じゃあ《Mox Lotus》は、っていうと、Un系のカードはオラクル更新の影響を受けないのでした。残念。
*5 リリースノート
原文では次の URL へのリンクになっています。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/oath-gatewatch-release-notes-2016-01-13
日本語版はこちらです。
http://media.wizards.com/2016/downloads/OGW_Release_Notes/JP_MTGOGW_FAQ_20151106.docx
*6 316枚
いつもならここでその 316枚をご紹介するところなんですが・・・、さすがに多過ぎるんですなー。
Gatherer で調べてみると、「{C}」を含むカードは 359枚。このうち「ゲートウォッチの誓い」のカードが 45枚あるので、315枚が影響を受けたはずです。これも数が合わないなー、とか思ってたら、その45枚のうちの1枚は、再録の《未知の岸/Unknown Shores》でした。これも影響を受けたと考えると、316枚ですね。
実は他にも無色マナを加えるカードが4枚あるんですが、それらはUn系の《Mana Screw》《Mox Lotus》《R&D’s Secret Lair》と、エルドラージ・落し子・トークンで、オラクル更新の影響は受けないのです。
*7 従来のルール文章
原文では、この上に、《砂への挑戦/Brave the Sands》の画像が貼ってあります。つまり、このルール文章は《砂への挑戦》のものなんですね。そんなことどこにも書いてないけど。
*8 従来のルール文章/Old rules text
従来は「Old wording」と書いてましたが、変わったようです。何故かしら、と思っていたら、別の項目では「Old type line」となっています。なるほど、カードのどの部分が変わったかを示すためってことですか。
・・・その情報要るのかな・・・。
*9 どうにかして5個以上の tide カウンターを乗せたけど4個を飛ばした場合
《倍増の季節/Doubling Season》ですなー。
*10 もしかしたら紛らわしいかもしれない単語「戦闘後」
「戦闘後メイン・フェイズ」は用語集にも載ってるレッキとしたマジック用語なので紛らわしくも何ともありません。たぶん、戦闘後メイン・フェイズがいくつもあったときに紛らわしいっていう話だと思います。そうじゃなかったら廃語フラグですなー。
*11 従来のテキスト、新しいテキスト
そしてここだけ従来通り「Old wording」「New wording」。アナーキーです。
*12 シャドウ・ライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦まく現代に蘇る正義の騎士
原文は「Shadow Rider. A knightly flight into the dangerous world of a card that does not exist.」。
元ネタは懐かしのナイト2000ですなー。「Knight Rider. A shadowy flight into the dangerous world of a man who does not exist.」。日本語版のナレーションでは、これを「ナイトライダー。陰謀と破壊と犯罪の渦巻く現代に蘇る正義の騎士。」って言ってたんですね。昭和だねぇ。
元ネタの原文と日本語版ナレーションはこちらから拝借しました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ナイトライダー
*13 法の目を逃れる犯罪者たちを追う若きヒーロー
原文は「It can now continue being a young loner on a crusade to champion the cause of the innocent.」。この原文と、やはり昭和臭漂う日本語版も、上記の Wikipedia のページから拝借しました。
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