【翻訳】Standard Pauper:異議を受けて
2012年7月26日 ゲーム コメント (39)前の週の記事を訳した行きがかり上、こっちも訳さなけりゃならんでしょうなー。
原文はこちらです。 http://puremtgo.com/articles/standard-pauper-responding-objections
こっちに先に来ちゃったヒトは、次のリンク先の記事を先に読んで下さい。何故かと言うと、同じ訳註を書く手間が省けるから。
http://81908.diarynote.jp/201207151207441669
それで、以下も著者の了解を得ずに訳していてチョサッケン的には問題があるので禁転載でおながいします。
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Standard Pauper:異議を受けて(Standard Pauper:Responding to Objections)
――by gwyned 2012年7月19日
I. はじめに
前回の記事(http://81908.diarynote.jp/201207151207441669)では、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がStandard Pauperをマジック・オンラインでサポートすべき理由を説明しました。それは、Standard Pauperが、新規のプレイヤーがマジックのゲームそのものやMTGOクライアントの複雑さを学ぶのに適したフォーマットであるだけでなく、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に追加の収入をもたらすからでした。直接にはブースターの売り上げとイベントの参加費用としてですが、間接的には、スタンダードやリミテッドのような金の掛かる複雑なフォーマットに、より多くのプレイヤーが誘導されます。その記事への反応はわたしにとってたいへん喜ばしいもので、これまでのわたしのどの記事よりも多くの方からの閲覧とコメントを頂きました。もしもまだご覧になっていないのであれば、続きを読む前に前回の記事から先にご覧になることをお勧めします。今日わたしが述べる内容は、前回の記事の内容をご存知であることを想定していますので。
ここ数ヶ月にわたってStandard Pauperフォーマットについて議論を重ねる中で、公式サポートに対する異議の中には、いくつか同じものが見られることに気付きました。この記事の目的は、それらの異議を要約した上で、その多くが、これまでにわたしが収集したデータとは異なる、事実であるとは考え難い想定に基づいていることを示すことです。わたしの読者のほとんどはご存知でしょうが、わたしはMonday Pauper Deck Challenge(http://forums.pdcmagic.com/viewtopic.php?t=6029)として知られるStandard Pauperフォーマットの週次のユーザ主催イベント(PRE)のホストを務めています。MPDCと略されることの方が多いかもしれませんが。以下は主として、このイベントのホストとしての2年間の経験の上に蓄積されたデータに基づいていますが、それはPDCMagic.com(http://pdcmagic.com/)が運営しているGatherling(http://pdcmagic.com/gatherling/index.php)として知られるデータベースに格納されています。そこには、MPDCだけでなく、随時ないし毎週開催されている他のいくつかのPREの主要な情報がほぼ網羅されています。
それでは、Standard Pauperフォーマットの公認に対して最も頻繁に提起される3つの異議について見ていきましょう。
III. 3つのよくある異議(*1)
1. Standard Pauperの競技人口は非常に少なく、認定フォーマットとしては少な過ぎる。
第1の異議は、Standard Pauperのプレイヤーは一握りしかいないというものです。この異議の要点は、Standard Pauperがマイナーなフォーマットであり、公式サポートを与えるに足る大きさの競技人口を持たないというものです。先日のDevelopment ChatでStandard Pauperが話題になったときのWotCの反応の背景にも、こうした考えがあるようです:
では、競技人口は実際どのくらいでしょう? 2つの数字を検討しましょう。先ずは、2つのStandard Pauperの週次PREでの、今年この時点までの参加者です:
(原文ではここに、MPDCとSPDCの参加者数の推移を表す2つのグラフが掲載されています。)
完全に一致はしていないものの、これらのグラフは著しく類似しています。今年この時点までの両イベントの参加者は、10代の中頃から40歳前後までの間に分布しています。今年この時点までの平均参加者数は、MPDCで1開催あたり平均30名以上、SPDCで平均25名以上です。両イベントともに、徐々に参加者が増える傾向にあります。MPDCがヨーロッパ人向けの時間(グリニッジ標準時で午後6時)に始まるのに対してSPDCはアメリカ人向け(グリニッジ標準時で12:30)ですので、若干の重複はあるとしても、プレイヤーの母集団はほぼ異なることに留意して下さい。というわけで、これらの週次イベントのどちらかに参加した人が、重複を除いて40名を越えるのは、別段珍しいことではありません。
第2に、Standard Pauperに参加したことのあるプレイヤーの総数を見てみましょう。過去12ヶ月の間にMPDCとSPDCに参加したプレイヤー名の記録を調べてみました。その1年間にStandard Pauperのイベントに参加したプレイヤーは、重複を除いて450名弱でした。これら両イベントに今も参加しているプレイヤーは、そのうちの一部に過ぎないことは明らかですが、それでもこのフォーマットを遊んだことのある人々の数としては注目に値します。
これらの数字から、このフォーマットは既に多くのプレイヤーに支持されていると言っていいのではないでしょうか。しかも公式のサポート無しにです。Standard Pauperが公式フォーマットになれば、この数も飛躍的に延びることは想像に難くありません。したがって、このフォーマットの競技人口が公式サポートを受けるには少な過ぎるとの異議は事実無根です。
2. メタゲームが単純過ぎて、すぐに煮詰まってしまう。
Standard Pauperに公式サポートを与えることに対する第2の良くある異議は、メタゲームの多様性が不十分だというものです。この観点からの公式なコメントをWotCから聞いたことはありませんが、他のプレイヤーの間では非常に良く聞かれます。この異議はつまるところ、Standard Pauperのカードプールが小さ過ぎて、バラエティ豊かなデッキが成立する多様性に欠けているということです。そのような環境では、プレイヤーはどのデッキが最強であるかを直ちに割り出し、そのアーキタイプばかりプレイするようになることでしょう。そしてあっという間に飽きてしまいます。ではデータに当たってみましょう。このフォーマットはどれくらい多様なんでしょうか?
手始めに、MPDCシーズン16のメタゲームを振り返りましょう。スタンダードに新たなセットが加わるたび、MPDCは新しいシーズンに入ります。シーズン16は、「闇の隆盛」のリリースと共に始まり、3ヶ月の間に10回のイベントが開かれ、1回あたり平均32名のプレイヤーが参加しました。それら10回のイベントの通算で、スイス45ラウンドがプレイされ、600弱のマッチが戦われました。しかしながら、イベントで使用したデッキリストを登録したのはおよそ65%のプレイヤーに留まっており、10回のイベントの期間中でわたしが分析できるのは、およそ390のマッチに留まります。それで、その390マッチを通じて最も強かったのはどのデッキだったのでしょうか?
このデータからは2つの重要な事実が分かります。第一に、デッキのパフォーマンスは、ある時点で頂点を迎えた後、急速に衰退するか、せいぜい一進一退になるということです。第二に、上位3つのデッキを合計しても、390マッチの中の121勝、おおむね30%程度にしかならないということです。シーズンを通じた上位7つのデッキすべてを合計してすら、390のうちの246勝、おおむね63%にしかなりません。このデータは、1シーズン中のスタンダードの認定トーナメントでプレイされるマッチの総数と比較すれば極めて微量であることは認めなくてはなりませんが、それでもこれが十分健全で多様なメタゲームを実証していることは主張したいところです。
もう一つ言いたいのは、同じアーキタイプに分類されるデッキの中にも、実に幅広いバリエーションがあるということです。マジックのほとんどのフォーマットと同様、MPDCでもいわゆる「ネット・デッキ」はあります。がしかし、ある特定のデッキに対して、どの60枚が最も強いビルドなのかについての明らかなコンセンサスはありません。このことも、たとえ確立したアーキタイプであっても、メタゲームに工夫や個人的好みを盛り込む余地があることの現れです。
それで、たまたまこのシーズンのMPDCが特別だったのでしょうか? それとも常にそのような傾向なのでしょうか? わたし自身は集計していませんが、友人のStandard PauperプレイヤーであるPiDaveの優れた分析が参考になります。彼はMPDCシーズン12(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-brief-mpdc-12-worlds-metagame), 13(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-brief-mpdc-season-13-worlds), 14(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-weekly-metagame-update-mpdc-14-worlds)の終了時点と、彼の最後の記事ではシーズン15の途中まで(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-weekly-metagame-update-mpdc-1509)のメタゲームを追跡しています。これらの記事はご自由にご覧になれます。が、彼のデータに対するわたしの結論は、MPDC、引いてはStandard Pauperには、長期にわたって多様で健全なメタゲームが定着しているというものです。
したがって、これらの数字からすれば、Standard Pauperが強固なメタゲームをサポートできないという異議には欠陥ありとせざるを得ません。小さなカードプールであるにも関わらず、Standard Pauperでは多くの異なるアーキタイプが成立しますし、同一のアーキタイプにも豊なバリエーションがあります。あるシーズンでは特定のアーキタイプが最強だと言われることもありますが、それで直ちにそのデッキが不健全なまでにメタゲームを支配するということにはなりません。Standard Pauperは豊かで多様なメタゲームをサポートします。そしてそれは公式の認知に伴ってますます精査されるとしても変わらないことでしょう。
3. Standard Pauperが公式サポートされることで、Pauperの競技人口が分割され、やがて共に破綻する。
Standard Pauperが公式サポートを受けることに対する第3の異議は、プレイヤー母集団が分割されるのではないかという議論です。その要点は、マジック・オンラインにおける何らかのPauperのプレイヤーの割合は高くないのだから、フォーマットを2つ(ないしそれ以上!)のフォーマットに分割することは、プレイヤーの総数を増やすことにならないばかりか、現在の競技人口を異なる2つのグループに分割するだけなのではないか、そしてそのいずれも、フォーマットを健全にサポートできる大きさを持てないのではないか、ということです。
これは、本質的には、昨夏初めのコミュニティ・カップのおりにStandard Pauperについて質問されたときのWotCの公式な立場でした。この声明でStandard Pauperコミュニティは炎上したわけですが、それは今でもこちら(http://forums.pdcmagic.com/viewtopic.php?t=5393)で読むことができます。興味深いのは、大多数のプレイヤーは徐々に複雑なフォーマットへと移っていく傾向が常に見て取れることです。つまり、新しいプレイヤーは非常に単純かつ弱いデッキから始めて、Standard PauperのようなPauperのバリエーションのPREで競い始め、続いてClassic Pauperへと移り、それからClassic Pauperの認定イベントに参入し始め、そしてスタンダードやリミテッドなどの看板フォーマットへと移っていきます。熟練プレイヤーがコレクションを売り払ってしまった後で復帰してきたような稀な例外を除けば、プレイヤーが複雑なフォーマットから単純なものへと逆進するケースは滅多にありません。実際、前回わたしが指摘したように、多くのプレイヤーは、安くて単純なフォーマットから始めて、自信と技術を身に着けるに連れてだんだんと、より金の掛かる複雑なフォーマットへと移っていくものです。
不幸なことに、プレイヤーがあるフォーマットから別のフォーマットに移ることに関する確かなデータを得るのはたいへん難しいのです。少なくともわたしの手元のリソースでは。そしてもしも確かなデータが得られたとしても、過去に起きた出来事からStandard Pauperが公式フォーマットになった後で起きることを推定するのも難しい。それでもなお、Pauperに何年も関わっているプレイヤーからの意見の多数派は、Standard Pauperが公式サポートを得ることはClassic Pauperやスタンダードにとって何ら脅威にならず、むしろそれらのフォーマットの参加者数を増やすことにつながるだろうというものです。反対に、特に説得力のあるデータもないのですから、Standard Pauperが競技人口を分割するだろうという公式の認知は、控えめに言って誇張し過ぎで、おそらくは妥当な懸念ですらないでしょう。
IV. まとめ
というわけで、結論として、公式フォーマットとしてのStandard Pauperに対するこれらの異議は根拠に乏しいものと思われます。全体的に見て、Standard Pauperはプレイヤーとウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の双方にとって有益であるというのが事実です。しかし、それを実現するためには我々がプレイヤー・コミュニティとしての意見を届ける必要があります。念の為、あなたにできることは以下です:
1. フォーマットを広めて下さい。Standard PauperのPREに参加したり、Just For Fun部屋に適切なラベルのテーブルを作ったりして下さい。
2. ソーシャル・メディアからこれらの記事にリンクして下さい。
3. 然るべきヒトビトにメールを送って下さい。すなわち:
以前にも言いましたが、マジック・オンラインのコミュニティでStandard Pauperについて語りましょう。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が無視できない要求にしていきましょう。礼儀正しく、合理的に、そしてそれにも関わらず頑固にいきましょう。例えばわたしは、Monday Pauper Deck Challengeのホストを続け、このフォーマットの記事をここPureMTGO.com(http://puremtgo.com/)に投稿し続けます。このフォーマットに参加して下さっているみなさんと、わたしの記事に対するコメントに感謝します。わたしの活動に対するあらゆる支援を、どうか続けて下さい。わたしはこの偉大なるコミュニティに心から感謝しています。そして念の為、PureMTGO.comにアップされる前にわたしの記事を覗きたいという人は、YouTube.comにアクセスして"gwyned42"を検索し、わたしのvideo-castをどれでもいいから1つ選んで「チャンネル登録」ボタンをクリックして下さい。ツイッターでgwyned42をフォローしてくださっても結構です。わたしのプロフィールはこちら(https://twitter.com/gwyned42)ですので、「フォローする」を押してください。それではまた次回!
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というか、訳しちゃってから気が付いたんですが、MOでStandard Pauperを遊んでいるプレイヤーで、原文記事を読めない人なんていないんジャネーノ?
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訳註
*1 何故「II」じゃなくて「III」なのかは良く分からず。もしかしてギャグなのかも。
原文はこちらです。 http://puremtgo.com/articles/standard-pauper-responding-objections
こっちに先に来ちゃったヒトは、次のリンク先の記事を先に読んで下さい。何故かと言うと、同じ訳註を書く手間が省けるから。
http://81908.diarynote.jp/201207151207441669
それで、以下も著者の了解を得ずに訳していてチョサッケン的には問題があるので禁転載でおながいします。
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Standard Pauper:異議を受けて(Standard Pauper:Responding to Objections)
――by gwyned 2012年7月19日
I. はじめに
前回の記事(http://81908.diarynote.jp/201207151207441669)では、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がStandard Pauperをマジック・オンラインでサポートすべき理由を説明しました。それは、Standard Pauperが、新規のプレイヤーがマジックのゲームそのものやMTGOクライアントの複雑さを学ぶのに適したフォーマットであるだけでなく、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に追加の収入をもたらすからでした。直接にはブースターの売り上げとイベントの参加費用としてですが、間接的には、スタンダードやリミテッドのような金の掛かる複雑なフォーマットに、より多くのプレイヤーが誘導されます。その記事への反応はわたしにとってたいへん喜ばしいもので、これまでのわたしのどの記事よりも多くの方からの閲覧とコメントを頂きました。もしもまだご覧になっていないのであれば、続きを読む前に前回の記事から先にご覧になることをお勧めします。今日わたしが述べる内容は、前回の記事の内容をご存知であることを想定していますので。
ここ数ヶ月にわたってStandard Pauperフォーマットについて議論を重ねる中で、公式サポートに対する異議の中には、いくつか同じものが見られることに気付きました。この記事の目的は、それらの異議を要約した上で、その多くが、これまでにわたしが収集したデータとは異なる、事実であるとは考え難い想定に基づいていることを示すことです。わたしの読者のほとんどはご存知でしょうが、わたしはMonday Pauper Deck Challenge(http://forums.pdcmagic.com/viewtopic.php?t=6029)として知られるStandard Pauperフォーマットの週次のユーザ主催イベント(PRE)のホストを務めています。MPDCと略されることの方が多いかもしれませんが。以下は主として、このイベントのホストとしての2年間の経験の上に蓄積されたデータに基づいていますが、それはPDCMagic.com(http://pdcmagic.com/)が運営しているGatherling(http://pdcmagic.com/gatherling/index.php)として知られるデータベースに格納されています。そこには、MPDCだけでなく、随時ないし毎週開催されている他のいくつかのPREの主要な情報がほぼ網羅されています。
それでは、Standard Pauperフォーマットの公認に対して最も頻繁に提起される3つの異議について見ていきましょう。
III. 3つのよくある異議(*1)
1. Standard Pauperの競技人口は非常に少なく、認定フォーマットとしては少な過ぎる。
第1の異議は、Standard Pauperのプレイヤーは一握りしかいないというものです。この異議の要点は、Standard Pauperがマイナーなフォーマットであり、公式サポートを与えるに足る大きさの競技人口を持たないというものです。先日のDevelopment ChatでStandard Pauperが話題になったときのWotCの反応の背景にも、こうした考えがあるようです:
"WotC_K: We have talked about out Standard Pauper (and I have gotten quite a few emails about it thanks to JoeKewwl). If we did offer it, it would be in the Casual Play room first so we could see how much demand there actually is for it."
"WotC_K: Standard Pauperの話も出た(JoeKewwlのおかげで、これについてはずいぶんたくさんのメールを貰った)。もしやるなら、最初はCasual Play部屋だろうね。そうすれば実際どのくらいの需要があるのか分かるし"
では、競技人口は実際どのくらいでしょう? 2つの数字を検討しましょう。先ずは、2つのStandard Pauperの週次PREでの、今年この時点までの参加者です:
(原文ではここに、MPDCとSPDCの参加者数の推移を表す2つのグラフが掲載されています。)
完全に一致はしていないものの、これらのグラフは著しく類似しています。今年この時点までの両イベントの参加者は、10代の中頃から40歳前後までの間に分布しています。今年この時点までの平均参加者数は、MPDCで1開催あたり平均30名以上、SPDCで平均25名以上です。両イベントともに、徐々に参加者が増える傾向にあります。MPDCがヨーロッパ人向けの時間(グリニッジ標準時で午後6時)に始まるのに対してSPDCはアメリカ人向け(グリニッジ標準時で12:30)ですので、若干の重複はあるとしても、プレイヤーの母集団はほぼ異なることに留意して下さい。というわけで、これらの週次イベントのどちらかに参加した人が、重複を除いて40名を越えるのは、別段珍しいことではありません。
第2に、Standard Pauperに参加したことのあるプレイヤーの総数を見てみましょう。過去12ヶ月の間にMPDCとSPDCに参加したプレイヤー名の記録を調べてみました。その1年間にStandard Pauperのイベントに参加したプレイヤーは、重複を除いて450名弱でした。これら両イベントに今も参加しているプレイヤーは、そのうちの一部に過ぎないことは明らかですが、それでもこのフォーマットを遊んだことのある人々の数としては注目に値します。
これらの数字から、このフォーマットは既に多くのプレイヤーに支持されていると言っていいのではないでしょうか。しかも公式のサポート無しにです。Standard Pauperが公式フォーマットになれば、この数も飛躍的に延びることは想像に難くありません。したがって、このフォーマットの競技人口が公式サポートを受けるには少な過ぎるとの異議は事実無根です。
2. メタゲームが単純過ぎて、すぐに煮詰まってしまう。
Standard Pauperに公式サポートを与えることに対する第2の良くある異議は、メタゲームの多様性が不十分だというものです。この観点からの公式なコメントをWotCから聞いたことはありませんが、他のプレイヤーの間では非常に良く聞かれます。この異議はつまるところ、Standard Pauperのカードプールが小さ過ぎて、バラエティ豊かなデッキが成立する多様性に欠けているということです。そのような環境では、プレイヤーはどのデッキが最強であるかを直ちに割り出し、そのアーキタイプばかりプレイするようになることでしょう。そしてあっという間に飽きてしまいます。ではデータに当たってみましょう。このフォーマットはどれくらい多様なんでしょうか?
手始めに、MPDCシーズン16のメタゲームを振り返りましょう。スタンダードに新たなセットが加わるたび、MPDCは新しいシーズンに入ります。シーズン16は、「闇の隆盛」のリリースと共に始まり、3ヶ月の間に10回のイベントが開かれ、1回あたり平均32名のプレイヤーが参加しました。それら10回のイベントの通算で、スイス45ラウンドがプレイされ、600弱のマッチが戦われました。しかしながら、イベントで使用したデッキリストを登録したのはおよそ65%のプレイヤーに留まっており、10回のイベントの期間中でわたしが分析できるのは、およそ390のマッチに留まります。それで、その390マッチを通じて最も強かったのはどのデッキだったのでしょうか?
このデータからは2つの重要な事実が分かります。第一に、デッキのパフォーマンスは、ある時点で頂点を迎えた後、急速に衰退するか、せいぜい一進一退になるということです。第二に、上位3つのデッキを合計しても、390マッチの中の121勝、おおむね30%程度にしかならないということです。シーズンを通じた上位7つのデッキすべてを合計してすら、390のうちの246勝、おおむね63%にしかなりません。このデータは、1シーズン中のスタンダードの認定トーナメントでプレイされるマッチの総数と比較すれば極めて微量であることは認めなくてはなりませんが、それでもこれが十分健全で多様なメタゲームを実証していることは主張したいところです。
もう一つ言いたいのは、同じアーキタイプに分類されるデッキの中にも、実に幅広いバリエーションがあるということです。マジックのほとんどのフォーマットと同様、MPDCでもいわゆる「ネット・デッキ」はあります。がしかし、ある特定のデッキに対して、どの60枚が最も強いビルドなのかについての明らかなコンセンサスはありません。このことも、たとえ確立したアーキタイプであっても、メタゲームに工夫や個人的好みを盛り込む余地があることの現れです。
それで、たまたまこのシーズンのMPDCが特別だったのでしょうか? それとも常にそのような傾向なのでしょうか? わたし自身は集計していませんが、友人のStandard PauperプレイヤーであるPiDaveの優れた分析が参考になります。彼はMPDCシーズン12(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-brief-mpdc-12-worlds-metagame), 13(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-brief-mpdc-season-13-worlds), 14(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-weekly-metagame-update-mpdc-14-worlds)の終了時点と、彼の最後の記事ではシーズン15の途中まで(http://puremtgo.com/articles/pauper-standard-weekly-metagame-update-mpdc-1509)のメタゲームを追跡しています。これらの記事はご自由にご覧になれます。が、彼のデータに対するわたしの結論は、MPDC、引いてはStandard Pauperには、長期にわたって多様で健全なメタゲームが定着しているというものです。
したがって、これらの数字からすれば、Standard Pauperが強固なメタゲームをサポートできないという異議には欠陥ありとせざるを得ません。小さなカードプールであるにも関わらず、Standard Pauperでは多くの異なるアーキタイプが成立しますし、同一のアーキタイプにも豊なバリエーションがあります。あるシーズンでは特定のアーキタイプが最強だと言われることもありますが、それで直ちにそのデッキが不健全なまでにメタゲームを支配するということにはなりません。Standard Pauperは豊かで多様なメタゲームをサポートします。そしてそれは公式の認知に伴ってますます精査されるとしても変わらないことでしょう。
3. Standard Pauperが公式サポートされることで、Pauperの競技人口が分割され、やがて共に破綻する。
Standard Pauperが公式サポートを受けることに対する第3の異議は、プレイヤー母集団が分割されるのではないかという議論です。その要点は、マジック・オンラインにおける何らかのPauperのプレイヤーの割合は高くないのだから、フォーマットを2つ(ないしそれ以上!)のフォーマットに分割することは、プレイヤーの総数を増やすことにならないばかりか、現在の競技人口を異なる2つのグループに分割するだけなのではないか、そしてそのいずれも、フォーマットを健全にサポートできる大きさを持てないのではないか、ということです。
これは、本質的には、昨夏初めのコミュニティ・カップのおりにStandard Pauperについて質問されたときのWotCの公式な立場でした。この声明でStandard Pauperコミュニティは炎上したわけですが、それは今でもこちら(http://forums.pdcmagic.com/viewtopic.php?t=5393)で読むことができます。興味深いのは、大多数のプレイヤーは徐々に複雑なフォーマットへと移っていく傾向が常に見て取れることです。つまり、新しいプレイヤーは非常に単純かつ弱いデッキから始めて、Standard PauperのようなPauperのバリエーションのPREで競い始め、続いてClassic Pauperへと移り、それからClassic Pauperの認定イベントに参入し始め、そしてスタンダードやリミテッドなどの看板フォーマットへと移っていきます。熟練プレイヤーがコレクションを売り払ってしまった後で復帰してきたような稀な例外を除けば、プレイヤーが複雑なフォーマットから単純なものへと逆進するケースは滅多にありません。実際、前回わたしが指摘したように、多くのプレイヤーは、安くて単純なフォーマットから始めて、自信と技術を身に着けるに連れてだんだんと、より金の掛かる複雑なフォーマットへと移っていくものです。
不幸なことに、プレイヤーがあるフォーマットから別のフォーマットに移ることに関する確かなデータを得るのはたいへん難しいのです。少なくともわたしの手元のリソースでは。そしてもしも確かなデータが得られたとしても、過去に起きた出来事からStandard Pauperが公式フォーマットになった後で起きることを推定するのも難しい。それでもなお、Pauperに何年も関わっているプレイヤーからの意見の多数派は、Standard Pauperが公式サポートを得ることはClassic Pauperやスタンダードにとって何ら脅威にならず、むしろそれらのフォーマットの参加者数を増やすことにつながるだろうというものです。反対に、特に説得力のあるデータもないのですから、Standard Pauperが競技人口を分割するだろうという公式の認知は、控えめに言って誇張し過ぎで、おそらくは妥当な懸念ですらないでしょう。
IV. まとめ
というわけで、結論として、公式フォーマットとしてのStandard Pauperに対するこれらの異議は根拠に乏しいものと思われます。全体的に見て、Standard Pauperはプレイヤーとウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の双方にとって有益であるというのが事実です。しかし、それを実現するためには我々がプレイヤー・コミュニティとしての意見を届ける必要があります。念の為、あなたにできることは以下です:
1. フォーマットを広めて下さい。Standard PauperのPREに参加したり、Just For Fun部屋に適切なラベルのテーブルを作ったりして下さい。
2. ソーシャル・メディアからこれらの記事にリンクして下さい。
3. 然るべきヒトビトにメールを送って下さい。すなわち:
・Chris Kiritz(chris.kiritz@wizards.com)にメールしてください。彼はマジック・オンラインのビジネス・マネージャで、日々の運用を担当しています。
・あるいは、マジック・オンライン・カスタマー・サービス(http://wizards.custhelp.com/app/ask)にメールしてくださっても結構です。このリンク先を見るには、WotCフォーラムにログインしている必要があります。
以前にも言いましたが、マジック・オンラインのコミュニティでStandard Pauperについて語りましょう。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が無視できない要求にしていきましょう。礼儀正しく、合理的に、そしてそれにも関わらず頑固にいきましょう。例えばわたしは、Monday Pauper Deck Challengeのホストを続け、このフォーマットの記事をここPureMTGO.com(http://puremtgo.com/)に投稿し続けます。このフォーマットに参加して下さっているみなさんと、わたしの記事に対するコメントに感謝します。わたしの活動に対するあらゆる支援を、どうか続けて下さい。わたしはこの偉大なるコミュニティに心から感謝しています。そして念の為、PureMTGO.comにアップされる前にわたしの記事を覗きたいという人は、YouTube.comにアクセスして"gwyned42"を検索し、わたしのvideo-castをどれでもいいから1つ選んで「チャンネル登録」ボタンをクリックして下さい。ツイッターでgwyned42をフォローしてくださっても結構です。わたしのプロフィールはこちら(https://twitter.com/gwyned42)ですので、「フォローする」を押してください。それではまた次回!
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というか、訳しちゃってから気が付いたんですが、MOでStandard Pauperを遊んでいるプレイヤーで、原文記事を読めない人なんていないんジャネーノ?
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訳註
*1 何故「II」じゃなくて「III」なのかは良く分からず。もしかしてギャグなのかも。
コメント
MTGOtradersは、MPDCの他にも数多くのPREにスポンサーシップを提供していますし、その中にはMPDCよりも歴史の古いものもありますし、gwynedがMTGOtradersのオーナーだというハナシはこれまで聞いたことがないですし。
どう接触があったのかは分かりませんが、主催者と運営者が分かれているのは紙製そのまんまですね。
プレイヤー主催イベントは私達もやってましたが、やっぱり一番面倒臭いのはトーナメント運営ではなく参加費と賞品の扱いでした。
参加費を取ると敷居が高くなり、賞品を出すと得のない自腹になり、何よりこれらのトレードがとにかく煩わしい。
スポンサーがいて、参加費無料で、上位数名に賞品を渡すだけ、しかもBot内クレジットの処理のみというのは、非常に簡素で効率が良いシステムだと思います。
システムの自動処理を利用する方法として、Classicなんかの閑古イベントを8人なり16人なりで占拠してしまって、Standard Pauper等を遊んでしまう事を考えたりもしましたが、規約違反ではないとしてもバレたらエニィなアクションがフォースされてしいそうなので止めました。
その通りですが、BOTの側にメリットが無くては成り立たないハナシです。
Forumを斜め読みしている感じでは、たぶん、MPDCのように、安定して定期的に開催されているトーナメントが対象なんだと思います。
賞品のトレードが面倒だから毎週開催にしてスポンサーを募ろう、という方向で考える人は少ないんじゃないかと。
接触される前はやっぱり自前で賞品を用意してやってたんでしょうかね。
Bot側のメリットというのが、Bot=ホストと勘違いした理由です。
いや、そうじゃありません。
主催者がMTGOtradersにスポンサーシップを申請したのです。
それがリジェクトされるケースもあるということです。
それとは別に、Botのスポンサーのない大会もたまにある。この場合、誰が賞品を捻出しているのかは分かりませんが。
参加費も賞品も設定しないという方法は全く概念にありませんでした。
今はMTGOtradersになっているようですが。
botクレジットは味気ないと思うヒトも中にはいるようです。
賞品が無い大会だと、他のイベントに出た方がいいという判断をされてしまいそうな気がします。
あと、実験的なデッキが増えたり、勝ってるのにドロップしたり、競技的な雰囲気が減るかも。
まぁそうですね。
PREは基本的にMOのトーナメントに対抗する事になりますが、付加価値を押し出す事はできても、賞品ではMOに勝てません。
価値の差分を結局賞品で埋めるのは、個人プレイヤー主催には厳しい条件です。
で、効率が良いのがBotにスポンサーになってもらうって事で、Wizardsにスポンサーになってもらうのが一番効率が良い。
まぁ認定フォーマット化=トーナメント・サポートではないですけど。
それもそうですが、賞品無しならMWSでいいじゃんっていうハナシもあります。
>まぁ認定フォーマット化=トーナメント・サポートではないですけど。
実はわれわれがいちばん欲しいのは、トーナメントではなくフィルタなんです。
Just for Fun部屋で「Standard Pauper」というテーブルを作りたい。
(だから、レギュレーションが重要なのです。)
えぇー。
フィルターは「Standard」→レアリティでソートすれば一瞬ですけど、確かここも紛糾してるんでしたっけ。
Wizards側に立てば、ここを解決してほしいという話になるなら、逆に及び腰になってしまうかもしれませんね。
対戦部屋のテーブル・ラベルは、確かにそうですね。
MOのPREが競合しているのはMOの認定トーナメントだけではないです。
MWSもそうですし、紙マジックのイベントもそうです。
競技性を追及しない実験的なフォーマットを試験しよう、というだけであれば、何もMOでオープン・トーナメントをやる必要はないです。
むしろMWSでフォーマットのバランスを確認してからMOに持ち込んだっていいわけでして。
>フィルターは「Standard」→レアリティでソートすれば一瞬ですけど、
いえいえ、我々が言っている「filter」というのは、デッキのリーガリティを判定してくれる機能のことです。
Standard PauperのテーブルにはStandard Pauperリーガルでないデッキが入れないようにして欲しいわけです。
今日はMOの大会に出て、明日はMWSの大会に出よう、とかいうプレイヤーが相当数いる話になります。
私達が週末の昼間にトーナメントを開こうとしなかったという事は、紙製とは競合してるんでしょうね。
でも、これを言い出すとあらゆる人間活動が競合して収集つかなくなりそうです。
前記事のいくさんのコメントにあったもう1つのStandard Pauperフォーマットの大会ですけど、参加者は多くないにしても少ないとは言えないですね。
筆者は触れてはいるものの、同一のものっぽい扱いでしたし、コメント欄にも指摘はありませんでした。
まぁ、あちらはフォーマット名もPK Standardにして敢えて差別化はしてるみたいですし、関わらないのかもしれませんけど。
いやいやそうではなくて。
MOにはMWSにはない機能がたくさんありますし、MWSではできないイベントも開催されています。(特に、公式イベントはMOにしかありません。)
しかし、「MWSでもできるイベント」は、MWSでやったって構わないわけです。
たとえば2 cycleみたいな独自の特異なフォーマットで、賞品が出ないイベントだったら、そのために普段は使わないカードを揃えなくちゃならないMOよりは、MWSの方が適していると思いませんか?
PREは、先鋭化すればするほど、わざわざMOでそれをやる意味が問われます。
>私達が週末の昼間にトーナメントを開こうとしなかったという事は、紙製とは競合してるんでしょうね。
クランのイベントは、参加自由とはいえ、決してオープン・イベントではありません。
それは、MO内での人間関係に立脚した内輪のイベントですから、MOでやらないと意味がないです。
>PK Standard
でも実はそこはまだマトモな方だったり。
例えば「アンコモンを5枚まで入れていい」とか、一口にStandard Pauperと言ってもバリエーションがあるんですよね。
だからわたしは、「Standard Pauperだったら何でもいい」という意見にはあんまり乗りたくないのです。
2 Cycle(CYOS)も然りですが、ヴィンテージはMOで遊べません。
MOもMOでしか遊べないフォーマットにこそプレイヤーが集まっていますし、昔のを含めてPREの意義の勉強になりました。
今回は、Standard Pauperなるフォーマットを遊ぶMagic Online内のコミュニティが、結構多いプレイ人口で公認フォーマット化を目指す話ですし、まぁ+アンコモン5枚でStandard Pauperとかは、考慮範囲としてはおまえは何を言っているんだレベルですので、筆者のコミュニティはむしろ類似フォーマットに一切触れずに進んでほしいですね。
はいそうです。
しかも、450弱という数字には類似フォーマットのイベントは入っていません。
しかし、声を出しているのが、あるコミュニティの構成員だけであるとしても、フォーマットを公認することの影響は類似のフォーマットを遊んでいるコミュニティすべてに及ぶわけで、WotCはそれも考慮するのではないでしょうか。
実際フォーマットを認定するとなったら、WotC側としては、具体的にカードプールをどう定義するのか、事前に禁止すべきカードはあるのかないのか、というサーベイをすることになるでしょう。
その過程で彼らは、Standard Pauperには微妙に異なる複数の定義があることに気付くはずです。(あるいは既に知っているかもしれません。)
例えばMPDC/SPDCのレギュレーションが採用される場合、Just for Fun部屋で「Standard Pauper」でテーブルを作ると、PK Standardのデッキはそこには入れません。
しかし、逆はそうではない(現状では)。
WotCはどう考えると思われますか?
WotCには間違った方向に進んで欲しくないんですが、そこに介入する方法が何かないものかと思います。
もしかしたらgwynedは何か名案を持っているのかもしれません、というか、それをどうしても期待してしまいます。
私も分からない事だらけで限界がありますので、この件で最も参考になるであろうPauperの公認化について解説された公式掲示板のスレッドを拾ってきました。
とりあえずWizards自前で草案をぶち上げてみて、その反応を見てから後でちょこちょこ変える、という流れみたいです。
community.wizards.com/go/thread/view/75846/19205698/Upcoming_Magic_Online_Pauper_Format_Rules?post_id=327068862#327068862
最大公約数を割り出す事に意味はないですね。枠組みを決めれば、何かは枠の外にはみ出します。
Wizardsの中の人も神様ではなく、私達程度です。私達とは、ユーザー全体ではなく、いくさんや私程度の人間を指します。Wizardsは単に用いる事ができるデータが豊富なだけです。
いくさんがもわもわ思ってるおぼろげな大団円は、ぶっちゃけ無理ですよ。
何か会話が公認化する事を前提で進んでいる気がしますが、前提は前提に、色々考えるのは楽しいですね。
コミュニティが求めるものがフォーマット・フィルターだというのが本当であったとして、もしそれが達成された場合、次にトーナメント・サポートが求められるのは、私は疑いありません。
私は"デメリットがない"という理由で公認化賛成の側で話してますが、メリットには筆者に疑問を持っています。
Standard Pauperの公認化はカード価値を上昇させる事ができるのか、という点です。
カード価値は、Magic Onlineの時価総額と言い換える事ができます。
Pauperの公認化が2008年12月で、Kaleidoscopeが2009年4月の皮算用は、調べてみて笑ってしまいました。
また、筆者の「ゲートウェイ・ドラッグになり得る」という主張はちょっと苦しい。
カード資産的にStandard Pauperを目指したプレイヤーの終着点は、Standard Pauperで終わってしまいます。
カードを集めるのにリミテッドを遊ぶ必要がないのがWizards的に非常に厳しいですね。
Just Starting Outの部屋ですらシールド戦で引いた1枚のレアを切り札に遊んでいて、使う側も使われる側にもこのカードが欲しいと思わせるのが商売です。
トーナメントへのゲートウェイにはなり得るでしょうけど、単にブースターの廉価販売所になるだけでしょう。
こんな所でどうでしょう。
うーん。
企業の立場(およびそこで働くヒトの立場)って、決して一様ではないので、そういうふうに総括するのはどうですかねぇ。
>いくさんがもわもわ思ってるおぼろげな大団円は、ぶっちゃけ無理ですよ。
はい、わたしもそう思うので、公認化に諸手を挙げて賛成とはいかないのです。
MPDC/SPDCとは異なるレギュレーションで公認されたら、両PREはオワコンでしょう。
それは、発展的解消とも言えるかもしれないけれど、わたしはちょっと悲しいです。
>コミュニティが求めるものがフォーマット・フィルターだというのが本当であったとして、もしそれが達成された場合、次にトーナメント・サポートが求められるのは、私は疑いありません。
もしかしたらgwynedはトーナメント・サポートにも興味があるかもしれません。
認定トーナメントができたら、MPDCのホストを廃業できる、とか思ってるかもしれないので。(冗談ですよ!)
でも、現にMPDC/SPDCで遊んでいるプレイヤーに関しては、6Tix払って認定Standard Pauperトーナメントに参加したがるとはあんまり思えないです。
(時間帯が異なる日本のプレイヤーは除く。)
トーナメント・サポートを求める声は上がるでしょうけれど、それは今のコミュニティからではないのではないかしら。
>メリットには筆者に疑問を持っています。
同感です。
前回の記事の後で書いた通りで、論理展開が強引過ぎます。
>カード価値は、Magic Onlineの時価総額と言い換える事ができます。
これは、プレイヤー個人のディジタル資産の価値という意味ですよね。
ブースター・パックを1つ買って、出てきたカードを全部売ったときに何Tixになるか、というような。
確かに、それが顕著に増えるようなことがあれば、ディジタル資産に余裕が増えますから、プレイヤーがbotからブースターを買う機会は増えるかもしれず、そうなるとブースターの売り上げが増えてもおかしくはないだろう、という論法なんでしょう。
しかし、わたしもこれは変わらないだろうと思います。
・一部のコモンの価値が多少上がったところで、神話レアの価値と較べると余りにも低いので、期待値に対する寄与が低過ぎます。
・MOにおいては(紙とは異なり)5枚目の《平和な心/Pacifism》には(普通は)価値はありません。コモンは流通量が多いので、あっという間にこのスレショルドに達してしまいます。
・というかですね、そもそもMagic Onlineは閉鎖環境のゼロ・サム・ゲームです。あるカードの価値が上がるということは、別のカードの価値が下がることです。売るヒトにとって都合がいいコトは、買うヒトにとって都合の悪いコトです。誰かの財布にできた余裕は、もともとは別の誰かの財布の中にあったものです。特定のカードの価値が上がろうが下がろうが、全体としてブースターの売り上げが(それが理由で)増えることはないはずだと思うんですけど。(MOユーザのアクティビティが全体に向上することでパックの購入量が増えることはあるとしても。)
ゲートウェイ・ドラッグの方も概ねご指摘の通りでしょう。
だけど、これがうまくいく可能性だってあるのじゃないでしょうか。
gwynedやjoekewwlたちは、わたしとは比較にならないビジョンや行動力を持っていますから。
だから翻訳してご紹介するわけですし、そうしておきながら、論拠が弱いだの、実は公認には反対だの、あんまり強く言いたくはないです。
わたしが間違っていることが証明されたらうれしいです。
そういえば今年のコミュニティ・カップが近いんでしたっけ。そういう意義も考えての記事だとすると、いくさんの仰る通りの行動力ですね。
>これは、プレイヤー個人のディジタル資産の価値という意味ですよね。
まぁBot含めて個人の集合体ではあるんですが、そうではなく、東証株価指数を思っていただいた方が正しいです。
Pauperでオールド・セットのコモンの価値が上昇したり、レガシー導入のClassic級カードへの影響、モダン導入のレガシー級への影響等、様々な要因でカード価格は上下します。
ゼロサムゲームではないですね。
紙製の世界が顕著で、オンラインはそうでもないんですが、保有資産への保証はマジックのコレクション要素の信用に関わっています。
プレイヤーに遊んでもらえるフォーマットを用意して、実際にカードの需要が発生する環境があってこそ、マジック全体の価値が維持できます。
まぁオンラインはその面をかなり軽視している傾向がありますので、絶版カードBotは流行ってませんけど。
>トーナメント・サポートを求める声は上がるでしょうけれど、それは今のコミュニティからではないのではないかしら。
そうですね。
Standard Pauperが目的である既存プレイヤーから、Standard Pauperが手段であるプレイヤーが出てくるでしょう。
ここら辺はまさにWizardsの裁量にかかってきますが、公認化は現コミュニティのプレイヤーだけを考慮するものであってもいけません。
色々難しい問題ですね。
上下はするでしょうけど、gwynedが主張しているのは、「パックに含まれているカードの(ゲーム内での)価値が上がるから、みんなもっとパックを買うようになるはずだ」です。
で、それは違うでしょう、ということなんですが。
500万円で買った株の価格が、それまで1000万円だったものが1100万円になったとしましょう。
10%資産が増えました。じゃあ、投資額も10%(50万円)増やしましょう、とはならないですよね?
投資総額を決めるのは、今何%儲かってるかではなくて、もっと外部的な要因のはずです。
同様に、$3.99で買ったM13のパックのゲーム内での資産価値の期待値が、これまで3.00Tixだったものが、Standard Pauperの公認化によって3.30Tixになったとしても、毎月10パックを買っていたプレイヤーが今月からは11パック買おうとは思わないですよね。
お小遣いが急に増えたならともかく。
逆に、毎月の投資額を10%減らすプレイヤーだっているかもしれない。
(Standard Pauperが面白いから、今月からは1パック余分に買おう、という話ならあるかもしれないですけど、ここでgwynedが言ってるのはそういう話じゃありません。)
外部からMOに入ってくる資産の量に変化が無いなら、MO内部に存在するカードすべての総資産価値の増加(ないし減少)ペースは従来と同じであるはずで、ということはゼロ・サム・ゲームではないですか?
>公認化は現コミュニティのプレイヤーだけを考慮するものであってもいけません。
全く仰る通りです。
株の話はちょっとよく分からないです。
資産が10%増えたなら、投資可能な額も10%増えている事になりませんか?
ブースターの価格が10%値上がりは、今まさにM13が話の旬ですね。
結局、私達はStoreでブースターを買っているのではなく、イベントに出て(出た人から)割引価格でブースターを買っています。
まさに、イベントに出たいと思う人=ブースターを買いたいと思う人なんですね。
M13のレアがしょぼくて賞品の価値も少なければ、買いたいと思う人は少なくなりますし、3.00チケットが3.30チケットになれば、(イベントで)買っても良いかなと思う人もいるんではないでしょうか。
Standard Pauperについて言えば、スタンダードのコモンがブースター実売単価を底上げする事はありません。もちろん理屈上では0以上底上がりしますが。
供給量が需要量よりも論外に多く、またそれら全てがアクティブな状態であるからです。
Pauperなんかの需要喚起で価値が上昇する事があるのは、時が経って供給がなくなり、遊ぶのを止める所持プレイヤーが多くなって流通量が減るからです。
もちろん、テンペストなんかの供給量が少ないのもあります。
レアは単純に最初から流通量が少ないので、上がる時はすぐ上がります。
私達ロートルは忘れがちですが、マジックは常に既存プレイヤーが飽きて抜けていき、新規プレイヤーが興味で入ってきています。
The Darkトーナメントの初期の参加者でまだ現役の方がどれだけいるか。
Magic Online内の数値上は変化する事はありませんが、アクティブのスイッチが絶えず切られ続けていて、この影響は無視できるほど小さくありません。
では、価値が上昇した際にこの休眠資産がいきなり起きて市場に流入したら、上昇した価値は見掛け倒しではないか、と言うのはその通りです。
これは現実社会の株式市場で全所有者が何の脈絡もなく一斉に売り注文を出さない事や、銀行の全預金者が一斉に預金を引き出さないのと同じで、そうはならないし、そうならない事が前提になっています。
TOPIXの話を出されたので、だいぶお詳しいのかと。
>資産が10%増えたなら、投資可能な額も10%増えている事になりませんか?
あなたは年金生活者ですが、退職金を注ぎ込んだ時価1000万円の株式資産を持っています。
最近株価が10%上昇して、あなたの株式の資産価値は1100万円になりました。
さあ、投資額を10%増やしましょう!
・・・できないですよね?
株式以外の資産が10%増えたなら、株式に投資可能な額も10%増えると考えていいですけど、手持ちの株の評価額が10%上がったからって投資可能な額は増えません。
株価の上昇で資産価値は膨らみますが、だからといってお財布の中はそれまでと変わらないんですから。
>まさに、イベントに出たいと思う人=ブースターを買いたいと思う人なんですね。
これはリミテッドの話ですね?
>M13のレアがしょぼくて賞品の価値も少なければ、買いたいと思う人は少なくなりますし、3.00チケットが3.30チケットになれば、(イベントで)買っても良いかなと思う人もいるんではないでしょうか。
パックの価値が上がれば、リミテッドに出ようと思う人の数が増えるのだから、結果としてパックの売り上げが増えるよね、と言いたいんでしょうか?
プレイヤーがイベントに出るためにはパックが必要ですが、それは、それまでのイベントの賞品として得たパックか、または、イベントでパックから出てきたカードをTixに替えてそれを使ってbotから買ったパックですよね。
稀にはStoreで買ったパックということもありますけど、全体から見たら少数のはずです。
それで、パックの価値が向上しているので、「イベントでパックから出てきたカードをTixに替えて」得られるTixは増えます。
しかし、パックの価値が向上しているので、パックの売り値も高止まりしており、増えたTixで得られるパックの数は従来と別段変わりません。
さて、パックの売り上げは増えるでしょうか?
>供給量が需要量よりも論外に多く、またそれら全てがアクティブな状態であるからです。
はい。5枚目の《平和な心/Pacifism》は誰も欲しくありません。
>Magic Online内の数値上は変化する事はありませんが、アクティブのスイッチが絶えず切られ続けていて、この影響は無視できるほど小さくありません。
そうですけど、今議論している、「カードの価値が上がったらブースターの売り上げが増える」という話にはあんまり関係ないような。
うーん、普通に投資額は100万円増えているように見えるんですけど。
もちろん同じ銘柄を+10%する事はできませんが、換金すれば+10%に財布の中身は増えてますし、他の銘柄に充てると元金+10%の投資になるはずです。
>イベントに出たいと思う人=ブースターを買いたいと思う人
プレイヤー間のトレードはその時々のレートで行われますから、いくさんの仰る通り、トレード行為自体はゼロサムです。
私が指摘するのは、イベントでの賞品配布、つまりWizardsとプレイヤー間のトレードの為替が、ブースターの価値によって変動するという事です。
なまじっか通常のリミテッド・イベントはブースターを持ち込めるのでややこしいんですけど、むしろリミテッド・プレイヤーはWizardsの上客であり、高効率にブースターを獲得できるのは構築戦であり、こちらの参加費はチケットのみで話が早い。
数字は机上のみで乱暴に論じますが、Wizardsはイベントでブースターを廉価販売しています。
構築戦デイリー・イベントでは、35パックを96チケットで販売、1パック2.7チケットです。
イベントでは、ISDだろうがM13だろうが市場価格が高かろうが安かろうが、一律の価格で販売されます。
このイベント価格が市場価格に近付けば近付くほど旨味が薄くなり、プレイヤーの(イベントからの)購買意欲が失われ、売り上げが伸びないという訳です。
別に構築戦かリミテッドかではなく、プレイヤー同士とWizards間とは別物のレートを使用している事が重要な点です。
これが「カードの価値が上がったらブースターの売り上げ(イベント参加者)が増える」理由です。
まぁ、Standard Pauperでは目に見える影響が出ない、が私の持論ですけど。
しかしそんな理屈をこねずとも、強いカードが多いセットは人気で、弱いカードしかないセットは不人気なのは、火を見る程度に自明なんじゃないかとも。
だとしたら、やっぱりストック・マーケットに例えるのはあんまり良くないんじゃないでしょうか。
ええと、今は株式取引における投資額の定義を議論しているのではなく、MOでウィザーズ社が儲かるかどうかという話ですよね。
マーケットでストックを売却したり購入したりをいくら繰り返しても、それはつまりMOでいうところのトレードであって、仰るように、
>トレード行為自体はゼロサムです
ということを指摘したかったわけです。
外部からの新たな資金流入があって、初めてウィザーズの売り上げになります。
退職金を株式に投資しようと思う人や、その人が投資する額が増えることによって、市場は拡大します。
(まあ、現実には投資顧問会社やアラブの富豪の気紛れに左右されたりするんでしょうけれど。)
>イベントでの賞品配布、つまりWizardsとプレイヤー間のトレードの為替が、ブースターの価値によって変動するという事です。
arthさんは、リミテッドを遊ぶプレイヤーの視点で考えておられますが、パックを購入してMO内に供給するユーザの視点が抜けてませんか?
プレイヤーがイベントを通じてウィザーズから得るパックの購入レートは、確かに、そのパックの市価に較べてかなり低いことになります。
パックと、そこから出てくるカードの価値が高いので、リミテッドを遊んだプレイヤーは、剥いたパックから出たカードがいつもよりも高く売れるのはうれしいことでしょう。
しかし、リミテッドのイベントで使うパックを全量賞品で調達できるような一部の強豪プレイヤーはいざしらず、普通のプレイヤーは、賞品のパックでは賄いきれない分をどこかから入手して継戦するはずですよね。
通常はカードを売って得た余分のTixを次のリミテッド・イベントで使うためのTixとパックに再投資するんでしょう。
それでも不足なケースでは、Storeから買うことになりますね。さもなければギブ・アップです。
さて、パックから出るカードの価値が高いんですから、当然、パックを売るbotはその分高いレートを設定して売ります。
botのパックが高い、Storeのパックももちろん高い、ドラフトは全敗で賞品もない、という状況では、プレイヤーはリミテッドに参戦し続けることは難しくなります。
botのパックの価格が、カードの価格と正確に連動していると仮定できるなら、プレイヤーがギブアップするまでに消費するパックの量は、パックが高かろうが安かろうが変わらないことになります。
つまり、これもまたゼロ・サム・ゲームですよね。
>しかしそんな理屈をこねずとも、強いカードが多いセットは人気で、弱いカードしかないセットは不人気なのは、火を見る程度に自明なんじゃないかとも。
これはあまり関係ないような。
確かに、JaceTMSのような超構築級のカードがいっぱい入ったパックを出せば、そのパックは売れるでしょう。
しかし、カードの強さは相対的なものですから、強いパックが売れればその分弱いパックは売れなくなります。
プレイヤーの皆さんがマジックに使ってくれるお金の総額を増やすために重要なのは、強いカードを印刷することではなく、面白い競技環境を維持することだと思いますが。
というか、それで失敗したTCGは1つや2つではないような気もします。けど。
まず、Magic Online全体のカード価値の上昇によって、Wizardsが儲かるか。
まぁ《水蓮の花びら》がテンペスト・ドラフトを遊ぼうと思える一因にはなるでしょうし、そこにPauperフォーマットの存在は大きいでしょう。
基本的には紙製店舗の理屈でして、カード価値の維持と上昇が店舗の利益に、ひいてはプレイヤーの維持と利便性に繋がるんですが、イベント会場の役割がないMOのそれについてはWizardsはかなり軽視しています。
>プレイヤーがイベントを通じてウィザーズから得るパックの購入レートは
この文章からの段落2つは、今一つ要領が得られませんでした。
消費額を定めてその限りでリミテッドを遊ぶプレイヤーは確かにいますが、そんなにいないと思います。
ふと遊びたいと思った時に遊んだり、あるいは麻薬中毒の如く余暇時間に延々とリミテッドに興じるプレイヤー、紙製マジックで顕著な宝くじ感覚でブースターを開封するために遊ぶ人、様々でしょう。
飽きたら遊ばなくなります。
で、この宝くじ感覚なんですが、これはマジックの生命線です。
射幸心というのがどのように人間に備わっているのか、私は知りませんし、いくさんも理論家なので共感に難しい分野だと思います。
確か、期待される利益の触れ幅が大きければ大きいほど、人はのめり込みやすくなるらしいですよ。知りませんけど。
それはともかく、プレイヤーは自分の財布の中身を見て購入するブースターの数を決めてる訳ではないようです。
>強いパックが売れればその分弱いパックは売れなくなります。
レアリティがあるので、安いセット=弱いセットではないのですが、結果的に市場価格3.0チケットになってしまったセットがあったとして、これが3.5ならずとも3.3チケットになる程度にレアを強くする事は可能だと思うんですけどね。
素人目の結果論ですけど。
強いカードではなく面白い競技環境でお金を増やす所は、全くの同意です。
>どこに話の落とし所を付けて良いのかだんだん分からなくなってきました。
新しい視点が出続けてますからね。
>Magic Online全体のカード価値の上昇によって、Wizardsが儲かるか
テンペスト(TMP)はStoreで売ってないので、話が簡単ですね。
《水蓮の花びら》の価値が上がってパックの価値が高まり、それによってテンペストのイベントの人気が高まって開催数が増えれば、
「テンペストのカードの価値の上昇によって、テンペストのブースター・パックの売り上げが増えた」
と言えるのでしょう。
でも、テンペストのパックのレートが上がって、本当に開催数が増えますか?
リミテッドに関しては、パックが高いんですから、参加し難くなるのが普通ですよね。
賞品が高く売れるとは言っても、消費するパックの方が賞品のパックより多いですから、パックが安い場合に較べて得にはなりません。
ブロック構築はどうでしょうか。
8人構築のリターン・レートは、Storeの販売レートと同じです。
パックが高くなったという理由で、イベントに出てStoreレートでパックを入手しようとする人はいないのでは。
PEの場合は、参加人数によってレートが変わりますが、2.5~18Tix/packというところですか。
「人気が出て開催数が増えれば」という話をしている以上、レートは上限に近いはずですよね。
というわけで、イベントの開催数は余り増えそうにないと思うのですが。
経済の原則から言っても腑に落ちません。
ある商品の人気が出れば(需要が高まれば)、その商品は値上がりします。
もしも、値上がりが更に人気を高めるのだとしたら、価格はどんどん上がり続けますよね。
実際は、価格が上がれば人気は抑えられ、価格が下がる方向に力が働きます。
まあ、中には本当に「価格が上がることで需要が高まる」商品もあるので(ある種の美術品とか)、MOのパックでどうかは単純ではないのですが。
>消費額を定めてその限りでリミテッドを遊ぶプレイヤーは確かにいますが、そんなにいないと思います。
はっきり「月に5,000円以上は使わない」などと決めている人は多くはないかもしれませんが、消費額が増えてくれば意識せざるを得なくなるのじゃないですか?
そして、本当にフトコロに余裕のある人の場合、時間に制限がありますよね。
使いもしないパックは買わないと仮定すると、時間の上限が即ち購入額の上限になります。
>ふと遊びたいと思った時に遊んだり、あるいは麻薬中毒の如く余暇時間に延々とリミテッドに興じるプレイヤー、紙製マジックで顕著な宝くじ感覚でブースターを開封するために遊ぶ人、様々でしょう。
そういう人の場合はなおさら「ブースター・パックの交換レートが上がったからいっぱい買おう」とは思わないような気がします。
細かいことを気にする人は、遊び方も細かいのじゃないかしら。
>結果的に市場価格3.0チケットになってしまったセットがあったとして、これが3.5ならずとも3.3チケットになる程度にレアを強くする事は可能だと思うんですけどね。
arthさんの仰る「強いカードの人気」は、「弱いカードの不人気」に支えられているのではないですか? と言ったつもりでした。
3.0チケットのパックがあるからこそ、3.5チケットのパックが存在できるのだと思います。
単純に3.0に強いカードを足して3.3にしたら、3.5の方も3.3になっちゃいますよ。たぶん。
それを、全体的に0.3チケずつ高くする、というのが可能なのかどうかは分かりません。
チケットの流通量に対するパックの流通量が減るようにすればいいんでしょうけど、賞品の供給量を減らしたり、参加費のチケット数を減らしたりしたら、Storeで販売されるチケットの量が減るだけなので、簡単にはいかないでしょう。
テンペスト・ドラフトはどちらかと言うと苦肉の例でして、絶版カードの価値が上がってもマジック全体の信用度が上昇する事にはなりますが、Wizardsの儲けには即座に関係しません。
MOではWizardsは二次市場に重きを置いていませんし、絶版ドラフトもMO独自の要素です。
この件でテンペストが重要なのは、ミラージュと同時期にドラフト・イベントが開催された事があるからです。
明らかにテンペストの開催数がミラージュを上回っていました。
個人感では、近代のブロックと比較すればどちらも"クソゲー"と言って差し支えない面白さですので、この開催数の差を説明するには要素が限りなく限られてしまうのです。
>「強いカードの人気」は、「弱いカードの不人気」に支えられている
この論には既視感がありまして、紙製店舗が使う、セット発売時にカード価格を設定する手法ですね。
時節毎の売り上げを安定させるため、セット全体のシングル価格の総和を一律にして、弱いセットは需要のある少数のカードに利益を上乗せする事があります。
また、トーナメントで使用されるカードの総数には限界があり、どれだけカード・パワーを均一化しても一部のメタ・デッキに使われるカードしか市場の評価を得ない、という論でもあります。
でも、いくさんは実はそう考えてはいらっしゃらないでしょう。
環境が多様である事がWizardsの儲けに繋がると確信されているでしょうから、Wizardsがそう目指す理由でもあります。
3.5チケットのブースターのせいで3.0チケットのブースターがあるという結果は、単なるWizardsの失敗です。
ただ、以前のコメントにも書きましたが、レアリティが価格に与える影響は非常に大きいです。
必須カードを神話レアにするだけで、カード価格の総和は跳ね上がります。
昔のセットが必ず土地5種をレアに設定していたのはこのためですけど、市場調査で取り止めているのが現在です。
ブランド・マネージメントが、そっちの方が最終的に儲けに繋がると考えたんでしょう。
イベントの還元率の話で意図的にデイリー・イベントを除いていませんか。
それはそうと、マジックは伝統的に構築戦の面白さに支えれられている部分が多いですが、殊にMOに関しては、Casual Playの部屋にメタ・デッキを使用する人がほとんどいないため、トーナメントに出るしかありません。
2人構築戦、デイリー・イベント、プレミア・イベントに関しては、プレイヤーの時間的な都合による需要が発生しますので、対価だけでなくこの時間的価値が加味されます。
期待値の低い4-3-2-2テーブルがスイス式より人気なのは同じ理由です。
>経済の原則
需要と供給の関係ですね。
ここで見え難いのは、前のコメントにも書きましたが、公式がイベントでブースターを2.7チケットで販売しているという点です。
3.99チケットの価格でなら公式が無限に供給しますし、開封カードではありますがドラフトや4パック・シールド戦でも割引価格で無限供給します。
市場価格はその兼ね合いですから、価格が上がり続ける事はありません。
>ブースター・パックの交換レートが上がったから
ここも見え難い箇所ですね。
ブースターの市場価格が上がったら、公式イベントでの交換レートが下がります(お得になります)。
ブースターの市場価格が下がったら、公式イベントでの交換レートが上がります(お得でなくなります)。
具体的には、イベントで2.7チケットで買えるブースターが3.0チケットで売れるか、3.5チケットで売れるかです。
私達が、公式とは固定相場制で、二次市場では変動相場制でトレードしているという事を忘れないで下さい。
Standard Pauperの話をしていることをときどき思い出さないといけませんね。
>個人感では、近代のブロックと比較すればどちらも"クソゲー"と言って差し支えない面白さですので、
TSEはやったことがありますが、MVWはやったことないです。
そんなわたしは、たぶん多数派ですよね。
それで、どっちかやれと言われたら、まずはTSEをやるだろうと思います。
同じような人は多いんじゃないでしょうか。
《水蓮の花びら》があるからMVWよりもTSEの方が人気が高いと言えるのですか??
>3.5チケットのブースターのせいで3.0チケットのブースターがあるという結果は、単なるWizardsの失敗です。
既に確認したように、パックのレートを3.5チケに押し上げるレア・カードが環境にあったとしても、その環境に多様性が無いことにはなりません。
さておき、言いたかったのは、仮に、強いカードを各セットに均等に配分することで、パックのトレード・レートを平均化できたとしても、それによってパックのレートの平均値(上で言うところのTOPIX)が上がることはないんじゃないですか? ということです。
>必須カードを神話レアにするだけで、カード価格の総和は跳ね上がります。
でしょうね。
数の少ない神話レアが高くなり、それよりは多いレアは安くなる、のではありますが、神話レアを出すためにパックを買って剥くことになるので、パックの販売量が増え、カード価格の総和は増えるでしょう。
購買力に余裕のある層に対して、新たに希少価値を付加することで売り上げを伸ばしたのですね。
ただし、今はプレヤブルなコモン・カードが増えることで儲けが増えるどうかという話ですから、「強いカードを刷る」とか「新たなレアリティを作る」とかは、あんまり関係ないと思います。
>イベントの還元率の話で意図的にデイリー・イベントを除いていませんか。
DEにはTSEドラフトや「テンペスト」ブロック構築がないからですけど、確かにDEも視野に入れないといけませんね。
これは次の話と関係します。
>私達が、公式とは固定相場制で、二次市場では変動相場制でトレードしているという事を忘れないで下さい。
Storeは固定相場市場なんですけど、イベントは相対取引みたいなものです。
つまり、1パックあたりの価格が利用者毎に大きく異なります。
「パックのトレード・レートが上がることでウィザーズは儲かるのか」という話で、「利用者がイベントに参加するようになるから儲かる」という主張を吟味していたんでした。
イベントのリターン・レートがBOTでのパックのSELLINGレートに近づくと、BOTから買うのではなくイベントに参加してパックを獲得しようと考える利用者が出てくるはずだ、というのはその通りだと思います。
しかし、もともと強いプレイヤーはSELLINGレートに関わらずイベントで稼ごうとするでしょうし、弱いプレイヤーはレートに関わらずイベントで稼ごうとは思わないでしょう。
このことでパックの入手先が劇的に変わるというわけではないのでは。
もしも大きく変わるのだとしても、そうなるとBOTはパックがほとんど売れなくなり、逆に賞品を売り浴びせられる一方になるので、レートはすぐに下がるはずです。
それでも、レートが上がることで、ウィザーズがイベントを通じてTixを回収する可能性が高まるというのは正しいでしょう。
全パックでこれが生じるならば、バカにならないかもしれません。
したがってこの問題も、パックの価格はゼロ・サム・ゲームか否かというところに回帰します。
いくつかのコモン・カードの価値が高まることによってTOPIXが上がるのなら、ウィザーズが儲かってもおかしくないですが、上がるカードがあれば下がるカードがあるはずで、TOPIXは変化しないのでは。
>需要と供給の関係ですね
原因と結果を混同しているのではないかと。
需要が高まるからパックの価格が上がるのであって、パックの価格が高いから需要が高まるわけではないと思います。
ある程度資産を持つと分かるようになりますが、この余剰資産が市場に放出されない状態になる事があります。
基本的にマジックは、全てのカードを4枚揃えるとそれ以上の投資が必要なくなりますが、そうでなくとも使用デッキに必要でないカードは必要ありません。
構築戦で勝てるデッキを作ってしまうと、後はいくらパックを稼いだとしても、それ以上どこに資金がかかる訳でもなくなってしまい、精々イベント参加チケットに変換する以外に使い道がなくなって死蔵されます。
ブロック落ちによる価値の減衰があるので、そのまま放置するのには勿体ない気分が働くものの、チケットに変えたところで使い道のない死蔵には変わりありません。
私が何を言いたいのかは私にも分かりませんが、机上の計算外の事情が市場価値に影響を与えているんだろうなぁ、と改めて考えています。
イベントでWizardsが配布するパックの数は、市場が受け取る数と同一ではなさそうで、という事は、逆に言うと、Wizardsは数字で見る以上には儲かっている。
それはともかく、競技プレイヤーはある程度どんな環境でも一定数いて、そこからのイベント収入はさほど変わらない、というのは真実ですね。
いくさんも仰る通り、WizardsがMOで儲けを出すにはStoreでイベントチケットを売る事になりますんで、儲けを上乗せするには、さほどイベントに出たい気持ちを持たない浮動層を何とかイベントに引き込む必要があります。
"得をしたい"という気持ちはどちらかというとゲーム外のものの考え方で、ゲーム内の、例えば"ドラフトを楽しみたい"という気持ちよりも上位層に当たります。
ドラフト等のリミテッドは、基本的に開封カードが未開封パックの価値より高くなる事はなく損をしますので、リミテッドのイベントに参加するには、"リミテッドを遊びたい"気持ちが"損したくない"気持ちを上回らなければなりません。
そこは"勝つと得をしそう"も加算されますけど。
前者はゲームの面白さ、後者はゲームの損得勘定ですね。
「弱いプレイヤーはレートに関わらずイベントで稼ごうとは思わない」とは正しい物の見方です。
しかし、リミテッドは構築戦と違ってイベントに参加しない限りは遊ぶ事ができませんから、そういう浮動層をイベントに呼び込むのに、プレイヤー・レベルで分けられる8-4やスイス式は大きな意味を持っています。
ギャンブル脳ですけど、どんなものでも勝ったり負けたりな状態、ある程度初心者に近い状態が一番お金を突っ込むんですよ。
仰る通りです。
>逆に言うと、Wizardsは数字で見る以上には儲かっている。
数字で見るとWizardsはどのくらい儲かっているはずなんでしょうか?
上はつまり、「見かけ上リターン・レートが3.0Tixのイベントなんだけど、発行されるパックの5%が死蔵されてしまうので、市場のイン/アウトとして見ると、レートは3.2Tixに相当している」みたいな話ですよね。
そして、TOPIXはイベントの実質リターン・レートに影響されるだろうから、Wizardsは、3.0Tixだと思って計算した額ではなく、3.2Tixで計算した額を儲けているんだよ、ということを仰りたいのですよね。
でも、「3.0Tixだと思って計算した額」がいくらなのかそもそも分からないので、「数字で見る以上に」と言われてもピンと来ないです。
>儲けを上乗せするには、さほどイベントに出たい気持ちを持たない浮動層を何とかイベントに引き込む必要があります。
仰る通りです。
Standard Pauperでプレヤブルなコモン・カードが増えてパックの交換レートが上がることが、そこにどのように貢献するのかが明らかにされればいいのだと思います。
机上の外の目に見え難い要素があるというだけで、Wizardsがそこら辺まで正確に把握して損益計算してるとも思えません。
最適なMOのプレイ・スタイルを考えると、デッキを作って構築戦で稼ぎ、リミテッドで浪費する事になります。
言うだけなら誰もが思う理想的なスタイルに見えますが、時間的制約やプレイの嗜好、勝って賞品を得る事が実はどこへも結び付かない事等、ほんの一部のプレイヤーを除いて達成は困難です。
まぁ、リアルマネー・トレードって手があるんですが、アメリカはともかく日本では為替もあってリターンは少ないですね。
Starndard Pauperじゃパック価値を上げるのは難しいですって。
しかし、Pauperの名の通り、プレイヤー層は言わば貧乏プレイヤーを想定できますから、Standard Pauperで稼いでスタンダードまで行ってみようという人は出てきそうですね。
この場合、中々良いチケットの回収場所になりそうですけど、Wizardsはイベントで掛け値なしの2.7チケットのブースターを配布する事になるので、どうなんでしょう。
>机上の外の目に見え難い要素があるというだけで、Wizardsがそこら辺まで正確に把握して損益計算してるとも思えません。
そうですよね。
そういうことがフォーマットを認定する/しないに影響するとはあんまり思えないです。
>Starndard Pauperじゃパック価値を上げるのは難しいですって。
はい、同感です。
ここまでは、「仮に上がったとしても」という議論でしたけど、多分その前提すら間違っていることでしょう。
>しかし、Pauperの名の通り、プレイヤー層は言わば貧乏プレイヤーを想定できますから、Standard Pauperで稼いでスタンダードまで行ってみようという人は出てきそうですね。
gwynedの「ゲートウェイドラッグ」理論ですね。
ありそうなパターン:
リミテッドをやろうと思ってMO始めた
→思ったより金がかかるなぁ
→手元のカードでStandard Pauperできるじゃん
あと、Standardはリタイアしたんだけれども、Standard Pauperだけ続けている、という人もいそうです。
っていうか、何人か知ってます。
>この場合、中々良いチケットの回収場所になりそうですけど、Wizardsはイベントで掛け値なしの2.7チケットのブースターを配布する事になるので、どうなんでしょう。
それは他のイベントと変わらないですよね。
Standard Pauperを認定したからといって特に変わることが無い部分だと思いますが。
でも、Wizards社は別にそこまで特別優れた人間が集まってる会社でもないので、「これだけプレイヤー・コミュニティに必要とされているんだ!」と情に引っかける手で釣れるかもしれません。
声の大きさと多さ次第になります。
>それは他のイベントと変わらないですよね。
上のコメントの内容でもありますが、構築戦デッキを作ろうと思った時はすでに、WizardsがStoreの割高商品を掴ませて、その時点で儲けが出ています。
イベントで稼げば投資を回収した気分になりますが、使った現金は現金では帰ってきません。
しかし、Standard Pauperだと初期投資が必要ありませんから、Wizardsが余分に儲かるタイミングがありません。
"掛け値なしの2.7チケットのブースター"、という事です。
プレイヤーを比較的新規層と見積もれば、賞品の死蔵も望めないでしょう。
コミュニティの落とし所を考えると、自ら「儲からないからイベント・サポートしなくて良い。フォーマット制定だけにしてくれ」って言うところかもしれませんね。
そうですねぇ。
あんまり強く否定できません。
>上のコメントの内容でもありますが、構築戦デッキを作ろうと思った時はすでに、WizardsがStoreの割高商品を掴ませて、その時点で儲けが出ています。
なるほど、そういうことですか。
確かに、スタンダードのイベントが盛んである方が、Standard Pauperのイベントが盛んであるよりもウィザーズの儲けは大きいですね。
希少度の高いカードの需要が高ければ高いほどウィザーズが儲かるのは当然です。
>儲からないからイベント・サポートしなくて良い。
そうですね。
SPDC/MPDC用のフィルタさえ作ってくれたらわたしはそれで十分満足です。
カードプールは多数派だった"スタンダードのコモン"のようですね。
今後しばらくのプレイヤー主催イベントの参加人数はちょっと興味があります。
community.wizards.com/magiconline/blog/2012/08/29/standard_pauper_available_for_open_play
そのようです。
わたしの持っている《帆凧/Kitesail(WWK)》がフィルターで弾かれましたから。
>今後しばらくのプレイヤー主催イベントの参加人数はちょっと興味があります。
そうですね。
だがしかし、カジュアルの各部屋にはStandard Pauperのテーブルがほとんど立ってませんね・・・。
ちなみに、マジック2013かその前くらいのアップデートからフィルターの仕様が変わったのか、版の違うカードがフィルターで引っかからなくなっていて、《帆凧(M13)》が仮にコモン収録であったとしても、Standard Pauperだと《帆凧(WWK)》は弾かれます。
変な改悪で困ったものです。
調べてみたところ、わたしのところでは、CollectionでもDeck Editorでも《古えの遺恨/Ancient Grudge(TSP)》とか《困窮/Distress(CHK)》とかが表示されてて、それらが入ったデッキでカジュアル部屋にStandard Pauperのテーブルを作れるようですが。
《国境地帯のレインジャー(M10)》がイニストラード・ブロックのフィルターで表示されなくなったんですが、ブロックの所の仕様だけみたいでした。
どうも済みません。